国会質問議事録

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財政金融委員会(軍拡財源確保法案ーFMS・米有償軍事支援の膨張)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 質問の順番について御配慮をいただきまして、ありがとうございます。
 法案に関連して、軍事費のGDP比二%への増大の問題についてお聞きをいたします。
 アメリカの要求に応えて二%枠先にありきだと、こう指摘をされてきました。これに対して総理は、四月四日の衆議院本会議で、現実的なシミュレーションを行い、必要となる防衛力の内容を積み上げて防衛費の規模を導き出しましたと答弁をされております。
 一方、総理が財務大臣と防衛大臣を官邸に呼んで、防衛費と関連経費を合わせて二七年度にGDP比二%に達するよう措置を講じるように指示をしたのは昨年の十一月二十八日でした。さらに、十二月五日に防衛力整備計画をめぐって、二〇二三年度から二七年度の五年間の総額について約四十三兆円とするように指示をしたと、こういう経過であります。
 しかし、それまで憲法上保有できないとしていた敵基地攻撃能力を保有するなどとした安保三文書を閣議決定したのは十二月十六日なんですね。その前に必要な装備の積み上げだと言って四十三兆円という枠が示されたわけであります。
 どうしてこれで積み上げができるのかと。結局、この閣議決定以前から防衛省としては敵基地攻撃能力を含む装備の積み上げということを実際はやっていたということですか。
○副大臣(井野俊郎君) 今般の防衛力の抜本的強化の検討に際しましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、極めて現実的なシミュレーションを始めとして一年以上にわたって議論を積み重ね、必要となる防衛力の内容を積み上げ四十三兆円という防衛費の規模を導き出しました。
 反撃能力については三文書の閣議決定により保有することとなりましたが、この反撃能力については、あくまでも元々検討しておりましたスタンドオフ防衛能力などの自衛隊の能力を活用するというものでありまして、反撃能力のために独自の防衛力を整備するというものではございません。
○井上哲士君 スタンドオフの保有は敵基地攻撃能力保有になるじゃないかとさんざん我々追及してきましたけども、それを否定してきたわけですよ。それを今になってそういうことをおっしゃるというのは、本当に国会の議論や国民を愚弄するものだと言わなければなりません。
 この十一月二十八日の総理の指示の直後の十二月一日の参議院の予算委員会で我が党田村議員が、何を積み上げたのかと総理をただしました。総理は、何度聞いても、様々な具体的な議論を今積み上げております、それとセットで、予算と財源との議論を整理した上で、年末結論を出していきたいと答弁をされました。
 そこで財務大臣にお聞きしますけど、つまり、これ年末に積み上げた結論が出る前に、十一月末にはもう二%という枠が決まっていたということに時系列ではなると思いますけども、そういうことですか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 新たに策定をされました国家安全保障戦略では、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を合わせ、そのための予算水準が現在の国内総生産、GDPの二%に達するよう所要の措置を講ずるとされているところであります。
 これは、数字ありきではなく、安全保障環境が一層厳しさを増す中で、国家安全保障会議四大臣会合や与党ワーキングチームなどでの一年以上にわたっての議論を積み重ねる過程において、必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国、同志国等との連携を踏まえ、国際比較のための指標も考慮をして、我が国自身の判断として導き出されたものであります。防衛関係費について、積み上げた結論が出る前に二%枠が決まっていたということではございません。
○井上哲士君 最初、先ほど聞きましたけれども、あの安保三文書、敵基地攻撃能力の保有などを決めたのは十二月十六日なんですよ。それより前に四十三兆という枠で総理が指示をしたということは、事前に結局二%枠が決められていたんじゃないかということを私はお聞きしているんですけれども、財務大臣、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 最終的な結論が出るまでの間、いろいろな前後するものはあると思いますが、過程を振り返ってみて、私もその議論に参加して、これはもう初めにそうした数字があったという議論の進め方ではなくて、まさに必要なものを積み上げていった、その結果導き出されたというのが四十三兆円であり、二%ということでありまして、積み上げた結論が出る前に二%枠が決まっていたということではないということは重ねて申し上げたいと思います。
○井上哲士君 総理は、様々な議論を積み上げて、年末結論を出していきたいとも答弁しているんですね。その前に二%枠が出されたというのが、まさに時系列で出た事実なんです。
 本会議でも我が党小池議員がただしましたけども、この間の経緯を見れば、アメリカからの二%枠要求を、求められて、その下で決められていったという経過は、私は明らかだと思います。
 特に、安倍政権以降、アメリカのトランプ前政権のバイ・アメリカというこの米国の巨大軍需産業の利益を代弁するような圧力に応じて、FMSによる米国製兵器の購入が急増をいたしました。FMSは、アメリカが価格や納期、契約解除まで一方的に決めることができる枠組みで、価格はアメリカ国内よりも割高になっているというのが通例であります。一五年から二〇年には、防衛省の中央調達の契約額の第一位は、日本企業を抑えて米国政府、つまりFMSが一位になっているんですね。バイデン政権でも購入要求が続いて、今年度予算では、FMSが昨年の四倍、一兆四千七百六十八億円に増大をいたしました。過去最大だったのが一九年度予算の七千十三億円ですから、これと比べても二倍超という異常突出になっております。
 今後五年間ではどれだけがFMSになるのかという衆議院での質問に、財務大臣は、現時点での五年間のFMS調達額の総額を示すのは困難だと答弁を繰り返されております。しかし、アメリカと国内とどちらで調達するか分からないものがあるということも言われますが、これ、アメリカからしか調達できないということがはっきりしているものもあるわけですよ。それだけでも示せということについてもお答えがないという経過でありました。
 このアメリカ側に一方的な、有利なこのFMSの下で様々な問題が起きております。この間、会計検査院が繰り返し是正を求めて、二〇二〇年にはこの参議院の本会議で、FMSについて改善すべき課題が山積みしていると、日米間で緊密に協議や調整を行うなど、FMS調達の改善に努めるべきであると、こういう警告決議が、これ与野党全会一致で上げられております。
 防衛省に聞きますけれども、この決議の受け止め、この決議に基づく改善の状況はどうなっているでしょうか。
○政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。
 防衛省といたしましては、FMS調達に関する課題の改善に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 令和二年の参議院本会議における未納入、未精算の改善及び日米間の相互政府品質管理に係る枠組みについて警告決議を受けておるところでございます。
 まず、未納入、未精算の改善について申し上げますと、御指摘を受けました未納入、未精算の改善という取組につきまして、防衛装備庁における履行管理体制強化のため、まず令和二年度に、米国現地に米国政府との調整等を行う有償援助調達調整班を新設しております。また、令和三年度に、装備庁本庁の調達実施部署に履行状況、FMSの履行状況を管理いたします履行管理・促進班を新設しております。
 さらに、毎年度、FMS調達の諸課題につきまして米国と協議をするSCCM本会議、安全保障協力協議会合と称しておりますが、これにおきまして、全ての未納入、未精算のケースの個々の品目ごとの履行状況の管理を継続、強化することとし、米側に個別具体的に働きかけを行っているところでございます。
 その結果、警告決議につながる令和元年度の会計検査院の指摘の基となりました平成二十九年度末時点と令和三年度末時点を比較いたしますと、未納入額は三百五十一億円から百二十三億円に、未精算額は約五百二十億円から約四百億円にそれぞれ減少しているところでございます。
 また、同時に検討するよう指摘を受けました日米間の相互政府品質管理に係る枠組みにつきましては、先月十七日、署名に至ったところでございます。本枠組みに基づきまして、FMS調達に係る品質管理費用である本体価格の〇・四五%が減免されまして、FMS調達額が縮減されることとなります。
 今後とも、未納入、未精算の解消に向けまして、優先順位を明確化し、個別具体的に米側に働きかけを行うなど、引き続きFMS調達の合理化を推進してまいる所存でございます。
○井上哲士君 相互政府品質管理に関する枠組みで〇・四五%縮減になるという答弁がありましたけど、アメリカの都合で契約時から価格が上昇している額には遠く及ばないわけであります。今、あれこれいろんな改善を図ってきたと言われましたけど、FMSそのものの不公平な枠組みは全く手を着けておりませんし、未精算も、件数でいえば二〇一九年から二〇二一年にかけて増えているというのが衆議院での答弁だったわけであります。
 さらに、未納入の問題でありますが、警告決議では、この前払金を払っているにもかかわらず、納入がされていないという問題を厳しく指摘をいたしました。
 グローバルホークについてお聞きしますけども、九年前に三機の購入を契約した無人偵察機グローバルホークは、当初一九年度中に導入される契約が二二年度末に遅れた上、いまだに一機は納入をされておりません。そして、先日の衆議院の答弁でも、配備時期は示されておりません。
 一体どうなっているのかと、全く改善されていないじゃないかという問題でありますし、そもそもこのグローバルホークは、機体から運用維持費、幾らで契約して、今どうなっているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(茂木陽君) お答えいたします。
 防衛省といたしましては、広域における常続監視体制の強化に向けましてグローバルホークを三機取得することとしており、令和三年三月に一機目と二機目が航空自衛隊三沢基地に既に到着しております。三機目についてでございますけれども、同基地への配備に向けまして現在米側と最終的な調整を実施しているところでございます。
 また、グローバルホーク三機の取得経費でございますけれども、既に契約済みでございますが、総額で六百十三億円となっておるところでございます。
 また、グローバルホークの運用維持費でございますけれども、令和五年三月時点の最新見積りとして申し上げますと、運用期間二十年で総額三千五百十九億円となっておるところでございます。
○井上哲士君 二〇一九年に配備の予定だったのが遅れたと、なぜかということと、そして、今金額言われましたけども、当初契約は幾らになっているかということもお聞きしています。ちゃんと答えてください。
○政府参考人(茂木陽君) まず、私から、三機目がどうして遅れているかというお尋ねでございますけれども、この点につきましては、技術的な性能向上につきまして米側と調整を続けておるということから、現時点で三沢基地に配備されていないということでございます。
 いずれにしましても、三機目の具体的な配備時期につきましては、現在、米側と最終的な調整を実施しているところでございます。(発言する者あり)
○委員長(酒井庸行君) 防衛省。
○政府参考人(土本英樹君) 失礼いたしました。
 量産配備段階の当初のベースラインの見積りでございますが、補正後で五百十九億円ということでございます。
○井上哲士君 運用維持費の当初は幾らですか。
○政府参考人(土本英樹君) 当初の見積り、同じような、同様の条件でございますが、二十年間ということで三千百二十六億円でございます。
○井上哲士君 三機目が遅れているということを盛んに言われますけど、一機目、二機目も元々遅れているんですね。一九年度中に納入するという話だったんですよ。それが遅れに遅れて、三機目はいまだに、九年前に契約しながら入っていないと。そして、今、機体も運用維持費も当初契約よりも上がっているということが示されました。
 運用維持費は当初二千七百九億円だったというのが衆議院の答弁じゃないですか。
○政府参考人(土本英樹君) 私が申しました三千百二十六億円は補正後の当初ベースラインの見積りでございまして、当初ベースラインで補正前の見積りといたしましては、二千七百二十二億円でございます。
○井上哲士君 ですから、アメリカの都合で納入がこれだけ遅れているのに、機体の費用も運用維持費もうんと増えているんですよ。こんな話、普通ないですよね。これが実態であります。
 そして、今年度予算には、グローバルホークの運用、維持管理について、アメリカ企業の支援を受けるために九十億円を計上しております。これも、衆議院の答弁では、三沢基地に駐在する役務員約四十人に関わる費用に加えて、米国本土のノースロップ・グラマン社の役務員等による事業管理やセキュリティー関連業務、部品の生産管理、在庫管理、ソフトウエアのアップデート、これもこの九十億に含まれているわけですね。
 この三沢基地の四十人に加えてこのアメリカ本土での事業管理など、このような高額の費用をなぜ払う必要があるんでしょうか。
○政府参考人(土本英樹君) まず、グローバルホークの運用、維持管理におきましては、米国企業から人員面、技術面での直接支援が必要でございまして、この直接支援には、三沢基地に駐在する役務に加えまして、委員御指摘の米国本土のノースロップ・グラマン社における役務も含まれているところでございます。
 米国本土における役務の内容といたしましては、我が国のグローバルホークを運用、維持管理するために必要な米国企業の直接支援、事業全体の管理、いわゆる労務管理的な業務、また日本のグローバルホークのサイバーセキュリティーや情報保全に関する業務、日本のグローバルホークを運用、維持管理するために必要な交換部品の生産管理や在庫管理、また我が国のグローバルホークを運用するための、例えば地上から操縦、操作するためのソフトウエアのアップデートに係る技術支援などが挙げられるところでございます。
 いずれも我が国のグローバルホークを適切に運用、維持管理するために必要な役務でありまして、我が国が負担すべきものと考えているところでございます。
○井上哲士君 これ、毎年九十億円と仮にすれば、二十年間で千八百億ですよね。これだけの費用が、払うと。毎年協議して削減を図るということが先ほども答弁ありましたけれども、先ほど言いましたように、これ逆に増えているわけですよね。
 一方、米国は、この日本が買うのと同じタイプのグローバルホーク、ブロック30について、機体が旧式化したということを理由に全二十機を退役させることを昨年、国防授権法で承認をしております。その際に、公聴会でアメリカ空軍の幹部は、我々が直面している中国の脅威に対応できる設計になっていないと、もう設計になっていない、時代遅れだということを証言しているんですね。さらに、アメリカ空軍は、このグローバルホークの最新バージョンであるブロック40、九機、元々十機あったんですが、今九機ありますが、これも二七年度で退役を決めたと報道をされております。アメリカの報道では、グローバルホークの時代は終わりつつあると指摘しているんです。
 ところが、日本は、時代が終わったと言われているこのグローバルホーク、いまだに納品さえ終わっていないし、今後、機体の五倍以上に及ぶような運用維持費を払い続けるということになるわけですね。
 しかも、アメリカがこのグローバルホークから退役をいたしますと、導入しているのはブロック40、30と40合わせてNATOの五機、韓国の四機、日本の三機だけなんですよ。ですから、報道では、二七年以降、グローバルホークの維持コストはNATO、韓国、日本にのしかかってくると、こういうことも言われておりますけども、これについてどのように認識されているでしょうか。
○副大臣(井野俊郎君) アメリカのグローバルホーク退役についてですけども、現時点において我が国におけるグローバルホークの運用維持費に具体的な影響があるという事実は確認をしておりませんし、アメリカからもそのような説明は受けておりません。
 防衛省といたしましては、米国におけるグローバルホークの退役に伴い不要となった部品を米国政府から相当な安価で購入することなどによって経費の効率化といったことができないかということを検討を行っているところでございます。
 いずれにしても、引き続き、経費の効率化、削減について不断に検討していきたいと思っております。
○井上哲士君 管理費は高くならないけど、部品は安くなるんじゃないかと。余りにも楽観的なお話だなと思います。
 もう一つ、FMSで問題になってきたのがイージス・アショアであります。元々、一八年度までの中期防には盛り込まれていませんでした。ミサイル防衛はイージス艦で八隻体制で対応するとして、実際、二〇二一年に八隻になったんですね。ところが、二〇一七年の十一月、先ほど紹介しましたけども、この日米首脳会談の直後の十二月にイージス・アショアの導入を閣議決定をして、概算要求にはなかったにもかかわらず、一八年度予算案に盛り込まれたという異例の経過になりました。
 中期防にもなかったものをトランプ政権からの強い要求で導入を決めたというのが経過だったんではないですか。
○副大臣(井野俊郎君) 二〇一七年にイージス・アショアの導入を決定をいたしましたが、当時、確かに中期防にイージス・アショアの整備は含まれておりませんでした。しかしながら、この中期防策定後に、北朝鮮の核・ミサイル開発が進展し、我が国の安全に対するより重大かつ差し迫った新たな段階の脅威が生じているということから、平素から我が国を常時持続的に防護できるよう、二〇一七年の十二月に導入を決定をしたものでございます。
 イージス・アショアは我が国の主体的な判断として導入するとしたものでありまして、直前のトランプ氏からの要求に基づくということではないということであります。
○井上哲士君 この十一月の日米首脳会談の当時、記者会見でトランプ氏は、とても重要なことですが日本の首相が必要な防衛装備品を大量に購入しようとしていると、アメリカにとって大きな雇用につながると、こう述べたんですね。まあ、安倍さんに言わば念押しをしたわけですよ。その直後の参議院の本会議で安倍総理は質問に答えて、結果として、アメリカからの武器購入を通じてアメリカの経済や雇用に貢献すると、こういう答弁まで行いました。
 そして、これは、アメリカ太平洋軍のハリス長官は、下院の軍事委員会、二〇一八年の公聴会でこの導入の効果について問われて、日本が導入することの効果に問われてですね、アメリカ海軍や太平洋艦隊がBMDの任務において直面している負荷の一部を軽減し、艦船を持ち場から離して他の場所に投入することができるだろうと、こう言っておりますし、アメリカのシンクタンクですね、CSISは、これによってアメリカは十億ドル規模の大幅な節約ができるんだと、ここまで言っているんですよ。
 そうした経過の下で導入されましたけれども、ずさんな計画であったために、イージス・アショアは破綻をして、計画が中止となりました。しかし、防衛省は、あくまでもこのアメリカと契約したレーダー、SPY7を使用するために、イージスシステム搭載艦二隻を建造をしてイージス・アショアの洋上化を決めたわけでありますが、防衛整備計画では建造費四千億円が計上されております。イージス・アショアで費やした千九百億円を含めますと六千億円になるわけですが、そもそもイージス・アショアは三十年間の運用維持費を含めて四千五百億円とされていたわけで、これを既に大幅に上回っているわけですね。
 あのイージス搭載艦の運用経費というのはどのように見積もられているんでしょうか。
○政府参考人(茂木陽君) イージスシステム搭載艦の運用維持費につきましては、令和五年度に実施する設計を通じまして、今後、船の躯体、船体の建造費が精緻化されること、また、令和五年度に調達する防空機能や通信システム等の装備品につきまして、システムインテグレーションに係る内容、経費に関しまして米国政府等と協議中でございまして、今後精緻化されることといった様々な要素を踏まえて積算する必要がございますので、現時点で具体的な経費をお示しすることは困難であることを御理解願いたいと思います。
○井上哲士君 防衛省は、イージス・アショアの地元説明会の際に、このアショアの方がイージス艦より安くなるんだと盛んに説明したわけですね。当時のイージス艦のライフサイクルコストは三十年間で七千億円だとしておりましたけれども、現状からいえばこれを上回ることになると思いますけれども、そういうことでよろしいですか。
○政府参考人(茂木陽君) 繰り返しでございますけれども、イージスシステム搭載艦の建造費、運用維持費につきましては、先ほど申し述べた状況でございますので、現時点で具体的な経費をお示しすることは困難でございます。
 また、付言いたしますと、イージスシステム搭載艦は、まさにイージス・アショアに比べまして、そのなかった機能といたしまして、例えば垂直発射装置の追加によりまして迎撃ミサイルなどの増強、極超音速滑空兵器へのより効果的な対処のための将来的な拡張性を保持すること、あるいは対艦弾道ミサイルや極超音速滑空兵器に対しましてターミナル段階で対処する能力としてのSM6の装備、さらには一二式地対艦誘導弾能力向上型の装備なども検討中でございまして、まさに今日的な要求に応えるものとして現在設計を急いでいるところでございます。
○井上哲士君 ライフサイクルコスト、膨れ上がるんでしょう。そのことをちゃんと認めるべきだと思いますよ。
 昨年十一月二十九日の財政審の建議では、このイージス・アショアの洋上化が名指しをされました。人員等の運用面や費用面を懸念と指摘をされておりますが、現状を見れば、更に費用が青天井になるおそれがあるんじゃないですか。
 財務大臣にお聞きしますけども、衆議院で、財務省としてこの財政審の建議をどう受け止めたのかと、どうチェックしたのかと問われて、今防衛省が講じているとしている対応を繰り返しただけでありました。財務省としてチェックをして、更に費用が拡大をしていくと、こういう懸念は払拭をされたんでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 井上先生御指摘のとおり、昨年十月に開催されました財政制度等審議会、これは防衛をテーマに議論が行われたわけでありますが、その議論を基に昨年十一月に取りまとめられました建議において、イージス・アショアの洋上化について、人員等の運用面や費用面を懸念する声があるとの指摘がなされたところであります。
 その上で、昨年末に策定されました防衛力整備計画においては、イージスシステム搭載艦の整備やその関連経費として約〇・五兆円が計上されており、令和五年度予算においては、イージスシステム搭載艦建造の設計費用のほか、導入までに長期間を要する構成品の取得費用として約〇・二兆円を計上しています。
 この金額と内容につきましては、既存イージス艦の建造実績との比較を行い妥当性を確認しており、防衛省においても、財政制度等審議会の建議の指摘も踏まえ、既存人員を最大限活用することにより乗組員を確保すること、令和五年度の事業の進捗を踏まえ、ライフサイクルコストを算出した上で継続して管理することといった対応が講じられていくと、そのように承知をしているところであります。
○井上哲士君 結局防衛省がやろうとしていることの繰り返しでありまして、本当にチェックをしたのかどうかさっぱり分かりません。
 このイージスシステム、FMSで、よる調達なんですね。それが何をもたらしているのかと。
 お手元に資料配っておりますけど、これ、イージス艦の最初の「こんごう」型では、FMSはイージスシステム本体のみでほかは日本製だったんですね。ところが、「あたご」型では、水上レーダー、ソナーシステム、射撃システムもFMSに変わりました。そして、「まや」型以降では、それまで搭載していなかった、米軍が導入しているミサイルなどの目標をリアルタイムで共有する情報ネットワーク、共同交戦能力、CECを、これもFMSで導入をしていくと。新たな搭載艦も同様なわけですよ。
 元防衛大臣の森本敏さんが「防衛装備庁」という著書の中でこう書いています。船体と機関以外は全ては米国FMS調達にせざるを得なくなったのですと、日本型の武器システムは駆逐されたというのが現実ですと、こういうふうに言われております。
 FMSに対してのこういう指摘がありますが、今後イージス艦にとどまらず米軍との一体化が進む中で、先ほど五年間の規模は出せないと言われました、この間答弁されていますけど、FMSが更に拡大をしていくとこういうことになるんじゃないですか。
 防衛政務官、どうですか。
○副大臣(井野俊郎君) 一般に装備品の調達に当たっては、米国製であれ国内製であれ、我が国の安全保障環境を踏まえつつ、運用構想及び要求性能、経費、我が国の防衛生産・技術基盤の強靱化への影響などの様々な要素を勘案した上で、今後の我が国の防衛に必要な装備品を総合的に検討し、我が国の主体的な判断の下で決定をしているところでございます。
 厳しい安全保障環境を受け、高性能な整備品について早期導入が求められる傾向にあり、結果としてFMS調達が増加しておりますが、これは、我が国を守るために必要不可欠な装備品の中にはFMSでしか調達することができないものがあるというところも現実でございます。
 我が国の防衛能力、防衛力そのものである国内の防衛生産・技術基盤の強化にも十分配慮しつつ、今後、防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでいくところであります。
○井上哲士君 アメリカの要求に応えてアショアを導入をして、ずさんな計画が破綻してイージス洋上艦に転換すると更に費用が大幅に増えてFMSも増えていくと、これが流れですよ。
 結果としてとおっしゃいましたけれども、アメリカの要求に応えてこういうことが続いてきたと。私は、こういうやり方をするならば、必要なものを積み上げたと言いますけれども、実際にはアメリカの要求に応えたこういうGDP比二%枠拡大をするものと、それが更に広がっていくと、こういうことは許されないということを最後強く申し上げまして、質問を終わります。

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