○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
横田めぐみさんが拉致されて四十六年。被害者家族の高齢化が進み、残念ながら、帰国を待ちわびながら無念の中で多くの方が亡くなっております。
四月の質疑の際に、昨年十一月の新潟市への委員派遣のときに、被害者家族や自治体首長らから、拉致問題について国からの何も情報がないと、こういういら立ちの声を紹介をいたしました。その後、五月に福井県の小浜市に委員派遣で参りました。その際にも、政府からこの間の日朝間の協議について何ら具体的な情報がないという声が出されたわけであります。私は、今日の質疑はこういう声にやっぱり答えるべき場だと思うんですね。
一方、小浜の、小浜市に行った際には、直前に開かれた五月二十七日の国民集会で岸田総理、首相が、首脳会談を早期に実施すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと初めて言明をされたことに期待をする声も聞かれました。
この首相直轄のハイレベルの協議と、ハイレベルで協議というのは、それ以前とどう違うんでしょうか。この発言以降、首脳会談実現へどのように体制や取組を強化をしてきたのか、まずお答えください。
○国務大臣(上川陽子君) 岸田総理は、御指摘の五月二十七日の国民大集会におきまして、日朝間の懸案を解決をし、両者が共に新しい時代を切り開いていくという観点からの総理の決意、これをあらゆる機会を逃さず金正恩委員長に伝え続けるとともに、首脳会談を早期に実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと考えている、こう述べられたところであります。
御指摘の総理直轄のハイレベルでの協議につきましては、岸田総理から、大胆に現状を変えていくために、総理自身が主体的に動き、トップ同士の関係を構築していくことが極めて重要であるとの趣旨を述べられたとおり、大局観に基づいて総理自ら決断するという決意を示されたものと考えております。
政府といたしましては、このような協議の実現のために様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行い続けておりまして、そうした働きかけを一層強めていく考えでありますが、北朝鮮への働きかけに関する具体的な内容などにつきましては、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えさせていただきます。
○井上哲士君 どうこの取組が変わったのか、総理の決意が変わっただけなのか、今のお話ではちょっとよく分かんないんですよね。決意だけで実態は変わらないというんであれば、まさに言葉だけでやっている感を出していると言われても仕方がないわけで、今日の質疑に期待をされている皆さんもがっかりされると思うんですね。
九月二十九日の朝日の報道では、この首相のハイレベル協議発言は、松野官房長官が首相に強く進言されたとされ、官邸関係者が、我々は水面下で努力しており、何もしていないわけではないことを発信したかったと語っておらっしゃるんですね。
そうであれば、できる限り、こう今この発言以降取組強化しているんだと発信していただきたいと思うんですね。官房長官、いかがでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
先ほど外務大臣から御答弁をさせていただいたとおりでありますし、十一月二十六日の国民大集会で総理からも述べられたとおり、首脳会談を早期に実現すべく、総理直轄のハイレベルで協議を行っていくために様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行い続けており、そうした働きかけを一層強めていく考えであります。
北朝鮮への働きかけに関する具体的内容に関しては、今後、交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 やはりもっと発信をしていただきたいと思うんです。それがやっぱり関係者の皆さんを励ますことにもなると思うんですね。
この首相の発言の二日後に、北朝鮮の外務次官が朝鮮中央通信を通じて談話を発表いたしました。もし日本が過去にとらわれず変化した国際的流れと時代にふさわしく互いをありのままに認める大局的姿勢で新たな決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会うことができない理由はないというのが共和国政府の立場であるというものでありました。
これに対して、五月三十一日の読売新聞は、日本政府の発言を無視することが目立つ北朝鮮が首相発言の直後に反応したことに外務省は一定の変化を感じ取っていると、こう報道をいたしました。
外務省として北朝鮮の反応をどう受け止めていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(林誠君) お答えいたします。
御指摘の談話についての報道については承知しておりますが、北朝鮮の意図や我が国の受け止め等についてお答えすることは、今後の交渉に悪影響を及ぼすおそれがありますことから、差し控えたいと思います。
十一月二十六日の国民大集会で総理が述べられたとおり、様々なルートを通じて様々な働きかけを絶えず行い続けてきておりますが、御指摘のような北朝鮮側の個別の発言、発信いかんにかかわらず、政府としてはそうした働きかけを一層強めていく考えでございます。
○井上哲士君 これまでの個々の発言ではなくて、外務次官が直後に発言をしたということにこれまた違いがあるということに指摘もされ、報道もされているんですね。
どう見るか、いろんな声があります。米日韓のくさびを打ち込むつもりじゃないかとか、朝鮮が、北朝鮮が行き詰まりの中で日本を選択したとか、いろんな報道があるわけでありますが、一定の変化を感じ取っていると、こういうことはあるわけですか。
○政府参考人(林誠君) お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、報道は承知しているところでございますけれども、受け止め、北朝鮮の意図、それからさらに我々の受け止めについては、お答えすることは、今後の交渉に悪影響を及ぼすことが、おそれがありますことから差し控えたいと思います。
○井上哲士君 意図とか受け止めを言っているんじゃないんです。変化、これまた違った対応だということについては認識をしているということについて聞いています。
○政府参考人(林誠君) 政府といたしましては、日頃から北朝鮮の情勢については情報収集、分析などを行っておりますけれども、具体的に内容についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 ちゃんと答弁していただきたいんですけどね。
こうした動きの中で、七月三日付けの韓国の東亜日報はこう報道いたしました。複数の情報筋によると、北朝鮮と日本は最近二回以上水面下で接触を行ったという、情報筋は、両国の実務陣が中国とシンガポールなどで会ったと知っていると明らかにした、続けて、日本が米国にも事前に会談の事実を伝えたと聞いていると付け加えたと、こういう報道でありました。松野大臣は当時、官房長官の会見で、報道の内容は承知しているが、事実ではないと述べられました。
一方、先ほど来ありますように、九月に朝日がこの韓国紙と同様の日本と北朝鮮との接触を報じた際に、大臣は会見で、事柄の性質上、お答えは差し控えるとしましたけれども、事実ではないと述べられませんでした。先ほど来の答弁もそうなんですね。
十一月二十六日の拉致問題の解決を求める集会で、総理が改めて、私直轄のハイレベル協議を行いたい、そのために様々なルートで働きかけを続けていると、続けていると、こう述べられたわけですね。つまり、この間の働きかけは認めているわけでありますが、つまり、松野大臣の二回の関係でいいますと、報道には具体的な部分で事実でないものがあるけれども、日朝間で接触が行われたということ自体は否定をしていないということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(松野博一君) お答えをさせていただきます。
北朝鮮に対しては、水面下を含め様々な働きかけを行ってきているところであります。こうした取組をするに当たって、北朝鮮への接触の方法、内容、形式といった詳細を明らかにすると、例えば北朝鮮側が今後の日本側のやり取りをちゅうちょするなど、日朝間の協議のために機微にわたる調整が一層複雑化するといった様々な悪影響が出る可能性が排除されません。
こうした考えの下、今後の北朝鮮とのやり取りに支障を来すおそれがあることから、その詳細についてお答えを差し控えてきており、御理解をいただきたいと思います。
○井上哲士君 詳細まで求めているわけでないわけでありますけど、冒頭申し上げましたように、多くのやっぱり関係者の皆さんが、どういうふうに前進してきているんだろうか、変化があるんだろうかと、やっぱりそれを思っているわけですよね。それにできるだけもっともっと政府として応えていただきたいということを強く求めまして、質問を終わります。
拉致問題特別委員会(日朝間協議の状況、被害者家族などに説明を)
2023年12月 4日(月)