○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まず、法案の基本問題についてお聞きいたします。
法案の第二条、基本理念は、第一号で、孤独、孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るもの、社会の変化により孤独、孤立の状態にある者の問題が深刻な状態にあることから、孤独、孤立の問題を社会全体の課題と位置付けて、社会のあらゆる分野において対策の推進を図るとしておりますけども、この社会全体の課題、あらゆる分野においての対策の推進、この趣旨はどういうことでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 第二条第一号の趣旨についてお尋ねがございました。
孤独、孤立は人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものであり、支援を求める声を上げることや人に頼ることは、自分自身を守るために必要であって、決して非難されるべきものではありません。また、孤独、孤立は当事者個人の問題ではなく、社会環境の変化により当事者が孤独、孤立を感じざるを得ない状況に至ったものであります。孤独、孤立は当事者の自助努力に決して委ねられるべき問題ではなく、現に当事者が悩みを家族や知人に相談できない場合がありますことを踏まえると、孤独、孤立は社会全体で対応しなければいけない問題と考えております。
さらに、孤独、孤立について、当事者や家族等が置かれる具体的な状況は多岐にわたり、その感じ方や捉え方も人によって様々です。こうした孤独、孤立の問題には、当事者や家族等の状況に応じた多様なアプローチや手法により対応することが求められるものと言えます。このため、孤独・孤立対策を推進するに当たりましては、既存のあらゆる施策に孤独・孤立対策の視点を組み入れていくことが重要だと考えております。
以上の趣旨に鑑みまして、御質問の本法第二条第一号につきまして、この孤独・孤立対策の今申し上げた基本理念を明記させていただいた次第であります。
○井上哲士君 今答弁ありましたように、この孤独・孤立対策を推進するに当たり、既存のあらゆる施策に孤独・孤立対策の視点を組み入れていくということでありました。
一方、第一条では、この孤独・孤立対策について、孤独、孤立の状態となることの予防、それから迅速かつ適切な支援、脱却に資する取組としておりますけども、経済的困窮対策や引きこもり対策など、孤独、孤立に関連する様々な施策は既に各省が一定実施をしているわけですね。
そうした中で、この法案に基づいて内閣府が行う施策というのは具体的にはどのようなものになるんでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) この法案によりまして、内閣府に孤独・孤立対策の事務を移管して、政府内の総合調整を行いつつ、NPO等の民間団体や地方自治体の取組への支援に係る本格的な事業を行い、孤独・孤立対策の安定的、継続的な実施に取り組むこととしております。
内閣府で具体的に実施する孤独・孤立対策の取組といたしましては、孤独・孤立対策推進本部における重点計画の作成、孤独・孤立の実態把握に関する全国調査、国の官民連携プラットフォームの運営などが挙げられますとともに、一元的な相談支援体制の試行、地方における官民連携モデルの構築、NPO等の取組モデルの調査といった内閣官房で試行的、モデル的に実施してきた取組を踏まえて、法施行後に内閣府でそれらを本格的に実施をする事務を想定をいたしております。
○井上哲士君 この間、内閣官房が孤独・孤立の実態把握に関する全国調査を二回にわたって実施をしております。その結果を見ますと、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事として、いじめ、ハラスメントを含む人間関係のトラブル、病気、けが等の心身のトラブル、独り暮らし、生活困窮、貧困、失業、休業、退学、休学などが指摘をされております。
孤独、孤立の状態に陥る背景に、今様々アンケートでも出されておりますが、今の社会の在り方の様々なゆがみがあると言えると思いますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 我が国におけます孤独、孤立の背景として、人口減少、少子高齢化、核家族化、未婚化、晩婚化が進展し、地域、家庭、職場における人と人とのつながりや人間関係の希薄化といった社会環境の変化によって、生きづらさや孤独、孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化してきたと認識をしております。
今後に目を向けますと、単身世帯や単身高齢世帯の増加が見込まれます中で、孤独、孤立の問題の更なる深刻化も懸念されます。社会に内在する孤独、孤立の問題に対しては、政府として引き続き必要な施策を着実に実施することが肝要であると考えています。
○井上哲士君 この法案は、その上で、孤独、孤立状態にある方々への適切な支援や孤独、孤立状態からの脱却にとどまらず、孤独、孤立状態になることへの予防も含めて孤独・孤立対策と定義をしております。
孤独・孤立対策の重点計画、二〇二二年十二月二十六日に改定されたものでは、孤立・孤独対策の基本理念の中で、孤独・孤立対策においては、孤独、孤立の問題やそれから生じ得る更なる問題に至らないようにする予防の観点、すなわち孤独、孤立を生まない社会をどのようにつくるかが重要と述べております。
今、孤独、孤立の状態に陥る背景に社会の在り方の様々なゆがみがあるのではないかとお聞きをしたわけでありますけれども、これを踏まえますと、この本法案に基づく孤独・孤立対策を通じて孤独、孤立を生まない社会をどのようにつくるのか、逆に言えば、なぜそのようなゆがみが生じてきたのかということをしっかり見詰め、問い直すことが必要だと思うんですね。
格差や貧困、不安定な非正規雇用の拡大、いわゆる自己責任論の押し付けなど、やっぱり孤独、孤立の背景にあるこの今の社会の在り方そのものを問い直し、改善をするところまで踏み込むことが必要かと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(小倉將信君) 先ほども申し上げましたとおり、孤独、孤立の背景には、地域、家庭、職場における人と人とのつながりや人間関係の希薄化といった社会環境の変化により、生きづらさや孤独、孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化してきたことがあるものと考えております。したがいまして、この生きづらさや孤独、孤立を感じないような社会をつくり上げていかなければいけないというふうに思っております。
そういった中で、先ほども申し上げたように、この生きづらさを感じる、孤独、孤立を感じるというのは、個人の責任に委ねられるべきではなく、社会全体でそうした問題の解決をしなければいけないということは基本理念のところで申し上げたとおりであります。
そういった中で、孤独・孤立対策の観点からどう考えるかということにつきましては、孤独、孤立の当事者等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながることで人と人とのつながりを実感できることが重要と考えております。
このため、日常生活の場である地域などで、など、社会のあらゆる分野に孤独・孤立対策の視点を入れ、人と人とのつながりをそれぞれの選択の下で緩やかに築けるような社会環境づくりなどに取り組み、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会、相互に支え合い、人と人とのつながりが生まれる社会を目指していきたいと考えています。
○井上哲士君 少し、ちょっと更に聞きますけれども、そういう社会の在り方というのは、自然にできてきたものではないわけですね。やっぱり政治の在り方と深く結び付いてきていると思うんです。
例えば、コロナ禍では、飲食店等に対する営業自粛要請で仕事を失って収入を絶たれて貧困状態に陥った方々に対して、行政やNPOなどが食料支援も行いました。大事な取組ですけれども、こうした支援で当座の食料が手に入れられたとしても、貧困状態が解消するわけではないわけですよね。こうした状況に陥った背景に本気で向き合うならば、やっぱり何かあれば簡単に仕事を失ってしまう不安定な雇用の問題というのは、まさにコロナ禍の中で浮き彫りになりました。
先日、フリーランスの法案もあったわけですけれども、そういう皆さんの働き方とか、それから様々な医療分野の皆さん、ケア労働の皆さんのこともありましたし、自粛要請に見合う補償が十分だったのかなどなど、政治の在り方がどうだったのかが、私、深く問われていると思うんですけれども、その点で大臣の認識、更問いになりますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 先ほどの上田委員の質問にも答弁させていただきましたが、委員御指摘の、例えばコロナ禍における生活支援ですとかあるいは雇用の安定化、それぞれ重要だと思います。そういった重要な課題におきまして、政府部内において所管をする省庁が適切に議論をし、そして実施をしてくださっているものと承知をしております。
そうした中で、今回法案を提出をさせていただいて孤独・孤立対策として実施をすべきことは、それぞれの個々の政策と相まって相乗効果を生み、孤独、孤立の予防ないし解決につなげていくことだというふうに思っておりまして、まさにそういった観点から、様々な政策がある中で、孤独や孤立にさいなまれている人がスティグマを感じずにしっかり声を上げて支援を求められるような、そういう環境整備を行っていくことが我々のそういった中での役割ではないかと考えています。
○井上哲士君 個々の対応策にとどまらず、やっぱりこういう社会をつくってきた政治の在り方そのものを、やっぱり踏み込むことが必要だということを重ねて申し上げておきたいと思います。
この法案に基づく施策で、声を上げやすい環境を整備することや、人と人との緩やかな流れの場をつくることが言われております。こうした場を通じて結び付いた人々に対する次のステップは、具体的な支援につなげていくことになるわけですが、その支援制度自体がふさわしいものになっているかということが問われております。
生活困窮や貧困状態にある方々が孤立、孤独の状態に陥る前に支援するための重要な制度としては生活保護があります。
昨年十一月に生活保護基準の見直しが議論をされて、今年度からは昨年度の基準の据置きと一部増額という結果でありました。しかし、昨年来の物価高騰は、やっぱり低所得者に最も大きな影響があるわけですね。こうした物価高騰に苦しめられている生活保護世帯の厳しい生活に対応するには余りにも不十分だと言わざるを得ないと思いますが、この生活保護基準の引上げ、物価高騰に見合う保護費の増額、これ早急に検討すべきかと思いますが、厚労省、どうでしょうか。
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
生活保護基準につきましては、一般低所得者世帯の消費実態との均衡が適切に図られるよう、五年に一度の頻度で社会保障審議会生活保護基準部会において定期的な検証を行いまして、その検証結果を踏まえて生活扶助基準の見直しを行うこととしておりまして、直近では昨年十二月に部会の報告書が取りまとめられました。
この報告書を踏まえて、今回の基準の見直しにおきましては、その検証結果を適切に反映することを基本といたしまして、その上で、検証時点である令和元年以降については詳細な分析が可能な消費データがないほか、我が国の経済は新型コロナウイルス感染症や足下の物価上昇の影響を受けて変動しており、その動向を見極めることが難しいことから、社会経済情勢等を総合的に勘案をして、令和五年度から六年度におきましては臨時的、特例的な対応を行うこととし、令和五年十月から施行予定としております。
具体的には、一人当たり月額千円を検証結果による額に加算いたしますとともに、加算を行ってもなお減額となる世帯については現行の基準額を保障することとしております。
○井上哲士君 実態とやっぱり懸け離れていると思うんですよね。
一般のところとの比較と言われましたけれども、日本の生活保護で早急に改定迫られているのは、収入が最低生活費未満の人が生活保護受けている割合、いわゆる捕捉率が余りにも低いことだと思うんですね。日本の捕捉率は約二割、ドイツが六割、イギリスは五から六割、フランスが九割ということなんですよ。
その大きな問題が、いわゆるこの窓口で追い返す水際作戦と言われている問題であります。福祉事務所に相談しても、扶養照会を始め保護開始時点の資産要件や自動車保有要件など、保護の入口にある様々なハードルで支援を受けられない事例もたくさんあります。
我が党、田村智子議員が二〇二〇年六月の参議院決算委員会で、生活保護はあなたの権利だと政府が国民に向けて広報するときだと質問したことに、当時の安倍首相が、文化的な生活を送る権利があるのでためらわずに申請してほしいと答弁をされました。また、支援団体が、二〇二〇年の末から年始にかけて実施したアンケートでこの生活保護の申請をためらう最大の理由が扶養照会だったということを踏まえて、厚労省にその改善を求めました。
こういう答弁や要請を含めて、この生活保護制度に関してどのような対応を厚労省としてはされてきたんでしょうか。
○政府参考人(本多則惠君) 生活保護が必要な方には確実かつ速やかに保護を実施することが重要だと考えております。
このため、扶養照会が適切に実施されるよう、令和三年二月と三月に、扶養義務者本人に対する直接の照会を省略できる場合について、著しい関係不良の場合を位置付けるなどの通知、事務連絡の改正を行いました。また、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合などにおきましては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行って、照会の対象となる扶養義務者が扶養義務履行が期待できない者に該当するか否かという観点から検討を行うこととしております。
こうした扶養照会の取扱いにつきましては、これまでも全国会議の場等を通じて各自治体に対して周知を行っているところでございますが、引き続き周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○井上哲士君 この委員会で、もやいに行って懇談をした際も、この生活保護の問題が出ました。
そういう政府のリーフレットなどで権利がしっかりうたわれたことで一定の改善があった部分と、自治体によっては全くそうなってないというところがあるわけですね。例えば自治体のしおりなどにそういうことが全く反映をしてないところがまだかなりありますし、それから、窓口の対応もあります。
先ほど紹介された三月の通知に従って、ある支援団体がそうした内容を申出書として書面化をして、それを利用者に活用を呼びかけました。ところが、都内のある区では、その厚労省の通知の反映をさせた申出書を申請者が出しても、扶養照会を拒む理由を書いて提出しようとしたにもかかわらず受取を拒否をして、結局、扶養の期待可能性がないと扱っても差し支えないとされている八十代の親のところに扶養照会を強行したと、こういう例とかもあるわけですね。
先ほど周知徹底を図っているとおっしゃいましたけれども、必ずしも徹底されてない状況がかなり残されているんじゃないかと思いますけれども、そこの認識はいかがですか。
○政府参考人(本多則惠君) 先ほども御答弁させていただきましたように、扶養照会の取扱いについては各自治体に対して周知を行ってきているところでございますけれども、今後におきましても、自治体における取扱いにつきましては国の監査におきまして監査対象自治体の状況を確認することとしておりまして、課題がある場合には、要保護者に寄り添った対応がなされるよう指導を行うことで現場での徹底を図ってまいりたいと考えております。
○井上哲士君 二〇二一年の八月に、愛知県で、経済的に困窮して自分を殺してほしいと頼む五十歳の母親を二十六歳の息子が首を絞めて殺害したという事件が起きました。この被告人は生活保護制度を知らなかったと、困窮の果てに母のこの最後の願いに応えたとされております。
先ほど紹介した決算委員会のときには、総理、当時の安倍総理も、加藤厚労大臣も、生活保護制度は最後のセーフティーネットだと繰り返し言われたわけでありますけれども、しかし、その後もこの事例のように、そのセーフティーネットという制度自体も知らなかったと、悲惨な事件が起きているのが現実がありますし、窓口に行っても水際作戦というのがまだまだ横行しているという実態があるわけです。
重点計画では、孤独、孤立の問題の予防の観点からは、社会福祉や公的扶助を始めとする施策にアクセスしやすくすることも必要だと指摘しておりますけれども、生活保護制度の周知や利用しやすくするための制度改善も私はもっと踏み込む必要があると。扶養照会も、そのものをなくしていくことも含めて踏み込むことが必要と思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(本多則惠君) お答え申し上げます。
生活保護制度は最後のセーフティーネットでございますので、生活保護を必要とする方に確実かつ速やかに保護を利用していただくことが必要と考えております。
そのため、自治体におきましては、保護のしおり等を用いた制度の仕組みを十分に説明するなどの周知、広報を行いますほかに、福祉事務所が生活に困窮された方を把握できるように、生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関等の関係機関において、必要な方がいらっしゃればそういう方を福祉事務所の方につなぐといった連携、こういったことにも取り組んでいただいているものと承知をしております。
また、厚生労働省としましても、生活保護の申請が国民に認められた権利であることをホームページなどで周知をいたしまして、ためらわずに福祉事務所に御相談いただくよう呼びかけております。
さらに、法律上認められた保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むべきであることなどに留意するように自治体に周知を行っているところでございます。
生活保護における扶養照会そのものは、扶養義務者が扶養できるかどうかについて確認するために行うものでございまして、扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは、生活保護法に明記された基本原理となっておりますので、それ自体は必要な手続であると考えておりますけれども、扶養照会の取扱いを改正したその内容の周知徹底を行いますとともに、広報の実施や関係機関との連携を自治体に対して促すことなどを通じまして、引き続き生活保護を必要とする方に確実、速やかに保護を実施することができるように取り組んでまいりたいと考えております。
○井上哲士君 先ほど来挙げていますように、自治体の窓口ではまだまだ違った対応がされているわけでありますので、是非しっかりつかんでいただいて改善を求めていただきたいと思いますし、これ国際的にも問題になってきました。
国連の社会規約委員会は、スティグマのための生活保護の申請が抑制されている日本の現状に懸念を表明して、生活保護の申請を簡素化すること、申請者が尊厳を持って扱われることを確保すること、生活保護に付きまとう恥辱を解消する手だてを取ることを日本政府に勧告をしております。是非、こういう立場で更に進めていきたいと思っております。
最後、大臣にお聞きいたしますが、この重点計画の、声を上げやすい、声を掛けやすい環境整備の部分で、孤立、孤独に至っても他人や制度に頼りたくない、迷惑を掛けたくない、他人に知られたくない等のためらいや恥じらいの感情から支援を受けていない方がいるということや、この申請主義を基本としてきた制度の下で、制度を知らず支援を受けていない方もいることを指摘をしております。そして、支援制度の情報発信や広報啓発とともに制度の検証を掲げております。
この法案、法第二十条の孤独・孤立対策推進本部は、孤独・孤立対策に関する重要な事項について審議をすることとしております。
今述べてきたような生活保護制度を始め各省が実施している様々な支援施策が、支援を必要としている人に本当に利用しやすい制度になっているのかどうか。それはやっぱりその場でしっかり検証を行って、なっていなければ、その改善を求めること、既存のセーフティーネットの拡充、ニーズに対応した新たなセーフティーネットの創設も各省庁任せにせずに、そういう場で政府全体として議論をし、進めるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(小倉將信君) 孤独、孤立に悩む方が必要な支援につながれるようにすることの重要性は論をまちません。そのために、御指摘のような既存の制度や施策の検証や必要な改善も重要でしょうし、生活保護制度につきましても、厚労省から答弁がありましたように、厚労省において必要な制度改善を累次行ってきましたし、これからも検討されることだろうと思っています。
他方で、他人や制度に頼ることについて良くないことであるという認識を持ったり、恥ずかしさや他者への迷惑を過度に意識したりするいわゆるスティグマを解消していくことも孤独・孤立対策では非常に重要と考えております。
したがいまして、私どもとしては、孤独、孤立に悩む方が支援を求める声を上げやすく、周囲の方が気付きや対処ができるようにするための普及啓発等の環境整備を推進していきたいと考えております。
また、委員御指摘の本部についてであります。
先ほど申し上げた、声を上げやすい環境整備を含めて、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を盛り込んだ重点計画を作成し、その実施を推進する等の役割を担う機関であります。内閣総理大臣を本部長とし、各省庁の政策責任者である閣僚級で構成をいたします。
孤独、孤立の問題に対応していくためには、御指摘の生活保護制度を含めあらゆる制度や施策に孤独・孤立対策の視点を取り入れて、取組を進めていく必要があります。この本部の子細につきましては法案成立後に私どもの方で検討していくことになろうと思いますが、いずれにいたしましても、この本部の司令塔機能を生かして、各省庁の施策を有機的に連携させながら、効果的な孤独・孤立対策を推進をしていきたいと考えています。
○井上哲士君 終わります。ありがとうございました。
内閣委員会(孤立・孤独対策法案と生活保護について)
2023年5月25日(木)