○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
法案については討論で述べます。
ロシアによるウクライナ侵略、無差別攻撃が激化をしております。ロシア軍から解放されたキーウ周辺のブチャなどで四百十人の民間人の遺体がウクライナ検察当局により確認をされました。ロシアは関与を否定をしておりますが、国際人権団体も、公開処刑や暴行、略奪などの住民からの聞き取り結果を発表しております。グテレス国連事務総長は、ブチャで殺害された民間人の画像に大きな衝撃を受けていると、独立した調査によって説明責任がしっかり果たさせることが不可欠だと声明を出されました。
国際社会からは追加制裁の声も上がっておりますけれども、日本政府としてはこの事態をどのように認識をされて、どう対応されるんでしょうか。
○外務省 大臣官房審議官(遠藤和也君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりでございまして、ウクライナ政府の発表や各種報道により、ロシア軍が占拠していたキーウ近郊の地域におきまして、無辜の民間人が多数殺害されるなど残虐な行為が繰り広げられていたということが明らかになっているという状況がございます。
我が国といたしましては、ロシア軍の行為によりウクライナにおいて多くの市民が犠牲になっているということを極めて深刻に受け止め、強い衝撃を受けているというところでございます。こうした無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反でございます。断じて許されず、厳しく非難するところでございます。こうした残虐な行為の真相は明らかにされなければならず、ロシアの責任は厳しく問われなければならないと考えておるというところでございます。
我が国といたしましても、戦争犯罪が行われたと考えられることを理由に、ウクライナの事態を国際刑事裁判所に付託しておりまして、ICC検察官による捜査の進展を期待しておるというところでございます。
ロシアに対する措置につきましては、これまでもG7を含む国際社会と連携して機動的に厳しい措置を講じてきたというところでございますけれども、引き続き、諸般の状況を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと考えておるというところです。
○井上哲士君 ウクライナからの避難民の受入れの支援のために、総理の特使として林外務大臣がポーランドに派遣をされ、今日にも避難された人々を専用機に同乗させて帰国されるわけですが、これ具体化されたこの受入れ支援の内容というのはどういうことになるんでしょうか。
○政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。
今回の林大臣のポーランド訪問を通じまして、避難民の方々の多くが、事情が許せばできるだけ速やかにウクライナに帰国するということを希望しつつ、ポーランドを含む隣国に滞在しているということが判明したというところでございます。
その一方で、日本への避難を切に希望しているものの、現在自力で渡航手段を確保することが困難な方々もいらっしゃられるということが判明したというところで、こうした方々に人道的観点から支援の手を差し伸べるというために、林大臣の帰国に際しまして、政府専用機の予備機に、日本への避難を切に希望しているものの現在自力で渡航手段を確保することが困難な二十名の避難民の方々に乗っていただいたというところでございます。
今回の二十名の方々を含めたウクライナ避難民の方々が故郷から遠く離れた日本にあっても安心して生活できるよう、日本政府といたしまして最大限サポートしていくという考えでございます。また、政府のみならず、多くの地方自治体、企業などからも支援の申出、寄せられているというところでございまして、政府といたしましては、国民の皆様と一緒になりまして取組を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○井上哲士君 私は、先週月曜日にミハイル・ガルージン駐日ロシア大使と会談をいたしまして、直接撤退を求めました。実は、三月六日に、NHK日曜討論に参議院の各派代表と一緒に出演をしてウクライナ問題議論したんですが、それを見て、非常に不公平で遺憾だという手紙が大使から参りまして、率直な意見交換がしたいということであるからお会いしました。私は改めて、ロシアの行為が国連憲章違反であり、国際人道法違反であり、核の威嚇は許せないと指摘をしたわけでありますが、そういう討論番組を見て外国の大使が手紙を送ってくること自体が極めて異例のことだと思うんですね。それぐらい日本や世界の世論を恐れているということでありますから、更にこういう世論で包囲をしながら、避難された方々への人道支援の強化を強く求めたいと思います。
その上で、前回に続いて、三月二十三日に甲府市の周辺の上空で行われた米軍機による空中給油訓練についてお聞きします。
前回質問で、稲田防衛大臣が二〇一七年の会見や答弁で述べた空中給油訓練は陸地上空では実施しないという日米間の確認について、政府の認識は変わらないという答弁でありました。当時の大臣の会見、答弁では、いずれも今後とも実施しないとしております。今後ともということは、それ以前から日米間で陸地上空での空中給油訓練を行わないという確認があったということだと思いますが、それは、いつ、誰との間で、どういう確認だったんでしょうか。
○防衛省 地方協力局長(岡真臣君) お答え申し上げます。
米軍による空中給油訓練に関する確認に関する御質問でございますけれども、これは、平成二十八年十二月に発生した沖縄県名護市沖での米軍オスプレイの不時着水事案を踏まえて、当時の地方協力局長と在日米軍副司令官との間で緊密にやり取りをし、かつ実務レベルでも継続的に協議を重ねる中で、当時の稲田大臣、稲田防衛大臣が説明したとおり、今後とも空中給油訓練は陸地から離れた海域の上空でしか実施しないこととしており、陸地の上空では実施しないこと、これを日米間での共通の認識として確認をしたところでございます。
○井上哲士君 すると、このときが初めての確認だったということでよいのか。その理由は、やはり空中給油訓練が危険だという認識があるからだということでよろしいですか。
○政府参考人(岡真臣君) それ以前に何か確認あるいは合意があったのかという御質問について申し上げれば、私どもとしては、米軍の空中給油訓練の実施場所を指定するような日米の合意があったとは承知をしていないところでございます。
また、それでは、こういう確認をしたのは危険であると、あっ、空中給油訓練が危険であるという認識でよいのかというところでございますけれども、この確認をしたところ、これは先ほど申し上げたとおりでございます。平成二十八年の米軍オスプレイ不時着水事案を受けての協議を重ねた結果ということでございますけれども、その結果として、共通の認識を日米間で確認をし、当時の稲田防衛大臣から説明をさせていただきました。
空中給油訓練、これは高い技能を要するオペレーションであるということで、そういった空中給油訓練を含めて米軍機の運用に際して我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うことは当然の前提であり、地元への影響に最大限配慮した安全な運用について、引き続き日米間で協力して取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○井上哲士君 現に重大な事故が起きたから、こういう確認になったわけですね。
お手元の資料は、先日の質問で紹介しましたこの訓練について掲載しているアメリカ国防総省の映像配信ニュース、DVIDSの三月二十四日付けであります。【220405配付資料.pdf】
この中で、この第一五二海兵空中輸送、空中給油輸送中隊、KC130でありますけれども、これが富士山近くで給油をやったと、こういう記事なわけでありますが、日米間で確認したことと日本の防衛大臣が国会で答弁していること、全く反する訓練をしながら自らのサイトで堂々と明らかにしているわけですね。
私、先日は防衛省に対してこのサイトをアメリカに示して抗議をして中止させるように求めましたけれども、その後、米軍とのやり取りはどうなって、どういう回答でしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) 今委員から御指摘のございましたDVIDSにつきまして、御指摘のような内容が掲載されていることは私どもも承知をしておりまして、これにも言及をした上で米側に対する確認を行っているところでございますが、現時点におきまして在日米軍側からは回答は得られていないところでございます。
○井上哲士君 まだその程度の対応なのかと言いたいんですね。
防衛大臣、追加してお聞きしますけど、この資料、見ますように、この写真は空中給油機の機内から撮影したと思われるんですね。撮影した海兵隊員の名前も掲載されております。右側には、横田基地でこの機材の点検を行ったときのパイロットの写真も操縦席に入って撮っているわけですよ。飛行中の写真にはF35二機が写り、富士山も入っている。眼下には町並みもあって、さらに真上から町並みを写したものなど多数の写真がこのサイトには掲載されています。
ですから、たまたま乗組員が撮影して投稿したようなものではないんですね。このKC130の空中給油訓練について積極的な広報活動をしている、そういうことだと思います。左側のこの記事のところには、戦闘即応性を有し、日米安保条約への我々のコミットメントを示すために、地域の至る所で日常的に訓練を実施するとしているんですよ。つまり、こういうこの確認違反の訓練を既成事実化しようとしていると。
これやっぱりこの時点で駄目だということを厳しく防衛大臣から私はただすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○防衛大臣(岸信夫君) この写真が撮影されたその背景とかそのときの状況とか私どもつまびらかになっておりませんので、コメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、現在の事実関係を米国に確認しているところでありまして、先ほども答弁したとおり、現時点においては回答は得られていないところでございます。
いずれにいたしましても、高い技能を要するオペレーションでありますこの空中給油訓練を含む米国、米軍機の運用に際しては、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うことは当然の前提であって、地元への影響に最大限配慮した安全な運用について、引き続き日米間で協力して取り組んでまいります。
○井上哲士君 私は、全然対応甘いと思うんですね。
横田基地の監視を行っている西多摩の会のブログで、民間機を除く横田基地への飛来機のランキングを明らかにしております。二〇二一年の第二位は嘉手納基地やハワイのKC135大型空中給油機で年間百三十三回、第七位が岩国基地のKC130空中給油機で五十七回。横田基地が空中給油訓練の拠点になっているんじゃないか。同じサイトで二〇一九年と比較していますけれども、KC135は八十九回から百三十三回に、KC130は二十六回から五十七回に大きく増えているんですよ。
このままいけば、まさにこの確認違反の空中給油訓練が横田を拠点に常態化するんじゃないか、だからこそ、今しっかり物を言う必要あると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(岡真臣君) 横田飛行場に関する御質問がございましたけれども、横田飛行場は、米軍にとっては在日米軍司令部などが置かれる主要な施設・区域でございまして、いわゆる有事におきましては極東地域全体の兵たん拠点ともなると承知をいたしております。日米安保条約の目的を達成するため、重要な役割を果たしていると認識をしております。
一方で、防衛省としては、米軍の個々の運用について把握しているわけではございませんので、横田飛行場が空中給油機訓練の拠点となっているか否かについては承知をいたしておりません。
いずれにいたしましても、今回の件につきましては、引き続き米側に確認を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○委員長(馬場成志君) おまとめください。
○井上哲士君 日本の空で起きているんです。米軍の運用だと言われますけど、日本の空で起きているんです。そして、現実にこれまでは西側で起きていたいろんなことがこの横田を拠点にして広がろうとしている。この時点で、こういう確認違反は駄目だということを防衛省としてはっきりアメリカに言って、中止をさせることがどうしても必要だと思います。
改めて強くそのことを求めて、質問を終わります。
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○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、防衛省職員給与法一部改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、一般職の国家公務員の例に準じて、裁判所職員、国会職員などと同様に、防衛省職員の給与の改定を行うものです。
政府は二〇二一年十一月、人事院勧告に沿って期末手当を引き下げることとし、昨年度の引下げ分は、今年六月の期末手当から減額することを決めました。今回の改定は、この政府の方針に従って、防衛大学校、防衛医科大学校の学生、陸上自衛隊高等工科学校の生徒などの期末手当について一般職と同様の引下げを行うものであります。
人事院勧告は、政府の責任やコロナの影響を一切考慮せず、民間準拠だけを理由に期末手当を引き下げる勧告を行ったものであり、国家公務員全体の給与の引下げの一環を成す本法案には反対であるということを述べて、討論を終わります。