国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2023年・211通常国会 の中の 内閣委員会(子ども・子育て政策たたき台について)

内閣委員会(子ども・子育て政策たたき台について)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 四月一日にこども家庭庁が発足をし、先月末には、この子供政策のたたき台となるこども・子育て政策の強化について、試案が発表をされました。中身は、率直に言って、長年にわたって国民の運動や我が党などが繰り返し求めてきたものが部分的に盛り込まれたもので、異次元とはとても言えないなと思っております。
 例えば、子供の医療費を助成している自治体に対してペナルティーを掛ける減額調整措置の廃止は当然ですが、国民の願いは、国の制度として子供医療費の無料化です。それは踏み込んでおりません。それから、子育て支援で一番願いが強い教育費の負担軽減でも、大学などでの学費引下げは含まれておりません。
 その上で大臣にお聞きしますが、様々な政策がこのたたき台に列挙されておりますが、これらを実行するための予算の規模、そして財源については、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) お答えいたします。
 先般、こども・子育て政策の強化に関する試案を取りまとめさせていただきました。今後、この私の試案を踏まえまして、総理を議長としたこども未来戦略会議において必要な政策、予算、財源について更に議論を深め、六月の骨太の方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示することといたしております。
 今回の試案で掲げたこども・子育て支援加速化プランに必要な予算額についてでありますが、今後、具体的な制度設計の検討と併せて精査していくものと考えておりまして、現時点でお示しをすることは困難であると認識しております。
 また、財源につきましては、例えば育児休業給付につきましては雇用保険で対応しておりますほか、保育所や児童手当についてはその費用を国や地方、事業主拠出金などによって賄っており、その負担割合もそれぞれ異なっております。こうして、子ども・子育て政策の財源については、このような個々の施策の内容を踏まえて議論する必要があると考えておりますため、財源につきましても、充実する政策の内容、予算規模に応じて、各種の社会保険との関係、国との地方、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など様々な工夫を凝らしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えていかなければいけないと思っております。
 いずれにいたしましても、総理の下で更に検討を深め、先ほど申し上げた骨太の方針までに予算倍増に向けた大枠を提示をさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 まあたたき台として示されたわけでありますが、時期、規模に、財源についても明確ではありません。
 この間、専らこの社会保険料に上乗せして子供関連予算に充てるという報道がされております。既に、この四月から五十万円に引き上げられる出産育児一時金の財源は、後期高齢者医療制度の保険料の上限額を段階的に引き上げることで確保するとされておりますが、私は、少子化対策、子育て対策をやる上で、相応の予算が必要でありますけども、この世代間の分断を持ち込むようなやり方はやるべきでないと思います。
 軍事費の拡大に向けられた巨額の予算や不要不急の無駄遣い予算を振り向けること、大企業や、そして高額所得者を優遇する税制を負担能力に応じたものに変えるなどなど、こういう方向が必要だと思いますけれども、大臣、改めて見解いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 財源につきましては、充実する政策の内容に応じまして、まずはしっかり歳出改革も行った上で、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかが重要だと思っております。
 まさに、こうした考えにのっとって、これからこども未来戦略会議におきまして総理の下で議論を進めていくわけでございますので、今の段階で予断を持って私から申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 繰り返しになりますが、世代間に分断を持ち込むやり方ではなく、やっぱりきちっと、しっかり無駄を省きながら取るべきところは取るということを強く求めたいと思います。
 この試案で示された内容について、特に今後三年間で加速化して取り組むとされているこども・子育て支援加速プランのうち、幼児教育、保育の質の向上に関連してお聞きします。
 この試案では、安心して子供を預けられる体制整備を急ぐとして、職員の配置基準について、一歳児では六対一から五対一へ、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善するとしておりますけども、これは配置基準そのものを改定するということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 今般取りまとめましたこども・子育て政策の強化に関する試案におきましては、長年の課題を解決する施策といたしまして、まず公定価格の改善について、費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ取組を進めること。さらに、委員御指摘のように、一歳児及び四、五歳児の職員配置基準について、一歳児は六対一から五対一へと、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善するとしたところであります。
 最低基準としての配置基準自体を引き上げた場合には、全ての施設において新しい基準の下でその基準に見合うだけの保育士等を確保することが必要になるため保育の現場に混乱が生じる可能性もあり、こうした点を踏まえつつ配置改善を進めていく必要があるというふうに考えております。
○井上哲士君 つまり、配置基準そのものの改定には踏み込まないということですか、今のは。
○国務大臣(小倉將信君) 繰り返しになりますが、最低基準としての配置基準自体を引き上げた場合には、全ての施設がそれに見合うだけの保育士を確保する必要が出てくるため、現状、様々な園において基準に達しないということも起こる可能性がございます。そういったことを考えると、まずは施設に対する手厚い手当て、そういったものを通じて十分にそれぞれの施設において保育士を確保していただくということが適当だろうと考えております。
○井上哲士君 大臣が三十一日の会見で今のような趣旨を述べられたわけですね。これには保育関係者から、七十五年ぶりとなる保育士の配置基準の改善じゃないのか、加算ではなくて配置基準を変えてほしいと、こういう声が上がっております。
 愛知県の「子どもたちにもう一人保育士を!実行委員会」の皆さんが集めたこの保育士に対するアンケートはいろんな声が載っていますけど、二年前まで保育士をされていた方はこういうふうに言われています。特に四、五歳の担任だと、休憩時間は記録で終わり、休憩室で休憩できるのは年に数回、夕方も記録や保護者対応で定時になり残業は当たり前、毎日持ち帰りもあり、園でしかできない仕事をするためには、ほぼ毎週土曜日こっそり園に行っていましたと。仕事のことが頭から離れなくて心も体も家庭も壊してしまい、退職をしましたと、こういう声であります。たくさんの声がこのアンケートに満載をされております。
 保育士一人当たりの子供の数が多過ぎることからくるこの長時間過密労働が保育士を離職に追い込んでいる。私は、配置基準そのものの見直しが待ったなしだと思うんですね。
 基準どおり配置ができないところができて混乱する場合もあると言われましたけども、厚労省がまとめた保育を取り巻く状況についてという資料の中に、保育士の登録者数と従事者数の推移があります。これ見ますと、二〇一九年で保育士の有資格者は百六十万七千人いますけども、保育所等で働いているのは六十二万六千人で三八・九%にすぎないわけですね。
 保育士が不足しているんではなくて、保育の職場が働きたいと思えるような場所になっていないと、意欲がありながらも辞めざるを得ない今のような方もいらっしゃると、これが現実ではないでしょうか。
 配置基準を抜本的に改定する、ちゃんと最低基準として保育士一人一人が見る子供の数を減らすということは、保育士が子供たち一人一人に寄り添って丁寧な保育を保障して、保育の職場が保育士の皆さんから選ばれるような、そういう魅力とやりがいのある職場にすることになると思うんですね。基準どおり配置できない保育園ができるということではなくて、やっぱりこれだけの皆さんいる、資格者いるわけですから、そういう人たちがやっぱり保育園で働けるようになると、そういう確保のためにも基準そのものを改定することが必要と考えますけども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 現場が非常に業務に多忙を極めていて、しっかり子供と向き合う時間が欲しい、そのような園や保育士の方々からのお声はお寄せいただいております。だからこそ、今回、配置改善ということをたたき台に盛り込んだわけでございます。
 他方で、しっかりそれぞれの園にも保育士を確保していただかなければなりません。今委員御指摘いただいた潜在保育士の課題、これは私どもも認識しておりますので、しっかり、潜在保育士の皆様方が復職していただけるような、そういう支援もしなければなりませんし、現場に復帰しても従前と同じように繁忙感にさいなまれないように、例えばデジタル技術等々も活用しながら現場の負担軽減も図らねばなりません。それと同時に、たたき台にも記しておりますように、保育士自身の魅力を高めるための更なるその処遇改善というものも実践をしていかなければいけないというふうに思っております。
 今申し上げたような様々な施策を積み重ねることによって、しっかりとこの配置基準どおりにそれぞれの園の皆様方が十分なだけの保育士の方々を確保できるような環境を整えていくことが私どもの務めではないかというふうに考えております。
○井上哲士君 保育士の皆さんが保育所で働けるようになる上でも、やっぱり一人当たりの子供の数を下げるという点で、私はこの基準の改定待ったなしだと思いますが、これ、子供たちの安全を確保する上でも待ったなしなんですね。
 先ほど紹介した、この「子どもたちにもう一人保育士を!実行委員会」の皆さんは、保護者にもアンケートを取られておりますが、例えば、送迎時に見ていると、同時にトラブルが起こった際、対応し切れていないと感じる、三歳児はよく動き、分かっていても危険なこともしてしまう中で配置人数が少ないのは保護者としても不安に感じる、保育士は子供の命を預かるので、心に余裕がないときちんと保育できないと思います、保育の必要な小さい子に目の行き届かない配置基準は根本的におかしいです、五歳で保育士一人で三十人は預ける親も不安だと、こういう声も本当に保護者の方からも満載なわけでありまして、この安心して子供を預けられる体制整備というならば、こういう声にしっかり応えて、やはり配置基準そのものの抜本改定を改めて強く求めたいと思います。
 その上で、じゃ、今度は、保育施設の整備についてお聞きしますが、この間、待機児童対策として多様な保育施設の整備が進められてきました。試案では、待機児童対策などに一定の成果が見られたことも踏まえ、子育て支援については、量の拡大から質の向上へと政策の重点を移すとしております。しかし、問われるのは、この間の量の拡大の中身がどうだったのかということだと思うんですね。
 保育所や認定こども園などの施設は、子ども・子育て支援新制度がスタートした二〇一五年の二万八千七百八十三か所から、二〇二二年では三万九千二百四十四か所へと一万四百六十一か所増加をいたしました。
 その内訳について、幼保連携型認定こども園、幼稚園型認定こども園、保育所型認定こども園、地域型保育事業、認可保育所、それぞれどのように推移をしているでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
 子ども・子育て支援新制度がスタートをいたしました二〇一五年におきましては、幼保連携型認定こども園の箇所数が千九百三十一か所、幼稚園型認定こども園等については五百八十二か所、保育所型認定こども園が三百二十八か所、特定地域型保育事業が二千七百三十七か所、認可保育所が二万三千二百五か所、合計で全体としては二万八千七百八十三か所でございます。
 また、二〇二二年度におきましては、同様に申し上げますと、幼保連携型認定こども園で六千四百七十五か所、幼稚園型認定こども園等で千三百九十六か所、保育所型認定こども園が千三百五十八か所、特定地域型保育事業が七千四百七十四か所、認可保育所が二万二千五百四十一か所でございまして、全体で三万九千二百四十四か所となってございます。
○井上哲士君 今の数字、お手元の資料に配付をしておりますが、この間の受皿整備は、これ見ますと明らかなように、一言で言えば、公立の認可保育園を増やすのではなくて民間参入を拡大することで増やしてきたと言えます(配付資料)
 保育所の運営は、一九六三年の厚生省通知で社会福祉法人しか認可しない運用がされてきましたけども、二〇〇〇年の通知で社会福祉法人以外の許可申請を認めて、営利企業の保育事業参入に道を開きました。保育所以外で営利企業が運営できる施設は、保育所型認定こども園と地方裁量型認定こども園、地域型保育事業があるわけですが、二〇一六年からは、認可外でありながら国費で支援される企業主導型保育事業も始まりました。奈良女子大の中山徹教授の調べでは、二〇一九年の十月時点の数字でありますが、地域型保育事業の四一・八%が企業経営となっております。
 こうした受皿の拡大を当事者である子供を持つ親がどう考えているのか。東京都が二〇一八年五月に公表した東京都保育ニーズ実態調査では、利用を希望していた施設と実際に利用している施設の比較を調べております。利用を希望する施設で最も多いのが公立の認可保育所で、半分以上、五一・九%なんですね。しかし、実際に公立の認可保育所を利用しているのは一七%にとどまっておりまして、この希望をしている保育施設と実際に利用している施設の間に大きなギャップがあります。
 要するに、この公立の認可保育園が足りないということだと思うんですが、こうした現状を大臣どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 待機児童が我が国の大きな課題になったときに、様々な法人の皆様方のお力をいただいて、様々な業態の下で受皿整備を進めてまいりました。結果として、いっときは待機児童数二万六千名を超えておりましたところ、足下は三千人程度まで減少することができております。これも皆様方、様々な法人の皆様方にお力をいただいたその結果もあるんじゃなかろうかと考えております。
 保育所を利用する方のニーズや地域における整備量などは様々であると考えておりますが、可能な限り利用者の希望に沿った保育所に入所できることが望ましいとは考えております。
 御指摘の平成三十年の東京都の調査結果におきましては、東京都で公立保育所の利用を希望する人と実際に利用した人の割合に差があったというものになっておりますが、政府としては、公立保育所のみならず、私立保育所や小規模保育所等、様々な業態を含め保育の受皿の確保に先ほど申し上げたように努めてきたところでありまして、市町村において、利用者のニーズも踏まえて、適切に受皿確保を進めていただきたいと考えております。
 その上で、国としては、市町村において、保育所を利用される方の希望を踏まえまして、きめ細やかに対応していただきたいと考えております。
○井上哲士君 公立のこの認可保育園のニーズは、土台には、一方でこの間参入が広がった営利企業の保育所のおける、この保育所のやっぱし労働条件の問題、やっぱり見ていらっしゃるんですね。
 二〇一九年の東京都の保育士実態調査でも、離職理由で一番多いのは職場の人間関係で三三・五%ですが、次いで、給料が安い、二九・二%、仕事量が多い、二七・七%、労働時間が長い、二四・九%なんです。長い時間で休憩もない、しかし給料が安いと。これが本当に切実な問題なんですね。
 この間、政府は保育士の賃上げとして公定価格の引上げを行いましたが、月額九千円程度では、全産業平均よりも月八万円低い、この福祉、保育職場で働く職員の実態からすれば全く足りません。
 さらに、この営利企業の参入を認めたことが保育士の処遇を悪化させている実態があります。
 我が党の文京区議団の調べでは、文京区内で認可保育園を運営する企業は、運営費の九%から二四%を本部経費として徴収をしているんですね。株式会社二十社が区内で運営する保育所だけでも、二〇二一年度に実に五億三千万円を本部経費として吸い上げております。
 区内二園から会計、合計千六百十万円を本部経費として吸い上げてきたある企業は、同社とその持ち株会社の会長を兼務する人物が二〇二一年に連結報酬一億五千三百万円、株の配当一億六千七百二十万円を得ておりますが、国は都区部の保育士の年収を約四百四十万円と想定して運営費を支給していますが、この会社の経営する区内の保育園の保育事業者の平均年収は二百八十二万円にすぎないんですね。
 この調査でも、本部経費を吸い上げられていた園の人件費は、人件費の比率は多くが四から五割台。一方、東京都の調査では、社会福祉法人が運営する園の人件費の比率は平均七〇・五%なんです。これだけ大きなこの人件費の比率に差があると、こういう現状、大臣、どう認識されているでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) まず、保育士につきましては、これまで累次の処遇改善に取り組んでまいりましたが、これらの補助金や加算につきましては、施設から賃金改善の計画書や実績報告書を提出させて、市町村において確認する仕組みとしており、補助額や加算額が賃金改善に確実に充てられるようにいたしております。
 私立保育所に対する御指摘の委託費でありますが、運営主体の安定的、効率的な事業運営を図る観点から一定の範囲内で弾力的な運用は認めておりますものの、都道府県の確認や、不適切な使途が明らかになった場合の都道府県の指導の仕組みも取り入れているところであります。
 委託費用の使途の見える化につきましても、本年二月から内閣府において有識者会議を開始したところでもありますので、また制度や地方自治体の先行事例も参考にしながら、更に何ができるか、検討を進めてまいる予定であります。
○井上哲士君 この営利企業が運営するところでの人件費率が低いのは、今ありました委託費の問題なんですね。本来、人件費に使うべきお金を他の目的に流用できるようにこの弾力化をしてきたと、これが大きな問題でありまして、これ東京自治労連がまとめた、東京の株式会社保育事業の闇、弾力運用の実態と不正受給の問題を告発するという調査報告書ですけれども、結局、この委託費の弾力運用によって人件費を削減して、企業が利益を上げて、あるいはため込んだお金で別の行政区の施設整備に、株式会社が運営する施設にお金を回していると、こういう実態がもう赤裸々に分析をされております。
 葛飾区内の株式会社が運営する保育園の人件費率は平均で五三・四%でありますが、低いものになると三〇%台とかあると。社会福祉法人の運営する保育園は七五・五%に、これだけのやっぱり格差があるわけですね。
 今いろいろありましたけど、やはり委託費の弾力運用がこういう保育士の処遇悪化の要因になっていると、こういう観点が必要だと思いますけれども、大臣、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 先ほど申し上げたように、委託費に関しましては、まずは運営主体の安定的、効率的な事業運営を図る観点から、一定の範囲内で当該保育所の運営費以外に充てることができるよう、弾力的な運用を認めているということであります。
 御指摘のような意見があることも承知をいたしておりますが、委託費の弾力的な運用については、私どももこれを無制限に認めるものではなく、給与規程に基づき人件費の運用が適正に行われているなど、一定の要件を課すとともに、必要な場合には都道府県が委託費の使途について確認をするということといたしておりまして、こうした仕組みを通じて、委託費が我々の考えどおり適切に運用されるように努めてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 実際はそうなっていないというのが今挙げた数字なんですね。これはきちっとやっていただきたいし、そもそもこれを見直すことが必要だと思います。
 さらに、子ども・子育て支援新制度が発足した際に、認定こども園等の施設型給付や地域型保育事業の地域型保育給付をされましたけれども、この使途は限定をされているんでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
 認定こども園や地域型保育事業の運営費の使途については限定はされておりません。なお、処遇改善等加算につきましては、加算額の全てが賃金改善に確実に充てられていること、賃金水準が前年度の水準を下回らないことを自治体におきまして確認いただく仕組みとしており、賃金改善以外に充てることは認めておりません。そんな状況になってございます。
○井上哲士君 先ほどの委託費も、いろんな条件課しているとか、ちゃんと見ていると言われますけど、現実には違うことが起きているわけですね。そうであれば、仕組みそのものに問題があるのか、運用に問題があるのか、結果として、やはりこの保育士の皆さんの処遇改善にならなくちゃいけないと思うんですね。
 若い世代の所得を増やすというならば、こういう施設型給付の使途を明確に規制することや、委託費の弾力運用をやめる、やっぱり人件費が人件費としてちゃんと保育士の皆さんに届くような、そういう仕組みにするようにすべきだし、運用も含めて全体を見直すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 既に先ほど申し上げたように、都道府県による確認ですとか、不適切な使途が明らかになった場合の都道府県による指導の仕組みもございます。
 それに加えて、これも先ほど申し上げましたように、見える化も重要だと思っておりまして、新たな取組といたしまして、委託費用の使途の見える化につきまして内閣府で有識者会議を開催したところでございます。しっかりとこの会議において更に何ができるか検討を進めてまいりたいと思っております。
○委員長(古賀友一郎君) 時間となりましたので、まとめてください。
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、配置基準はしっかり改定をして、やっぱり本当に働きがいのある職場にすることでありますし、賃上げをちゃんとして、保育士が希望を持って働けるし、子供たちも輝く、保護者も安心して預けられると、そういう保育園にするべきだということを強く申し上げまして、質問終わります。ありがとうございました。

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