国会質問議事録

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内閣委員会(DV防止法改正案、相談支援体制の強化について)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 本法案は、保護命令の申立てができる被害者の範囲、発令要件を精神的暴力や性的暴力、経済的暴力にも拡大をすることを始め、接近禁止命令等の禁止行為と期間の拡大、保護命令違反の厳罰化などを行うもの。特に、非身体的暴力への拡大などは、被害者支援の立場から、現場から強い要望があって、我が党としても求めてまいりました。同時に、退去命令については対象暴力を拡大はしないこと、緊急保護命令の導入は見送ったこと、被害者の相談体制の強化など、残された課題が多々あります。
 まず、保護命令の対象暴力の拡大について聞きます。
 法案は、退去命令だけは現行のまま身体的暴力に限るものとなっています。内閣府の女性暴力専門調査会の今後のDV対策の在り方では、保護命令制度について、非身体的暴力は身体的暴力と同様に扱うべきであるとして、退去命令にも対象暴力の拡大を行うこととされておりました。この専門調査会の下に置かれたDV防止法見直し検討ワーキング・グループでも、保護命令の種類によって対象暴力の扱いに差異を設けることは想定されておりませんでした。ところが法案は差異ができたわけですね。ワーキング・グループ構成員の方からお話伺いましたけれども、条文を見て非常に驚いたと言われておられました。
 なぜ報告書と異なって退去命令だけを非身体的暴力の対象外としたんでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 今回提出させていただきました法案は、配偶者暴力防止法見直し検討ワーキング・グループ、御指摘のワーキング・グループの報告書を受けて、それに法制的な検討を加えて、政府として法案を提出をさせていただきました。
 御指摘の点につきましては、従来の配偶者暴力防止法においては、いわゆる精神的暴力については、その範囲や裁判所における認定の問題があるとして、保護命令の対象とされてきませんでした。今般、接近禁止命令等について、生命、身体、自由、名誉又は財産に対する脅迫を受けた被害者を広く対象とし、かつ命令期間の伸長、罰則の厳罰化など、相当強化をすることといたしております。他方で、退去等命令につきましては、命令を受けた者の居住の自由や財産権の制限が大きいものでありますことから、その被害者の範囲の拡大については今般の改正には盛り込まないこととしたものであります。
○井上哲士君 退去命令といいましても、暴力から逃れるための引っ越しの荷造りを安全に行うためなどに利用されているものなんですね。逃げなければ暴力によって精神に重大に危害を受けるおそれが大きいというときに、この引っ越し準備のために加害者を一時退去させることもできないのかということになるわけです。今、加害者を退去させている点で権利制限の質が異なるというお話がありましたけれども、それは退去命令だけ非身体的暴力に拡大しないほどの理由には私はなっていないと思うんですよ。
 運用状況を見て検討ということも午前中ありましたけれども、速やかにこの精神的暴力にも拡大をしていくべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(小倉將信君) 午前中も答弁したと思いますが、今般、検討規定を盛り込んでおり、退去等命令の被害者の範囲の拡大については、今般の改正による接近禁止命令等の運用状況等も踏まえ、必要に応じ検討することも考えております。
○井上哲士君 是非速やかな検討を求めたいと思います。
 保護命令の発令要件について、改正案は、精神的暴力を念頭に、現行の身体から心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときとしております。それがどのような状況なのかは、午前中も質問があり、答弁がありましたので、この質問は割愛をいたしますが、その場合のこの保護命令の申立てについてです。
 診断書がDVとの明確な因果関係まで証明までするものでなくとも、申立てにおいて暴力を受けた被害状況を示し、そして診断書があれば、重大な被害を受けるおそれが大きいとして保護命令の対象になっていくと、こう理解しても、大臣、よろしいでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 御指摘の、御質問の件については、まずは個別具体的な状況に照らし裁判所において判断すべき事柄ではありますが、接近禁止命令については、身体に対する暴力等によりうつ病やPTSD等のような精神医学の見地から配偶者暴力の被害者に見られる症状で通院加療を要するものが既に認められる場合で、配偶者からの更なる身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと考えられます。
 また、うつ病等については、迅速な裁判の観点から診断書が必要になるとも考えております。
○井上哲士君 これ、非常にそういう点では診断書が大事になっていくわけですが、DVや性暴力被害への専門的知見を持ってトラウマ治療ができる精神科医の少なさというのも指摘をされております。地域によっては精神科医さえいない場合があります。
 被害者は、加害者から行動を制限されているなど、なかなか相談窓口にたどり着けない。たどり着いても、必ずしも医療機関を受診して診断書を取れているわけではありません。医療機関にやっぱり被害者がつながるような支援をしていく必要があると考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。
 配偶者からの暴力の被害者の中には、精神的なショックが大きいなどの理由によって医療機関において自身の、自身の症状やその原因等を医師に説明することが困難な方もいらっしゃると認識しております。
 内閣府で実施しておりますDV相談プラスでございますが、被害者の多様なニーズに対応できるように、電話、SNS、メール等での相談への対応に加えまして、全国の民間支援団体のネットワークとも連携し、必要な場合には医療機関も含めた関係機関への同行支援や保護まで対応することとしております。
 また、内閣府が都道府県に交付する交付金におきましても、関係機関への同行支援に係る交通費等を交付対象としており、民間シェルター等の被害者支援団体による医療機関等への同行支援を後押ししてございます。
 内閣府では、こうした取組によりまして、診断書を持っておられない被害者の方につきまして医療機関につながるように支援してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 医療機関につながっても、必ずしもDV被害を自覚できていなかったり行動を起こせない被害者も少なくないというのも朝から指摘がありました。そういう点で、やはり医師からの通報や情報提供は大変重要だと思うんですね。
 ところが、医師が、配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときの通報、できる規定、それから配偶者暴力相談支援センターなどの利用についての情報提供の努力義務について、いずれも非身体的暴力は拡大されませんでした。
 やはり、このDV被害に無自覚だったり行動を起こせない場合が少なくない精神的暴力等もこれにやはり含めていくべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) お答えいたします。
 被害者以外の第三者による通報は、それにより夫婦間に公的機関の関与が行われる端緒ともなり、夫婦関係に影響を及ぼすことにもなるため、外形的に範囲が明確である身体に対する暴力に限り通報の努力義務が課されております。
 身体に対する暴力以外の配偶者からの暴力につきましては、その範囲が必ずしも外形から明確とは言えないことから、既に保護命令の対象となっております生命、身体に対する脅迫についても通報の努力義務の対象にはなっておりません。委員御指摘のとおりでございます。
 このように、現時点では法的な努力義務を課すのは困難とは考えられますものの、精神的暴力など心身に有害な影響を及ぼす言動を受けている者を発見した場合に適切に通報等がなされるよう、啓発にしっかり努めてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 是非、本当、被害者の立場に立って、いろんな支援につながるような啓発など、是非強めていただきたいと思います。
 それから、生活の本拠を共にしない交際相手からの暴力、いわゆるデートDVについてお聞きします。
 家の鍵を渡している交際相手から性暴力や身体的暴力を受けた被害者が、生活の本拠を共にしていないからと、DV法で対応されなかったという事例もお聞きしました。こういう、DV防止法の範囲にこういうデートDVも広げていく必要があるのではないでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 現行法におきましては、生活の本拠を共にする交際をする関係にある相手からの暴力については、配偶者暴力防止法の規定が準用されることになっております。この生活の本拠を共にする場合とは、被害者と加害者が生活のよりどころとしている主たる住居を共にする場合を意味するものと考えております。
 生活の本拠の所在につきましては、午前中も議論ありましたように、住民票上の住所によって形式的、画一的に定まるものではなく、実質的に生活をしている場所と認められる場所をいい、共同生活の実態により外形的、客観的に判断されるべきものと考えておりますが、補充的に意思的要素も考慮されることがあると考えております。
 また、御指摘のいわゆるデートDVにつきましては、重大な人権侵害であり我々も許さない行為と認識しております。このため、暴行、傷害、監禁、強要等の犯罪に該当し得る場合のほか、ストーカー事案として相談支援の対象となり得ることを明らかにして周知啓発等を図るとともに、御指摘の一時保護も含め予防や緊急避難などについて必要な施策の整理を行い、デートDVにも対応したストーカー被害者支援マニュアルの改訂も行い、本年三月に自治体等に配布をしております。
 したがいまして、デートDVの防止に関しましては、デートDVの防止としてこれからも引き続き様々な施策を推進をしていきたいというのが私どもの立場でございます。
○井上哲士君 被害者救済を第一に、様々な法制度を使って是非柔軟な対応を強く求めたいと思います。
 その上で、相談支援体制についてお聞きします。
 法改正によって被害者の生活再建支援のための庁内連携、民間団体との連携など、ネットワークづくりが更に求められております。保護命令の対象暴力拡大に関わった新たなサポートも必要になると思うんですね。これらに対応する公的相談窓口の体制、特に市区町村で相談対応に当たる婦人相談員の体制強化をどうするかが問われております。
 婦人相談員は、高度な専門性が求められる職種であり、加害者等からの危険にさらされるリスク、相談員が被害者が感じたような怒りや無力感やしんどさを感じてしんどくなって寝られなくなるなどのいわゆる二次受傷のリスクもある大変な業務であります。
 資料一を御覧いただきたいんですが、にもかかわらず、都道府県委嘱の婦人相談員の八三・二%、市区委嘱の八二・五%が非常勤の雇用となっております(配付資料①)。今日も配られていますが、三月九日付けの朝日新聞で、DVの相談員、低待遇に疲弊、限界という記事が出ておりました。ある自治体の婦人相談員は、月十四万余りの給料から税金や家賃、光熱費などを引くと、手元にほとんど残らない、夜はファミレスやホテルで清掃の仕事をし、週末もバイトを入れたと、こういうふうに述べられているんですね。
 こういう実態にある相談員の方ですけれども、果たしている役割は大きいと思うんですね。その点大臣の御認識、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 婦人相談員は婦人相談所、福祉事務所等において、配偶者からの暴力の被害者に関する各般の相談に応じるとともに、その態様に応じた適切な援助を行うことが求められております。また、被害者は不安を抱えながら相談に訪れることが多いため、被害者にとっての安全を第一に考え、秘密が守られる環境の中でその訴えが十分に受け入れられることが重要です。したがいまして、婦人相談員は被害者の立場に立って共に課題、問題解決を図ろうとする援助者であることについて、被害者の理解を得ること、信頼関係に基づいて援助を行うことが必要になります。
 このように、婦人相談員は配偶者からの暴力の被害者の自立の促進、保護命令制度の利用、保護施設の利用等についての情報提供、助言、関係機関との連絡調整等、法第三条第三項各号に規定されている業務について中心的な役割を担っているものと認識しておりますし、井上委員御紹介いただいたように、大変な業務の中にあって、非常に高い志と熱意を持って日々業務に当たられていることに敬意を表し申し上げたいと思います。
○井上哲士君 今述べられた重要な役割にふさわしい処遇が必要だと思うんですね。
 常勤職員としての雇用の安定を確保することとともに、この婦人相談員の専門性、継続性の保障が重要だし、現場からも求められております。
 資料二の右側の円グラフを御覧いただきたいんですが、ところが、県、市とも在職年数五年未満が約六割なんですね。三年未満が四割となっております(配付資料②)
 現場の相談員さんからお話を聞きました。DV相談にとっていかに相談の場数を踏んで習熟しているかが重要と。命や安全に関わることなので、リスクを見立てて臨機応変に対応することが求められると。これは長年の経験の積み重ね、どれ一つとして同じ相談はない、苦しい思いを吐露できた相談員につながってほしいと述べられております。
 二〇一三年のこの本法案の改正時に、我が党、赤嶺議員の質問に対して、当時の森まさこ大臣は、経験のある相談員が被害者の最初の保護から自立支援まで切れ目のない相談を行っていくことが大変重要だとして、雇い止めの実態があることにも言及しながら、継続的な配置を地方公共団体にお願いをして、体制の充実を図ってまいりたいと、こう答弁をされました。
 婦人相談員の皆さんは、無期雇用の常勤職員として、かつ原則異動のない専門職としての位置付けを求めておられます。これ、自治体にお願いするだけじゃなくて国の責任で改善すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 先ほども申し上げたように、相談員の皆様は被害者の保護を図る上で大変重要な役割を果たしていただいており、誇りを持って働いていただける環境を確保することは大変重要であると考えております。しっかり経験を有する相談員が切れ目のない相談支援を行うことの重要性は、森元大臣が答弁し、申し上げたとおりだと私も考えております。
 婦人相談員につきましては、厚生労働省において、毎年度、雇用形態に関する調査を実施しており、令和四年四月一日時点では、委員の資料にも触れておられますように、全国で千五百七十九名配置されている相談員のうち、千三百六名、およそ八二・七%が非常勤職員になっていると承知をしております。
 平成二十八年には、売春防止法の改正により、婦人相談員を非常勤とする旨の規定が削除され、常勤による配置が可能とされているところであります。
 なお、非常勤として採用することで定期異動がなく、幅広く民間から適任者を採用できるという利点もあり、厚労省においては、非常勤を配置する場合であっても適切な処遇が確保されるよう取り組んでいると承知をしております。
 厚労省においては、必要な調査を行って実態把握に努めるとともに、婦人相談員の適切な処遇の確保に努めることといたしておりまして、所管は厚労省でありますが、内閣府としても連携をしてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 しっかり専門性を生かしながら安定した実態になるように、是非政府を挙げて対応していただきたいと思うんですが、じゃ、厚労省にお聞きしますけど、配置状況の問題もあります。
 資料三を見ていただきますと、婦人相談員の数は増えてきているものの、配置されているのは市区だけでも五〇・八%にとどまっております。非常に地域格差も大きいんですね。市区の婦人相談員の一人当たりの女性人口を都道府県ごとに見ますと、三十五万人の奈良県が最多で、二十万人が四県、十万人台が三府県あって、最小は栃木県の二万五千人なんですね。これは、女性人口に子供も含まれますので参考数値ではありますけれども、これ、人口比の配置基準もないためにこれほどの地域格差が出ております。(配付資料③)
 児童福祉司のように配置基準を設けるなど、どこに住んでいても専門職の相談員がいる状況をつくる、少なくとも全市区に配置する、そのための国としての財政措置もするということが必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
 婦人相談員は、婦人保護事業の重要な担い手でございまして、可能な限り多くの市区に配置されることが望ましいと考えております。
 一方、この婦人相談員の人材の確保や定着等には課題がございまして、婦人相談員を配置している市区は、委員から御紹介のありました資料のとおり、令和四年四月一日時点で五〇・八%にとどまっております。
 そのため、厚生労働省におきましては、人材の確保と定着が図られるよう、令和五年度の予算におきまして、技能や経験に応じた更なる処遇改善の実施、セミナーや研修会の開催などの採用活動、こういったものに必要な費用の補助を盛り込んだところでございます。この処遇改善の例を御紹介申し上げますと、例えば統括婦人相談員の立場にある方には月額四万円、主任婦人相談員の方には月額五千円の加算を新たに設けているところでございます。
 厚生労働省といたしましては、これまでも全国会議等の場におきまして、未設置の市区に対して早急な配置をお願いしてきているところでございます。こうした補助事業の活用を含めて、引き続き、自治体と連携をして婦人相談員の配置促進に努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 補助事業の活用を更に拡大、そして申し上げましたように、児童福祉司のような配置基準を設けることも含めて更に強めていただきたいと思うんですが。
 さらに、これも朝から議論になっていますDV被害者支援に不可欠な役割を果たしている民間シェルターの活動の支援であります。内閣府の性暴力・配偶者暴力被害者支援交付金、何度か今日も答弁ありましたけど、これ、あくまでも新規の新しい試みなど先進的な取組に助成されるために、通常の家賃やスタッフ、人件費には充てられないという使いにくさが指摘をされています。加えて、前年度までは補助率十分の十だったのが今年度から四分の三になったという下で、この事業をもうやらないと、継続しないと決めた自治体も出てきているというんですね。
 やっぱりこの補助率の引下げというのは見直すべきじゃないでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 委員お尋ねの性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金の配偶者暴力被害者等支援調査研究事業に係る交付金の補助率につきましては、令和二年度から四年度はパイロット事業として国が十分の十としておりましたが、御指摘のとおり、都道府県等と民間シェルター等との連携が定着をしてきたことなどの状況や他の交付金等の負担割合等を踏まえ、令和五年度の実施に当たり、国が四分の三、地方公共団体が四分の一とされたところであります。
 この国負担分も含めれば、前年度よりも事業規模は拡大をいたしますので、内閣府といたしましては、地方公共団体による負担分も含めて必要な事業規模を確保しつつ、これまで以上に官民一体となってより質の高い被害者支援が実施されるよう努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 定着をしてきたというお話があったんですけど、ただ、先ほど申し上げたように、十分の十が四分の三になったのでこの事業を継続しないことを決めた自治体もあるんですね。
 そういうことからいえば、まだまだそこまで行っていないんじゃないかと、そういう点ではやはり十分の十の継続は私は必要だと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 私どもといたしましては、先般、予算委員会あるいは衆参の本会議で通過をさせていただきました本年度の予算をしっかりと執行して、まさにこの制度が変わったことによって事業をやめる、やらないというような、そういう自治体が出てこないように、しっかり内閣府としても努力をしたいというふうに思っておりますし、これまで以上にこの事業の内容が充実するように努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 是非やめないように促していただきたいんですけど、これも先ほどありました二〇一九年の内閣府の民間シェルターの調査では、八割以上が財政的な問題、施設整備の問題、スタッフ不足を抱えていることが分かりました。維持費の不足、人件費不足が非常に多く答えもあるわけですけど、いずれも財政上の問題でありますし、行政からの支援の不十分な点について、安定的な運営を行うための支援が不足しているという指摘も多かったわけです。
 先進的な取組への補助事業が行われているものの、去年五月の内閣府の実態調査でも、依然として財政的基盤の脆弱性は多くのシェルターが抱える深刻な課題であると内閣府自身が認めているわけですね。依然としてやはり深刻な実態を改善するものにはなっていないと思います。
 今回の法改正を踏まえて、民間団体の意見もしっかり聞いて、この運営費の補助など、抜本的な解決策を打ち出すべきだと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 先ほど来議論にありますように、私も民間シェルターの運営者の皆様方と意見交換をさせていただきました。非常に、大変な財政状況の中でも高い情熱、高い志と情熱を持ってやってくださっているという、そういうことを意見としてお伺いをさせていただきました。他方で、現状を見ますと、DVの相談件数も増えてございますので、被害者保護の必要性というのはより増しているというのは強く感じております。
 そういった中で、先ほど申し上げたように、まずは今年度お認めいただきました予算をしっかり担当省庁として執行していくということを心掛けてまいりたいというふうに思っておりますし、こういった様々な方の思い、御意見というのを踏まえまして、内閣府といたしましても、都道府県等、民間シェルターと連携をする都道府県等の支援に必要な予算の確保に頑張って努めてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(古賀友一郎君) 時間が参りましたので、おまとめください。
○井上哲士君 今回、声を上げ続けている被害者の皆さんや関係者の皆さんの要望が一定法改正で実りましたけれども、今るる取り上げたように、様々な課題が残されております。運用を通じた法律の見直しと財政支援も含めた支援体制の一層の強化を強く求めまして、終わります。
 ありがとうございました。

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