○井上哲士君 日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。
PFIは、公共施設を民間企業に整備、運営させ、収益を上げようというものです。しかし、非営利で住民の福祉の増進を目的とする公共施設と企業の営利追求とはそもそも相入れないものです。
こうした根本的な矛盾を抱えたPFIは、本法施行後二十年以上が経過する中で、民間事業者の相次ぐ経営破綻などの問題事例を生み出してきました。会計検査院の報告でも明らかなように、低コストで質の高いサービスを提供するとのPFIの破綻は明白です。
質疑でも明らかにしたように、民間企業が収益を上げるために住民負担を引き上げ、施設で働く職員を非正規雇用に置き換えるなど、施設の公共性を犠牲にせざるを得ないのがPFIの本質です。にもかかわらず、岸田内閣は、PFIを新しい資本主義の中核としてデジタル田園都市国家構想の推進力と位置付け、今後十年で三十兆円の事業規模を目標に推進していくとしています。PFIの延命と推進を図るために出された本法案は、到底容認できるものではありません。
本法案は、コンセッション事業について、施設方針で定められた公共施設の規模や配置を事業期間の途中であっても民間事業者からの提案で変更可能としています。これは、営利を目的とする民間事業者の意向を反映させるためのものであり、公共施設管理者が実施方針で条件付けた政策目的が損なわれ、施設としての公共性が一層形骸化する懸念があります。
また、株式会社民間資金等活用事業推進機構、いわゆるPFI推進機構の設立期限の二〇二七年度末までの延長は、収益の上がらないPFI事業者の延命にほかなりません。機構が目指すインフラ投資市場の形成とは、公共施設を民間企業のための収益施設に変質をさせ、投資対象にしようとするというものであり、これを政府を挙げて推進するための機構の延長は断じて認められません。
民間企業の利益追求のために住民の福祉の増進という公共施設の本来の目的を犠牲にするPFIは即刻やめるべきだと述べまして、討論を終わります。
内閣委員会(PFI法改定案に対する反対討論)
2022年12月 8日(木)