○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は、三人の公述人の皆さん、大変貴重なお話をありがとうございます。
まず、伊東公述人にお聞きいたします。
配付資料の中で、この避難指示区域の居住状況や小中学校の通学者数という大変貴重な資料を配付をしていただいております。公述の中で少し触れられたんですけど、せっかくの資料ですので、もう少しこの中身の特徴を御説明いただけないでしょうか。
○公述人(伊東達也・ノーモア・フクシマいわき市民訴訟原告団長) これは独自に確認して調べているんですが、二三年度は今もう確定していると思いますから、また調べたいと思います。二二年度までですが、大きく変わっていないと思います。浪江では四十人ぐらい増えたんですかね、しかし大勢としては変わっていないと思うんですが、私がこれを見ようと思ったのは、学校が次々になくなってきちゃったわけですね。そして、戻るときには合併せざるを得ないわけですね、戻る人が少ないですから。だから、非常に学校が少なくなる、こういうものも一体未来を考えたときにこれでいいのか、しかし現実に戻ってきていないから、本当に学校そのものまでなくなってしまうのもやむを得ないということで、自分でもうんと悩むところなんです。子供いないところで未来を語るというのはなかなか難しい事態になっちゃっているなというのの象徴として私はここに焦点を当てているということなんですが、ちょっと質問の趣旨はそういうことでなかったでしょうか。違いますれば。
○井上哲士君 小中学校の通学者数が一割以下になっているというお話ですけど、もう一枚のこの避難十二市町村の居住状況の資料についてももう少し御説明いただけないでしょうか。
○公述人(伊東達也・ノーモア・フクシマいわき市民訴訟原告団長) 資料一の方は、私の伊東メモというのがありまして、一番私が、被害の実態というのか今実情がどうなっているかというのは、戻った人が何人いるんだろうかというのは、どこに聞いても分からないんです。いろいろの復興庁に電話しても、そういうものは調べていないと言うんですね。是非国会でも問題にしていただきたいんです。
私、チェルノブイリに行ったときに、みんな、こんな前ですよ、もう今から二十年も三十年も前に行ったとき、ロシアのソビエトという国は遅れているよねという。すなわち、この数字が全くばらばらばらばらなんですね。だから、日本で同じこと起こっちゃったって私は思うのよ。こんな大切なことがどこからも出てこないんです。
それで、私はこの県が発表したやつでもう推定するしかないんだということで、新規転入者を含むんですよ、今の居住者には。だから、戻った人は何人というのは、伊東メモというふうに、機械的に今いる人を戻った人だと見るとこういうふうになるんだよねということで、だから、これ以上戻って、もっと増えるはずなんですよ。
だから、現実は、この強制避難区域では五六%の人が戻っていないと。多数が戻っていないんです。だから、復興はこれからなんですよ。金使うというのも、確かにそういう点ではこれからなんです。本当に厳選しながらこの実態を解決していくというところに英知を使う必要があるというふうに物語っているというふうに考えました。
○井上哲士君 ありがとうございます。
復興はこれからだと。一方で、風化が起きているということもお話がありました。
吉田参考人と及川参考人、お聞きしたいと思うんですけど、岸田総理は、去年の施政方針演説では、福島の復興を含め東日本大震災からの復興は政府の、政権の大きな課題ですとこう言ったんですけど、去年の臨時国会の所信表明では、震災という未曽有の国難から立ち上がったと述べて、まるで終わったみたいだという声も上がったんですが、今年の所信表明、施政方針演説ではこの震災という言葉自身がなくなったんですね。福島の復興という言葉は残りましたけれども、関東大震災から百年ということがあって、震災という言葉なくなったんです。
こういうやっぱり政府の対応が風化を加速させているんじゃないかと。それに今回のこの復興所得税のいわゆる転用という問題が一層加速をさせているんじゃないかという思いを持っているんですけれども、行政の立場で、また若い皆さんの中にいる方の立場としてその辺をどのようにお感じになっているか、いかがでしょうか。
○公述人(吉田栄光・浪江町長) 総理の発言で風化しているとは、私は一概には、大変恐縮ですが、思っておりません。
○井上哲士君 所得税の、復興所得税の転用が風化に拍車を掛けているんじゃないかという点ではどうでしょうか。
○公述人(吉田栄光・浪江町長) 先ほどから申し上げましたが、税制復興、今回のこの公聴会でありますけれども、防衛費と復興財源のその関係で意見を述べさせていただいております。したがって、そういったもので風化しているというような一概な考え方には私はなりません。しっかりと協議を、先生方に御議論いただいてこれらは進めていっていただくものであり、この風化というものについては一概に、この所得税についての影響というものでは私は一概に言えるものではないと思っております。
○公述人(及川恭平・ドメーヌミカヅキ代表) 風化に関してまず述べさせていただきますと、やはり、風化させてはいけないという思いもありつつ、震災支援で買われる、物が買われる、支援していただくというところから脱却もしなければいけないという話もやはりあります。いつまでも震災支援というイメージがあってはならない、それも払拭しなければいけない、ただ、震災というものも風化させてはいけない、このジレンマはありつつも、所得ということに関して言えば、そうですね、それ自体がそもそも風化に関して結び付いているかどうかというのはまた疑問ではあるんですけれども、その現場にいて思うのは、そのジレンマに悩まされているという現実、事実もあるということはお伝えしておきたいなというふうに思います。
○井上哲士君 この復興所得税の軍事費への転用問題で、世論調査などを見ていますと、むしろ年末よりも年明け以降、最近の調査の方が反対が上がっているというものもあるんですね。
この間、繰り返し国会でも議論になっていますけれども、総理も鈴木財務大臣も、様々な意見があるのは承知していると、丁寧な説明に努めまして、御理解、御協力をいただけるように努力しなければいけないということをずっと繰り返されているんです。ある意味、半年ずっと同じことを言われているんですね。
これ、行政の場に、吉田公述人にお聞きしますけれども、行政の場におられまして、そういうことに対する政府の説明というものがきちっと行われているのか、具体的にと、その辺はどのようにお感じでしょうか。
○公述人(吉田栄光・浪江町長) 十二月にこれらマスコミ報道をされた後に、我々は被災地でありますし、私も議員時代から様々政府、国会の先生方には御指導いただいている立場上、二日後に、私のところに、中身はこういう中身で今議論をしていますと、結果的にはまだまだ出ていないものもあろうかと思いますけれども、こういうことでこういうマスコミ報道がされましたということは私には説明がございました。
○井上哲士君 行政にいる場、立場として、つまり住民全体に政府がそういう説明をする努力がきちっと行われているかどうかをどうお感じになっているかということでお聞きしたいと思います。
○公述人(吉田栄光・浪江町長) 私もこういう立場ですから、受け止め方は一概に、自分の受け止め方と町民の受け止めがひとしく同じかということはお話ししませんが、それぞれ受け止め方は違うかと思います。マスコミ報道を見てない方もおられますね。えっ、それ、そういうこと、どういうことだという方もおられました。
少なからず政治に関わる、行政に関わる方々は興味をお持ちでありますから、これらについては早い段階で今の政府方針については受け止めたと思っています。そのほかの町民全ての方々の考え方については私もなかなか承知しておりません。
○井上哲士君 ありがとうございます。
最後、伊東参考人にお聞きいたしますけれども、今回のいわゆる軍拡というのはウクライナの事態を受けて進められているわけでありますけれども、やはりウクライナの事態を私たち見たときに、いかなる理由があっても戦争ということになれば本当に大きな、大変な被害が出るということでありまして、やはり政治の仕事というのは戦争にしないためにあらゆる努力を払うこと、そして軍事対軍事ということは逆にこの戦争への危険を拡大をすると私たちは思っているんです。
特に、やっぱりウクライナを見ていますと、この原発が標的になっていたりすることがありました。この福島に住んでおられて、そしてまた福島にとどまらず、原発列島というような日本において、この原発と戦争という問題をどのように受け止めていらっしゃるか、お願いしたいと思います。
○公述人(伊東達也・ノーモア・フクシマいわき市民訴訟原告団長) ウクライナのあのザポリージャ原発を始めとして、戦争で狙われるということが全世界に私は明らかになったと思うんですね。もし日本が敵基地攻撃を発動すれば、必ずそれは反撃になるんだと思います。一気にある国を全滅させるなんということは私には考えられません。
その場合に、やっぱり私は、原発は脅威の一つになっちゃうよなと。それは廃炉になっても狙われればやっぱり大変な惨事なんだと思うんですね。本当に困ったことです。これ核兵器要らなくなっちゃうぞと。何とかそこは回避したい、させたい。そんなことはもう本当にゆめゆめあってはならないんだという立場からやはり日本は発信する。その点でもということで、福島県に私住んでいる一人として、よもやそんなこと起こらないよなというふうにもうみんなで思っちゃっていますが、実は原発事故がよもやなんです。
どれだけ一体、世論調査すれば、分からなかったと思いますが、ほとんどの県民は、原発は事故、大事故を起こさない、福島県民も信じてきたと思います。だから、今の話も、やっぱりゆめゆめ夢物語だということじゃなくて、現実にどう対処しますということをみんなで英知を結集しなければならない、それをウクライナは何か教えているような気して仕方がありません。
以上です。
○井上哲士君 ありがとうございました。
これで終わります。
財政金融委員会(軍拡財源確保法案ー福島地方公聴会)
2023年6月12日(月)