○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
通告と順番変えまして、まず、寺田大臣の選挙制度や政治資金を所管する大臣としての資質、資格について質問をいたします。
寺田稔竹原後援会が領収書の宛名を自ら記入して偽造した疑いという文春オンラインの報道に関して、十一月八日の衆議院倫選特で我が党の塩川議員が質問いたしました。寺田稔竹原後援会の収支報告書に添付された領収書のうち、宛名が寺田稔で、かつ発行者が違うのに筆跡が酷似したものが十一枚あるという問題をただしました。これに対して大臣は、誰が書いたか確認すると答弁し、十一月九日の当委員会での山下議員の質問には、確認中という答弁でありました。
塩川質問から一週間以上たっており、確認できたはずと思いますが、この寺田稔という筆跡と酷似した領収書は一体誰が書かれたんでしょうか。
○国務大臣(寺田稔君) 委員御指摘のように、この竹原後援会の方に確認をいたしましたところ、いずれの領収書も、この発行者からの追記の要請を受けて宛名が空欄の領収書を受け取って宛名を記載をした、で、当該領収書の宛名を書いた者は同後援会の事務担当者であるということでございました。
○井上哲士君 やっと答弁が出ましたが、今の事務担当者というのは、大臣との雇用関係はどういう方でしょうか。
○国務大臣(寺田稔君) 当該事務担当者については、私が雇用している職員ではございません。
○井上哲士君 政治資金適正化委員会の政治資金に関するQアンドAでは、領収書等に宛名が記載されていない場合は国会議員関係政治団体側で追記することは適当ではありませんと明確に言っているんですね。それに反する取扱いが行われているということが問われております。
大臣は、この寺田稔竹原後援会について、会計責任者が亡くなってから三年間も届出を訂正されていなかった、もう政治資金規正法に反する事態について指摘されても、この後援会、自身は一切関与しておらず別団体だと、こう主張してこられました。
しかし、今日の午前中にアップされた週刊文春電子版で新たな事実が明らかになっております。昨年の総選挙の大臣の選挙運動費用収支報告書に添付された領収書の中で七十七枚の領収書に偽造の疑いがあると、こういう報道であります。
二つのパターンがあります。
まず、竹原市内の業者等が発行したもののうち六枚が、今問題になっている竹原後援会の収支報告書の領収書の寺田稔という筆跡と酷似をしているという事実であります。
私も手元にこの領収書のコピーを持っておりますけども、実際これは筆跡がそっくりです。つまり、竹原後援会と大臣の選挙運動用収支、運動費用収支報告書にそれぞれ添付された領収書のうち宛名が寺田稔となっているものは同一人物が宛名を書いたものである可能性が極めて高いと、要するに、大臣自身の選挙運動費用収支報告書に関与している人が竹原後援会の収支報告にも関与し、それぞれ領収書に自分で宛名を書いているということであります。
大臣が述べてきた、竹原後援会に関して自身は一切関与していないということは、このことを見ても事実と違うんじゃないでしょうか。
○国務大臣(寺田稔君) この竹原後援会の事務については、私は一切関与をしておりません。
今申し上げたとおり、塩川議員、十一月八日の衆議院倫選特で御指摘のこの領収書については、この宛名の記入者は同後援会の事務担当者、私の雇用関係ではございませんが、事務担当者でございまして、これは、適正化委員会のQアンドAにおいても、追記の要請があればそういうふうな追記をしていいというふうに明確に記載をされているところでございます。
また、選挙期間中のことについては、公職選挙法上の領収書を適正に満たした領収書であることを申し上げたいと思います。
○井上哲士君 私申し上げているのは、竹原後援会で領収書に寺田稔と名前を書いた人と、この選挙区の、選挙の、選挙運動費用収支報告書に名前を書いた人が同一じゃないかと、つまり、関与してないということは、言い分は通用しないということを申し上げました。
これだけじゃないんですね。もう一つの領収書のパターンは、呉市を中心とした業者等が発行した領収書で宛名が寺田稔になっているもののうち、実に七十一枚が同じ、酷似した筆跡だという報道であります。別の筆跡の竹原のものと合わせますと七十七枚が酷似をしている。自ら書いたのではないか、偽造ではないかという指摘なんですね。
週刊文春がこの領収書を発行した業者に取材をしますと、寺田稔の筆跡について、これは私の字ではないと、空欄で渡していると、宛名を、こう答えたというんですね。先ほど相手の依頼から受けて名前を書いたと言いますけども、そういう話じゃないんですよ、取材での答えはね。
私、この呉関係の領収書も手元に持っておりますけども、実際、寺田稔という文字は酷似をしております。領収書に業者が書いた金額や、などとは、この宛名の文字を比べますと明らかに字の太さも筆跡も違うわけですね。
この選挙運動費用の収支報告書に書かれた寺田稔と、こういう宛名も寺田事務所で後から書いたということですね。
○国務大臣(寺田稔君) 当然のことでございますが、いずれの支出も具体的なこの支出に対する領収でございますので、まず、この宛名の追記は偽造という指摘は全く当たりません。
この発行者から追記の要請がある場合については、先ほど塩川議員からの御質問に対してお答えしたとおりでございます。
選挙期間中のものについては、ちょっとまだ私、あれ確認ができておりません。
したがいまして、いずれにせよ、選挙期間中に仮に私の名前が記載をしてあったとしても、それは公職選挙法上正当な領収書であることは間違いのないところでございます。
○井上哲士君 追記をするのは適当ではありませんというのは総務省が言っているんですよ、事実上。それを大臣が平気で違うこと言うのは、私は本当におかしいと思いますよ。
そして、今、選挙運動期間中のことは分かりませんと言われましたけども、そうしたら、この選挙運動収支報告書に書かれた七十一枚が、七十七枚が同一の筆跡ではないかという問題についても、誰がやったのか確認していただけますか。
○国務大臣(寺田稔君) 選挙期間中のものについてはその確認をさせていただきますが、いずれにしても、この適正化委員会のこの指針には反しておりません。追記の要請があった場合は認められております。
○井上哲士君 本当に私は、政治資金規正法の目的や趣旨を全く理解してない答弁だと思いますよ、今のは。これ、大臣に関係する政治団体等で頻繁に領収書の宛名の追記が行われていたのではないかと、こういうことが考えられるわけですね。
で、竹原後援会の宛名の筆跡が酷似した領収書の中には、広島参議院選挙区第六支部の政治資金パーティーの領収書もある。これも十一月八日の質問で塩川議員が、こうしたパーティー券などで領収書の追記が頻繁だったのではないかと、こう質問いたしました。これも確認をすると大臣述べられましたけども、確認されたでしょうか。
○国務大臣(寺田稔君) 確認をしました結果、領収書の追記は頻繁には行われておりません。
御指摘のものなど二件について確認をされたところでございますが、先ほども言ったように、追記の要請を受けたものでございます。
○井上哲士君 あのね、政治資金パーティーの会費を払った際に白紙の領収書をもらって自分たちが書き込んだことが二〇一六年当時大問題になったんですよ。当時、自民党幹事長名で改善するように通達はされているんですね。それを、政治資金を所管する大臣でありながらそれに反することをやっていた。そのことを全く反省ない答弁するのは、私、本当に問題だと思うんですね。
政治資金規正法は、本来、議会制民主主義の健全な発達を目的として、政治活動が国民不断の監視と批判の下に行われるようにするために政治資金の公表を定めたものでありますが、この間指摘している様々な問題、そして今日新たに指摘をした様々な問題、総務省自身のQアンドAに反するような領収書の宛名の追記をですね、横行していてもそれを問題にしないと。
私は、法律を所管する総務大臣としての資格が問われていると思いますけども、大臣は、この政治資金規正法の目的と趣旨、そしてそれに照らして自身の行動をどう考えているのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(寺田稔君) 御指摘のこの政治資金規正法のこの目的規定の趣旨に沿い政治資金の収支の公開を行っているところでございまして、政治活動の透明性を確保しているところでございます。
私の関係するこの政治団体においてこの事務的なミスがありましたことについては遺憾であり、これまでもおわびを申し上げているところでございまして、今、関係政治団体の体制についても必要な見直しを行っているところでございます。関係する政治団体も含め、適正な処理が行われますように努めてまいります。
○井上哲士君 大臣の五つの政治団体については、収支報告書の記載漏れの疑惑、呉後援会の家賃支払の疑惑、大臣の妻が代表者である以正会をトンネルにして源泉所得税を免れているのではないかという疑惑、そして、今朝の文春電子版は、さらに新しい疑惑も報道しております。
私も広島出身でありますから、広島には友人や親戚もたくさんおります。あの河井法務大臣夫妻の選挙買収のときに、今も本当に多くの皆さんが憤って残念がっていますよ。そして、今度は、その政治資金を担当する大臣に広島出身の寺田さんがなった。それがまたこういうことが起きている。私は、地元の広島の皆さん、本当に憤っている、その信頼を失っていると、それで本当に所管する大臣として資格があるのか。改めて、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(寺田稔君) 繰り返しにはなりますが、この私の関係する政治団体において事務的なミスがありましたことは誠に遺憾であり、おわびを申し上げるところでございます。また、関係する政治団体も含め、その適切な処理が行われるように努めてまいり、政治資金法の趣旨を貫徹できるように努めてまいりたいと思います。私の地元からも大変多くのこの激励をいただいているところでございます。
○井上哲士君 激励をいただいている、そうですか。私は、今本当に多くの残念だという怒りの声がたくさん届いております。そのことを受け止めていただきたいと思います。
最後、時間がありませんので、公選法についても質問させていただきますが、この小選挙区の下で多数の死に票が生まれて、得票と議席に著しい乖離が生じると、こういうことも指摘をされてきました。特に今回、この間、小選挙区の下で少なくない有権者が市町村や地域社会を分断する異常な線引きを押し付けられて、選挙のたびに不自然な選挙区変更が押し付けられてきました。しかも、この間の区割り改定で三回連続して改定となる選挙区が六都県十五選挙区もあるんですね。
選挙で当選した、自分が投票して当選した議員が任期中に公約に基づいてどういう活動していたのか、それから自分の選挙区の議員がどういう活動をしているのかと、それを見て次の選挙で判断して投票すると、この積み重ねが私は議会制民主主義にとって本当に重要だと思うんですね。それが、選挙のたびにですよ、区割りが変わっている人がいるんです。そうしますと、自分が投票した議員は任期中に何やったかと、次に審判、判断を下すという権利が奪われているんですよ。
こういう有権者が生まれていることについて、大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(寺田稔君) この現行のこの小選挙区比例代表並立制については、選挙の仕組みを個人中心から政策、政党中心の仕組みに転換をしたものでございます。そうした中で、この民意の集約による政権選択機能、また民意の反映機能という二つの基本理念の下、今回、第八次の選挙制度審議会のこの答申にも書いてありますとおり、政権の選択についての国民の明確な意思が示されるなどの長所が挙げられているところでございまして、いずれにせよ、この選挙制度の根幹に関わる問題であり、これまでも各党各会派の熱心な、また活発な御議論により現行制度に至っております。
この平成二十四年のいわゆる緊急是正法、また二十八年の選挙制度改革関連法などによりまして、この定数減となりますそれぞれ五県及び六県以外の都道府県の定数はこれまで変更されず、最小限の区割り改定にとどめましたことから、平成二十五年及び二十九年の二回にわたります区割り改定においては、この人口較差の二倍未満をいたしますとともに、地方部において各選挙区の人口を基準選挙区以上とするために、この分割等、市区の分割等が上ったものと承知をいたしております。
今回、御承知のとおり、令和二年の国勢調査に基づくアダムズ方式によりまして見直しが行われました結果、多くの市区町の分割解消が行われたものと承知をしております。
投票価値の平等という大変重要なこの理念の下、今回の区割り改定法案がもし成立の暁には、総務省においても、十分改定の趣旨また内容を理解していただくべく、周知、広報、またきめの細かい周知啓発に努めてまいります。
○委員長(古川俊治君) 時間が来ております。
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、今後も小選挙区制を続けていく限り、自分が投票した投票者に、候補者に次の選挙で審判を下すことができないという指摘した問題はやはり続くんです。
選挙制度の抜本的な改正が必要だということを求めまして、質問を終わります。
政治倫理・選挙制度特別委員会(寺田稔総務相の領収書偽造疑惑/公職選挙法改正案)
2022年11月16日(水)