○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
会派を代表して、ただいまの大臣の発言に関連して総理に質問します。
統一協会との癒着が問われてきた山際前大臣の辞任は、国民世論に追い込まれたものであり、余りにも遅過ぎます。
山際氏の辞任理由は、政権に迷惑を掛けるからであり、総理は政策推進のためだと言うのみです。統一協会との癒着への反省は一言もありません。
山際氏は国民生活に責任を持つ大臣でした。にもかかわらず、統一協会の広告塔となり国民の被害を広げてきた、その重大性を総理はどう認識されているのですか。
八月の組閣の際、山際氏は、統一協会との関係を隠し続け、再任が決まってから統一協会関連団体の会合出席を初めて明らかにしました。総理は、組閣の際、山際氏にどう確かめたのですか。任命責任を明らかにしていただきたい。
山際氏は、統一協会との関係について、記憶にないと居直り、報道されるたびに後追いで認め、これから何か新しい事実が出てくる可能性があるなど無責任な答弁を繰り返しました。
総理は、こうした山際氏の対応をどう認識していたのですか。自ら真実を明らかにするように直接指示はしなかったのですか。
辞任当日の毎日新聞の世論調査では、山際大臣は辞任すべきは七一%に達しました。にもかかわらず、総理は、その日の予算委員会でも、野党からの更迭要求に対し、考えていないと否定しました。山際氏を擁護し続けてきたことの責任は重大です。いかがですか。
総理が今やるべきことは、自民党と統一協会との癒着の徹底解明です。
統一協会側が七年前に井野防衛副大臣の後援会を設立していたことが赤旗日曜版の報道で新たに判明するなど、自民党調査にはない事実が次々と明らかになっています。
議員任せ、政務三役任せの自己申告では済まされないことはもはや明らかではありませんか。安倍元総理や地方議員との関係も含め、党と政府の責任で癒着の全容を調査すべきです。お答えください。
更に重大なのが、自民党と統一協会関連団体との間の選挙の推薦確認書の問題です。
事もあろうに、統一協会に対する規制の法案を所管する、消費者担当の大串副大臣も署名をしていたことも明らかになりました。総理は、調査もせずに、政策に影響はないと答弁しました。しかし、政治資金規正法は、外国の影響力排除のために外国人からの政治献金の受取を禁止しています。
猫の手も借りたいなどとして、外国に本拠を置く団体と選挙支援の見返りに改憲などの政策協定を交わすことが内政干渉につながる重大問題だ、その認識は総理はないのですか。誰が働きかけを受け、誰が署名をしたのか、党と政府の責任で調査し、明らかにすべきです。
総理は、統一協会の解散命令について、組織性、悪質性、継続性が必要だとしました。既に裁判等を通じて事実は積み上がっています。直ちに解散請求を行うべきではありませんか。
答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 井上哲士議員の御質問にお答えいたします。
山際前大臣の辞任についてお尋ねがありました。
まず、社会的に問題が指摘されている団体や関連団体と接点を有していることにより政治に対する信頼を損ねることとなったこと、このことを重く受け止めるとともに、国会開会中に大臣が辞任する事態となり、深くおわびを申し上げます。
私の政権においては、各閣僚等それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合は、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底することを方針としており、八月には、こうした方針の下、能力等を勘案し、山際前大臣に留任をいただいたものであります。
山際大臣には、自らしっかり説明責任を果たすよう再三強く指示を出し、予算委員会等においてもその旨繰り返し述べてまいりました。
引き続き、より丁寧に説明を尽くしてもらわなければならないと感じていたところ、十月二十四日の夜、自ら十分に説明責任を果たせないことで、経済対策、補正予算審議など、担当する重要課題の推進が妨げられることは本意ではなく、職を辞したい、こうした申出があったものです。
総理大臣として、経済対策など重要な課題に専念し、優先的、最優先で取り組んでいくため、この申入れを了と決断いたしました。
私自身、任命責任を重く受け止めております。政策に遅滞が生じないよう、政府一丸となって国政の運営にしっかりと取り組むことで職責を果たしてまいります。
旧統一教会と政治の関係についてお尋ねがありました。
自民党においては、各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告し、新たな接点が判明した場合は、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底する、これを方針としております。
内容について本人が責任を持って説明する、こうした党としての実態の把握の在り方については、他の党においても同様に、それぞれの議員の判断、報告を基に取りまとめが行われていると認識をしております。
安倍元総理が旧統一教会とどのような関係を持っていたかの調査については、当時の様々な情勢において、御本人の判断、認識、すなわち心の問題である上に、御本人が亡くなられた今、本人は何も釈明、弁明できないなど、十分な調査はできないと考えております。
いずれにせよ、大切なことは、未来に向かって関係を絶つことであります。自民党においては、旧統一教会及び関係団体と一切関係を持たない方針であることを踏まえ、十月二十五日、ガバナンスコードを改訂し、活動の社会的相当性が懸念される組織・団体からの不当な政治的影響力を受けること、その活動を助長すると誤解されるような行動、これについて厳に慎むこと、また、党所属の国会議員がこれを遵守することを担保するため、照会に対応する体制を整備すること、こうしたことを明確にした上で、こうした対応、方針について、二十六日、党所属全国会議員及び全国都道府県連に対して通知をいたしました。地方議員に対してもこれを徹底していきたいと考えております。
政治は、国民の信頼なくして成り立ちません。政治に対する国民の皆様の信頼を取り戻すことができるよう、取組を徹底していくことが重要であると考えております。
旧統一教会の推薦確認書についてお尋ねがありました。
旧統一教会の推薦確認書に署名することが内政干渉につながるのではないかとのお尋ねがありますが、自民党の政策決定に当たっては、幅広く国民の皆様の意見や要望を聞くとともに、関係省庁、有識者、専門家等の議論や、さらには数百人に上る国会議員同士の度重なる議論を経て政策を決定しており、特定団体の要望によって政策が不当にゆがめられたということはないと考えております。
また、一般論として、選挙に当たり各候補者が、政策分野を含め、様々な団体と書面のやり取りを行っております。その上で、推薦確認書に署名したことが選挙での支援につながっているかどうかがポイントであると考えております。
この点については、党として所属国会議員による点検結果を取りまとめ、既に公表をしているところです。推薦確認書に署名したと認めている議員が説明しているように、党の点検結果との関係については、議員本人から説明すべきものであると考えております。
また、旧統一教会に対する解散命令の請求についてお尋ねがありました。
現在、旧統一教会に関して把握している事情からは、過去に解散を命じた事例と比較して、解散事由に該当すると明確には認められないものと考えております。このため、まずは所轄庁たる文部科学省において、解散命令の請求の適否を判断するためにも、報告徴収・質問権の行使を通じて行為の組織性、悪質性、継続性について具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにした上で、宗教法人法にのっとり必要な対応を行ってまいります。(拍手)