○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
特別職の給与法について、この物価高騰で国民生活が深刻な打撃を受ける中、総理や大臣の賃上げを行うことに国民の怒りが広がりました。自主的に返納とされておりますけれども、じゃ、なぜ法律はそのまま上げるのかと、到底国民の理解は得られておりません。これはやはりやめるべきだということを申し上げておきたい。
河野大臣は、この特別職の賃上げについて、全体の賃上げの流れを止めないためと今日も答弁をされております。しかし、民間の賃上げも物価上昇を下回っているというのが実態なわけですね。国家公務員の給与は、保育士の公定価格や地方公務員、民間企業の賃金に直接影響を与えますし、地域経済にも広く波及するわけです。ですから、賃上げの流れを止めないというならば、政治の責任でこの公務の賃上げと待遇改善を進めるということが私は必要だと思います。国がその役割をしっかり発揮をする。
今回の一般職の賃金改定は僅か一・一%の賃上げで、物価上昇に届かないものになっております。初任給は引き上げられましたけれども、地域手当の非支給の地域では大卒で七千円、高卒で三千円、民間より低いままになっております。高卒初任給は時給九百二十二円で、東京などの都市部の八都府県で地域別最賃をも下回るという事態になっておりまして、民間の足を引っ張りかねないというものになっていると思うんですね。
国がしっかり役割を発揮をして政策として位置付けて、公務から率先して物価高を上回る抜本的な賃上げを行うことが必要と考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(河野太郎君) 人事院勧告は、第三者機関たる人事院において民間給与を専門的見地から調査した上で官民均衡を図るものであり、今回の勧告も民間給与の実態を反映したものと認識をしております。
政府としては、国家公務員の給与について、国家公務員の適正な処遇の確保や国民の理解を得る観点からも、また労働基本権制約の代償措置といった観点からも、第三者機関としての人事院が専門的見地から行った官民比較に基づく人事院勧告を尊重することが政府としての基本姿勢です。
本年度におきましても、国の財政状況、経済社会情勢などを踏まえ検討を行った結果、月例給及びボーナスを引き上げることなどを内容とする勧告どおり実施するとの結論を得るに至り、そのための法案を提出したところでございます。
○井上哲士君 人事院が本来の役割を発揮しているのかという問題もありますが、閣議決定による国家公務員の人件費に関する基本方針では、人事院勧告を尊重するという基本姿勢に立ちつつとしつつ、国政全般の観点から検討を行った上で取扱いを決定するともしているわけでありまして、私は賃上げへの国の役割を発揮をするということを改めて求めたいと思います。
続いて非常勤職員の問題についてお聞きします。
現在、国家公務員の約四人に一人が非常勤の職員です。多くの職場で官製ワーキングプアと言われております。非常勤職員が一年度限りの臨時的に置かれる官職とされているのに、実際は恒常的で専門的な業務も担っています。公務員の定数削減の下で人件費抑制のために使い捨てにされているじゃないかと、こういう指摘もあるわけですね。
今年の人事院の公務員人事管理に関する報告では、近年有効求人倍率が上昇し、官民問わず人材獲得競争が熾烈になる中、非常勤職員の人材確保も厳しさを増していると意見が一部府省から寄せられているとした上で、非常勤職員制度の適切な在り方について検討していくと、こうなっておりますが、一体どの府省からどういうような具体的な意見が出されているのでしょうか。
○政府参考人(幸清聡君) 事実関係でございますので、私からお答えさせていただきます。
近年有効求人倍率が上昇し、官民問わず人材獲得競争が熾烈なものとなっている中で、御指摘のとおり、一部の府省から、行政サービスの提供のために必要とされております一定の知識、経験等を有する非常勤職員の人材確保が従来より困難になっているとの意見が寄せられているところでございます。
具体的には、例えば厚生労働省のハローワークの職業相談業務に従事する職員について人材確保が非常に厳しくなっているという意見があるものと承知しているところでございます。
○井上哲士君 昨年の給与法の質疑の際にも、私も、今紹介ありました厚労省のハローワークの窓口業務が期間業務職員で担われていると、それが更新三回目の公募で、での公募が求められていることによって様々な問題が起きているということを指摘をいたしました。
衆議院の質疑では、総裁は、三年公募要件の在り方についても検討してまいりたいと、こう言われておりますが、人事院としても、現在の三年公募要件にどのような問題があると、こういう認識をされているのか、また具体的にどういうやり方でいつまでにこの見直しをするんでしょうか。
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
期間業務職員制度の導入から十年以上が経過いたしまして、人材獲得競争が熾烈なものとなる中で、一部の府省から非常勤職員の人材確保が従前よりも困難になっているとの声が寄せられております。このような現状において、行政サービスの提供を支える有為な人材を確保することができるような環境を整備するためには、再採用時の公募要件の在り方についてもしっかり議論する必要があると考えています。
検討に当たっては、各府省の実態を把握することが重要であることから、担当課から、失礼いたしました、担当課において、関係者と調整しつつ、実際に働いている職員の方の声を直接聞くこととしたいと考えています。
現在、各府省に対して実態調査を行い、その結果を分析しているところです。今後、関係者との意見交換も行いつつ検討してまいりますが、できるだけ早期に方針が固まるようしっかり進めていきたいと思っています。
○井上哲士君 関係の職員のお声、声も直接聞くという明言をされました。これ是非やっていただきたいと思うんですね。
これ、見直しをするに当たって、この三年を五年にするとかいう程度でお茶を濁してはならないと思うんですね。昨年もこのハローワークただしましたけれども、ハローワークの非常勤の職員の皆さんは、職業相談窓口など本来常勤職員が行うべき恒常的な業務に就いておられます。失職された方の相談に当たっている自分自身が、自らの雇い止めの不安の中にあると。それから、職場で一緒に働いている仲間が公募の際には競い合わなくちゃいけない、チームワークの問題もあるということで、非常にメンタルに罹患する方も少なくないという実態があるわけです。
蓄積された経験や専門性を全く考慮せずに面接結果のみで採否が決まるということも指摘をされておりまして、働く側が不安にさらされているし、この有為な人材を安定的に獲得できないという事態がまさに起きていると思うんですね。
国によるパワハラだという指摘をされる方もいるわけでありますけれども、私はやっぱりこの三年公募そのものを廃止をすべきじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(川本裕子君) 委員御指摘の再採用時の公募要件、いわゆる三年公募要件について、関係者の御意見を伺いつつ、行政サービスを提供することに対して有為な人材を確保することができるようしっかり検討してまいりたいと思います。
○井上哲士君 改めて、この三年公募そのものの撤廃と、そしてやはり無期転換できるような、そういうルールを創設することも強く求めたいと思います。
さらに、この期間業務職員についてお聞きしますけれども、人事院はこの一定の年数で雇い止めることがルール化されているものではないという見解を示していると思いますけれども、具体的にはどういうことでしょうか。
○政府参考人(幸清聡君) 平成二十二年度、期間業務職員制度導入時に人事院の人材局が作成した質疑応答集ではございますが、そこで、今回の措置は三年で雇い止めをすることをルール化するものかという問いに対しまして、二回採用されたことのある期間業務職員を適正な公募を経て結果として更に採用することは制度的には否定されておらず、今回の措置は、三年間任用された後、雇い止めをすることをルール化するものでは一切ありませんとの見解を示しておりました。
現在もこの見解に変更はございません。
○井上哲士君 お手元の資料に、二二年の七月二十二日の人事管理官会議幹事会で、内閣人事局の参事官が今のような人事院の見解を紹介をした上で、任期は一律機械的に○年で雇い止めと、期間業務職員にこう受け止められている職員もあるようなので、くれぐれも慎重な運用に努めてもらいたいと発言をして、文書で徹底をされております。
では、実態はどうかといいますと、お手元の資料に、国土交通省の労働組合の関東建設支部が、国交省の関東整備局の旧建設省が所管してきた事業所について調べております。国土交通事務所、あっ、国道事務所、河川事務所、公園事務所、営繕事務所、合計四十五か所で四百七十二人の期間業務職員が二二年度でいるわけでありますが、二〇一六年に国交省全体でこの三年雇い止めルールは撤廃をされました。その後、公募面接が行われておりますけれども、翌年は四年、その翌年は五年という雇用があるわけですけれども、六年目採用というのは二〇一九年以降一人もいないという事態になっているんですね。事実上の五年で雇い止めというルールが行われているようにしか見えないわけであります。国土交通省は組合との交渉で一律何年というルールはないとしておりますけれども、これ見れば明らかに五年雇い止めということになっていると思うんですね。
人事院の見解にも人事局からのこの文書にも反していると思うんですけれども、内閣人事局としてしっかり事実を把握をして是正をするべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(窪田修君) お答え申し上げます。
内閣人事局といたしましては、複数年継続して勤務している期間業務職員をあらかじめ公募からや能力実証の対象から排除するような取扱いは適切な取扱いではないという周知に取り組んできたところでありますが、ただし、これはその採用を保証するものではございません。個別の事案につきましては、各任命権者、御指摘の場合においては国土交通省において対応されるものと考えております。
○井上哲士君 保証しろなんて言っていないんですよ。明らかにこれを見れば、個別の労働者の問題ではなくて、明らかにルールとして六年目は採用しないということになっているではないかと、それは人事局自身が言っていることと反するんじゃないかということを問うているんです。
○政府参考人(窪田修君) 内閣人事局といたしましては、複数年継続して勤務している期間業務職員をあらかじめ公募からや能力実証の対象から排除するような取扱いは適切な取扱いではないと考えており、人事院とも連携して周知に取り組んでまいりたいですが、個別の事案については各任命権者が御対応されるものと考えております。
○井上哲士君 見解出しながら、それに反していることがあっても知りませんというような態度では、私は駄目だと思うんですね。
実際にどういうことが現場で起きているかということですけれども、この栃木県の日光市にある関東整備局の足尾砂防出張所の事例を紹介いたしますけれども、この定員削減の下で非常勤の期間業務職員が事務、広報を担っておりますけれども、担当した女性は、全国から来られる皆さんに足尾鉱山の鉱毒事件の歴史とか公共事業の必要性を分かりやすく理解をしてもらうということで、例えば紙芝居を作って、小学生と手紙をやり取りしたり、工夫しながらやっているわけですね。
ところが、この方が六年目更新の際の公募面接で、求人票にはなかったパワーポイントの表計算やソフトは使えるかと聞かれて、この評判の良かった紙芝居までパワーポイントでやったらどうかと言われたと。これ屋外でやるので無理ですと答えたそうでありますけれども、結局採用されなかったと。後になって思うと、不採用にするために質問ではないかと、こういうふうに言われている、考えておられます。所属長に聞くと、経歴だけと言われたと。自分の経験や実績が全く評価されていなかったと、こういうことを言われているんですね。
私は、やっぱりこういう工夫や誇りを持って頑張っている職員の方が五年で結局機械的に雇い止めされていると、こういう実態があるわけですから、私は、やっぱり人事院そして内閣人事局が現場の実態しっかり把握をして、自分たちが言っているとおりに是正をさせるということを強く求めて、時間ですので質問を終わります。
内閣委員会(国家公務員給与法改定案)
2023年11月16日(木)