○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
軍拡財源法案に断固反対の討論を行います。
反対理由の第一は、本案が憲法違反の敵基地の攻撃能力の保有を含む五年間で四十三兆円の大軍拡を推し進めるものだからです。審議を通じて、敵基地攻撃能力は日本独自ではなく、米国の先制攻撃戦略、統合ミサイル防衛、IAMDの下、米軍の指揮下で運用される危険な実態が浮き彫りになりました。米国の指揮下で際限のない戦争に巻き込まれかねず、相手国から反撃を受け、日本が深刻な被害を受けることは必至です。
反対の第二の理由は、際限のない軍拡に道を開き、浪費や談合をも生じさせるものになるからです。アメリカ製兵器を爆買いするFMSは一気に昨年度の四倍に拡大し、洋上イージスの導入費用は今後どこまで膨れ上がるか、政府は示すこともできませんでした。五年間で四兆円もの自衛隊基地の強靱化の下で発注前にゼネコンから意向アンケートを取るという、かつて防衛施設庁を解体に追い込んだ談合の動きが復活していることも極めて重大です。
反対の第三の理由は、大軍拡の財源確保により、将来にわたり国民に新たな負担を押し付けるものだからです。新たに創設される防衛力強化資金は、防衛省が複数年度にわたり自由に使えます。予算の単年度主義、財政民主主義を壊すものです。東日本大震災の復興所得税の軍拡財源への転用には、地方公聴会でも、被災者の願いに真っ向から反するものであり受け入れ難いとの声が公述人から出されました。医療体制の強化や職員待遇改善に使うべき国立病院機構と地域医療機能推進機構の積立金を軍拡財源に回すことも認められません。
自民党の防衛関係費の財源検討に関する特命委員会は九日、提言を提出しました。その中には、商工中金の政府保有株の売却益も財源候補としてにわかに登場いたしました。本委員会での私の指摘を裏付けるものとなりました。暮らしや復興支援、社会保障、中小企業に充てるべき資金を軍事費に流用することは断じて許されません。さらに、四十三兆円の軍事費を優先することによって、岸田政権が子育て政策を目玉に打ち出しながら財源を示すことができない事態となっていることも指摘しなければなりません。
やるべきことは、大軍拡ではなくて、憲法九条を生かし、地域の全ての国を包摂する平和の枠組みを発展させる外交努力であることを強く申し上げ、討論とします。
財政金融委員会(軍拡財源確保法案に対する反対討論)
2023年6月15日(木)