国会質問議事録

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外交防衛委員会(山梨県甲府市周辺上空での米軍機空中給油訓練①/大阪万博とカジノ誘致)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、甲府市付近上空の米軍機の空中給油訓練についてお聞きいたします。
 お手元に配っている写真は、三月二十三日に甲府市の周辺で同市在住の福田良二さんが撮影したものでありまして、三十日付けの赤旗でも報道いたしました。【220331配付資料.pdf】上の写真の翼、ちょっと見にくいんですが、機体番号一〇九とMARINESという文字があります。米軍の岩国基地所属のKC130空中給油機だと分かります。同機は、この甲府市付近の上空を東から西へ飛行して左旋回をし、そこへF35Bと思われる戦闘機二機が接近をして、ホースのようなものを接続して空中給油を開始をしたと。それが下の写真であります。
 福田さんは、九日にもホースを伸ばしている軍用機と戦闘機を確認しており、この甲府市周辺の上空での給油が常態化している可能性があるわけですね。ネットを見ますと、過去の同じような訓練の画像も様々出ております。
 昨日、防衛省にこれ米軍に確認するように求めましたけれども、結果はどうだったでしょうか。

○防衛省 地方協力局長(岡真臣君) お答え申し上げます。
 ただいま委員の御指摘のあった点につきまして、私どもとしても報道等を確認をしているところでございますけれども、ただいま委員からお話がございましたとおり、米側に対しても事実関係の確認をしておりますが、現時点におきまして、まだ回答が得られていないというのが現状でございます。

○井上哲士君 山梨県は直後に通報しているはずなんですね。この日本の国の空でこんな重大なことが起きているのに、まるで人ごとみたいな対応なんですよ。
 こんなの調べたらすぐ分かります。私は、アメリカ国防総省の映像ニュース配信サイト、DVIDSというのを見ました。そこの三月二十四日付けに、第一五二海兵空中給油輸送中隊、富士山近くの近接航空支援で給油という見出しの記事が配信をされております。
 そこでは、アメリカ海兵隊F35BライトニングⅡと第一二一海兵隊戦闘攻撃飛行隊は、二〇二二年三月二十三日、日本の富士山近くを飛行したと。第一五二海兵空中給油輸送中隊とその隊員は、日本のキャンプ富士の近傍で行われた近接航空支援を模した訓練飛行の間、第一二一海兵隊戦闘攻撃飛行隊とその隊員を支援したと、明確に述べています。この三月二十三日の写真のとおりのことをやったということを国防総省のサイトで流しているんですよ。私、どうも事の重大性を防衛省が認識していないんじゃないかと思うんですね。
 米軍機の空中給油訓練は過去大きな事故を起こしてきました。私も当委員会で、岩国基地所属のKC130が、二〇一八年十二月に、高知県沖で空中給油中に戦闘機と接触して両機とも墜落をして乗組員六人が死亡したという大惨事を起こしたことをただしてまいりました。それから、MV22オスプレイが、一六年十二月に、空中給油中に給油ホースがプロペラに接触をして沖縄県の名護市の海岸の浅瀬に墜落したこともただしてまいりました。
 この沖縄の事故の直後に、事故後に、給油訓練が再開された際に、当時の稲田防衛大臣は、二〇一七年一月五日の記者会見で、米側から、今後とも空中給油訓練には陸地から離れた海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないことを確認しておりますとはっきり述べているんですね。その後、衆議院の予算委員会の分科会、二月二十二日で、これはオスプレイだけではなく、全ての米軍機に当てはまると明確に答弁をされております。
 当時、これ米側の誰と確認をしたのか、今も政府としての認識は変わりがないのか、防衛大臣、お願いします。

○防衛大臣(岸信夫君) 平成二十八年、二〇一六年の十二月に発生をいたしました名護市沖でのオスプレイの不時着事案を踏まえて、米側と確認した御指摘の点につきましては、当時の地方協力局長と在日米軍副司令官との間で緊密にやり取りをし、かつ実務レベルでも継続的な協議を重ねて、日米間で共通の認識を確認した上で当時の稲田防衛大臣から説明したものであります。
 防衛省として、米側との間で確認したこの空中給油訓練に係る認識について、現時点でも変わるものではありません。

○井上哲士君 変わりはないと言われましたけど、現にこの三月二十三日の米軍機による空中給油訓練はまさに陸上の真上で行っているんですね。認識に変わりがないと言われた稲田防衛大臣の会見、答弁と全く食い違っているんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸信夫君) 御指摘のような報道があったことは承知をしております。米側に事実関係を確認しているところであります。他方、現時点において回答が得られておらず、お答えはさせていただく状況にはございません。
 いずれにいたしましても、米軍機の運用に際して、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動することは当然の前提であります。防衛省として、米側に対して、米軍機の運用に当たっては安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるように求めてまいります。

○井上哲士君 先ほど申し上げたように、アメリカの国防省のサイトに、三月二十三日、富士山の近くでこういう訓練やったと書いているんですよ。報道だけの問題じゃないんですね。
 米軍は、しんぶん赤旗の取材に、我々の運用は二国間の合意に基づいて行われていると述べて、この陸地上空での給油自体は問題ないと、こういう姿勢を示しているわけですよ。過去の日本の防衛大臣のこの答弁を一方的に覆すものですよ。それを堂々と自らのサイトで明らかにしているんですね。こんなこと黙って見ているんですか。
 大惨事を起こしてきた空中給油を日本の陸地で行うことは許されませんし、この地域はそもそも協定上に基づく提供区域でもありません。国民の命や安全を守るという立場があるのならば、きちっと抗議をして、陸地上空では行わないということをしっかり守らせるべきだと思いますけれども、大臣、もう一度いかがでしょうか。

○国務大臣(岸信夫君) 今、先ほども申しましたけども、米側には事実関係を確認を求めておるところでございます。他方で、現時点においては回答を得ておらず、お答えさせていただくような状況にはございません。
 いずれにいたしましても、米側の米軍機の運用に際して、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動するということは当然のこと、前提であります。防衛省として、米側に対して、米軍機の運用に当たっては安全面に最大限努力、配慮し、地域住民に与える影響を極小、最小限にとどめるように求めてまいります。

○井上哲士君 回答待ちではなくて、紹介したように国防省のサイトで出ているんですから、これ突き付けて、違うじゃないかと、ちゃんとやってくださいよ。それが日本の防衛大臣の国民の命や安全を守る役割だと思いますよ。そのことを強く求めておきます。
 その上で、法案についてお聞きしますが、我が党は、万国博覧会が持つ産業や技術の進歩、展望を示して教育的に広げようという理念そのものには反対ではありません。しかし、大阪府市が進めてきたこの夢洲万博には大問題があるとして反対をしてまいりました。
 その第一は、IR、カジノをセットで夢洲に誘致をして、これを大阪の成長戦略の切り札にしようとしてきたこと、二つ目、万博を大阪湾の埋立て途中の人工島、夢洲で開催することによって、この地で破綻した巨大開発をもくろんでいること、三つ目、強大な、巨大な財政負担を大阪府と市、府民に強いる懸念があるということを指摘をしてまいりました。
 外務大臣、お聞きしますけども、この大阪万博について、林外務大臣は衆議院の答弁で、コロナを乗り越えた先の新たな社会像を世界に示す大きな意義を持っている旨を述べられました。しかし、大阪万博は、賭博施設であるカジノを核としたIRの誘致と一体のものでありまして、果たしてコロナ後の新たな社会の像を世界に示すなどと言えるのかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○外務大臣(林芳正君) 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、未来社会の実験場をコンセプトとしております。このテーマとコンセプトの下で、コロナ禍を乗り越えた先の新たな社会像を世界に示す万博になると考えております。半年間の一過性のイベントに終わらせることなく、三十年先、五十年先を見据えて、価値観や生活スタイルを変化させるきっかけとなるような発信を行うということが重要だと考えております。
 大阪・関西万博は、東京オリンピック・パラリンピックに続く国家的プロジェクトであり、日本の魅力を国際社会に広く発信する絶好の機会でもあります。多くの国や国際機関の参加を得て万博を成功裏に開催すべく、内閣官房、経産省を始めとする関係省庁や国際博覧会協会、地方自治体、経済界と連携し、オールジャパンで着実に準備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
 申し上げましたように、大阪・関西万博は、それ自体の意義に照らし実施するものであります。他方、夢洲におけるIR事業については、大阪・関西万博とは別途、この意義に照らし関係者が取り組んでいるものと承知をしておりますが、直接の担当ではないためにコメントは差し控えたいと考えます。

○井上哲士君 実態は、これはもうセットで進められてきたわけであります。
 一昨日、大阪市議会で、このカジノを中核としたIRを誘致するための区域整備計画関連案件が維新、公明の賛成多数で可決をいたしました。日本共産党は、この賭博であるカジノそのものに反対でありますし、公費負担が際限なく膨れ上がる、それから、コロナ禍で条件が大きく揺らいでいるのに、崩れているのに過大で無謀な事業計画の見通しになっている、府市が際限のない条件整備が強いられる事業者言いなりの協定書になっていることなどを挙げて反対をいたしました。
 今後、申請された区域整備計画の認定が行われるわけでありますが、この典型的な三密空間に客を詰め込んで永遠と賭博を続けさせるというこのカジノのビジネスモデルは既に成り立たなくなっていると思うんですね。
 コロナによるカジノの封鎖や規制強化で財務状況を悪化させたカジノ企業の日本撤退も相次ぎました。それから、オンラインカジノへの転換も進んでおります。大規模な地上型カジノを核にした巨大な観光施設を造るというIRはもう既に破綻している。コロナ後の社会と言うならば、それこそ時代遅れの事業である。これにしがみつくこと自体が私はもうギャンブルだと思うんですね。
 政府の基本方針に盛り込まれた前提がもう変わってきているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長(木村典央君) お答え申し上げます。
 現在、新型コロナの影響で国内外の人の往来が制約されるなどの状況にありますが、IRにつきましては、二〇二〇年代後半の開業を目指しており、観光立国の実現に向け、コロナ後も見据え、中長期的視点から取り組むべき重要な施策であると考えております。
 現在、IRを誘致を検討している地方公共団体及び事業者におきましては、IRを取り巻く状況や様々なメリット、リスクの評価を行った上で、現行制度を前提に、四月二十八日までの期限までの申請を目指し、区域整備計画の策定に向けた詰めの作業を行っていると承知しております。
 こうした地方公共団体などの動向も踏まえ、政府といたしましても、計画の厳格な審査などIR整備法に基づく措置をしっかりと講じてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 オリックスは、MGMと共同して、同額の二千百二十億円を事業者である大阪IR株式会社に出資します。同社が決算説明会において、今は客は全員日本人だけでどれだけ回るかという前提でプランニングを作っていると言っているんですね。要するに、もう外国人観光客を当てにしないという前提になっておるんです。こういう点でも外国人観光客の呼び込みという前提は崩れていると思います。
 もう一点、カジノには税金は一切使いませんという知事、大阪市長の過去の説明に反して、夢洲の土壌対策に七百八十八億円もの公費が使われます。この経緯、どのように承知されているのか。今後、軟弱地盤等もあり、事業者言いなりに公費負担がどこまで膨らむかという不安の声もありますけれども、これどのように認識をされているでしょうか。

○政府参考人(木村典央君) お答え申し上げます。
 IR整備法上、IRの整備につきましてはあくまで自治体の発意に委ねており、国は自治体から申請のあったIR区域整備計画について認定の可否を判断する立場にございますので、申請を予定しております自治体をめぐる個別の状況についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 今後、外国人観光客の減少の下、カジノのターゲットが日本人になること、もう一層明らかだと思うんですね。ギャンブル依存症の懸念もより強まると思います。
 そして、今指摘をいたしました様々な追加の公費投入の可能性、夢洲の土壌対策は、土壌汚染、軟弱地盤など、今後更に費用が膨れ上がる予想がありまして、際限ない費用負担の道になりかねないと。カジノと一体で巨大な財政負担を住民にもたらす、こういう万博に私どもは賛成できないということを申し上げまして、質問を終わります。

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○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、国際博覧会の政府代表設置法案に反対の立場から討論を行います。
 本法案は、二〇二五年に開催される大阪・関西万博に関し、開催国である日本の政府代表を外務省に置くことなどを定めるものであります。
 しかし、大阪万博をめぐっては、国、大阪府、大阪市がカジノを核とした統合的リゾート、IRとセットで夢洲に誘致し、これを大阪の成長の切り札としてきたものであります。夢洲では既に、市民が反対するカジノ誘致を前提とした巨大開発が進められています。
 開催期間が半年の大阪万博のためのインフラ整備計画として、大阪メトロ延伸やなにわ筋線の整備、近畿圏全域での高速道路網整備など、まさに万博を口実としたカジノのための整備そのものです。万博会場の建設費用は当初の計画の一・五倍の千八百五十億円になるなど、コストが増大し、計画が進むにつれ、公費負担は増しています。
 大阪万博の夢洲開催は中止し、カジノ誘致のための関連整備計画は抜本的に見直すべきです。このような大阪・関西万博に政府代表を置くための法案には反対であることを述べて、討論を終わります。

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