○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、区割り改定法案に反対の討論を行います。
本案は、アダムズ方式を導入して定数配分し、政府のいわゆる区割り審議会勧告に沿って衆議院小選挙区十増十減の区割りを改定するとともに、衆議院比例代表のブロック定数三増三減を確定するものです。
今回の区割り改定案は、二十五都道府県百四十選挙区の区域変更が行われます。過去最多、全体の半数の選挙区であり、多くの有権者に影響を及ぼすことになります。また、最大較差が一・九九九倍であり、次回国勢調査後にまた区割り変更が行われる可能性があるものです。
審議で明らかになったように、今回の区割り改定で三度区割り変更となる選挙区が生まれています。選挙区が変更になる有権者は、前回投票した候補者や自分の選挙区から選出された議員の活動に基づいて次の選挙で審判を下すという有権者としての権利が奪われることになります。
大きな区割り変更を行っても較差の問題は続きます。これは、小選挙区が投票価値の平等という憲法の原則とは矛盾する制度であることを示すものです。二〇一六年の衆議院選挙制度関連法で、長期にわたり小選挙区制を温存することにしたのが間違いであったことは明白です。
そもそも、選挙制度の根本は、国民の多様な民意を正確に議席に反映することです。得票と議席に著しい乖離と、半数に上る死に票を生み出す小選挙区制は廃止し、民意を反映する選挙制度への抜本的な見直しを行うべきです。
このことを強く主張し、反対討論とします。
政治倫理・選挙制度特別委員会(公職選挙法改定案に対する反対討論)
2022年11月16日(水)