○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まず、能登半島地震で亡くなられた方へのお悔やみと被災者の皆さんへの心からのお見舞いを申し上げ、支援と復旧に全力を挙げておられる皆さんに、全ての皆さんに心から敬意を表します。
今、この地震で助かった命が避難生活で失われるようなことを絶対起こしてはならないと。同時に、被災者が希望を持てるように住宅の確保や生活となりわいの再建に政治が責任を持つと、このことが必要であります。
まず、避難所の抜本改善です。
私は、一月三日に輪島市に入りました。避難所は、段ボールベッドも間仕切りもない、床に皆さん毛布を引いて身を寄せていらっしゃるという状況でした。三日間、何の食事の提供もない、トイレが使えなくて困っていると、本当にいろんなお声をお聞きいたしました。三週間たって、懸命の努力はありますけれども、まだまだ温かい食事、そして段ボールベッドなどは十分に届いていなくて、早急の改善が必要であります。
輪島市にある診療所の状況についてお話を聞きました。断水で避難所のトイレが衛生的に保てない。インフル、コロナ、ノロが蔓延しているけれども、まあ狭い避難所ですから、一人陽性者が出るとすぐに広がってしまうと。実際、発熱で相談に来られた避難者がほとんどがインフルかコロナの陽性だと。コロナもう五類ですから、避難所に帰るわけですけれども、行政と相談をして隔離スペースを確保するのに四時間も五時間も掛かると、こういうお話だったわけですね。
こうした避難所の衛生環境の改善、そして隔離スペースの確保も含めた感染症対策など、医療支援の一層の拡充について、まず総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の災害関連死を防ぐためにも、避難所のこの環境整備あるいは二次避難、重要だと認識をしています。そして、避難所の環境整備という観点から、衛生環境の改善と、そして御指摘の感染症対策、これは重要な課題です。
現在、この衛生用品等のこのプッシュ型支援や健康管理を行う保健師らのチームの派遣等を行っているほか、現地に入っている感染症の関係学会の専門家チームと協力をしながら、例えば感染者の動線管理や手指消毒等の衛生環境の改善方法について助言を受けるなど、個々の避難所等での感染対策、これを進めているところです。
被災地の状況よく把握しながら、避難所の衛生環境の改善あるいは避難されている方の健康管理、必要な対応をこれから引き続き充実するよう努力していきたいと考えます。
○井上哲士君 その診療所では、三十六人ほどの職員のうち自宅から通っているのは六人ほどで、あとは避難所や診療所などに泊まっているとおっしゃるんですね。本当に今、医療・介護従事者や行政の職員など、もう相当の疲労がたまっておりますから、適切な環境で休めるような人的な支援も必要だということも申し上げたいと思うんですね。
それから、避難所生活がやはり女性にとりわけつらい状況になっております。間仕切りがなくて着替えができない、トイレは男女共用で、夜は照明も少なくて怖くて使えないと、我慢して体調を壊す人もいるなど、切実な声が上がっております。
内閣府が二〇二〇年に、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインを作成しております。避難所の環境整備として、男女別の更衣室や物干場、それから授乳室などが盛り込まれ、トイレは男女別に離れたところに設置して、女性の方を数を多くすると、こういうことになっているんですね。
ところが、全国の市町村で、災害対策部門の職員のうち女性は一割です。女性がゼロという市町村が六割もある。ですから、徹底していないんですね。今回もこのガイドラインどおりに実施をされておりません。運営側の大半が男性という、この避難所がほとんどですから、これ女性から声を上げにくいんですね。
ですから、やっぱりガイドラインを作った政府が主導して現場で一つ一つ改善をしていくということが必要だと思うんです。これ是非進めていただきたい。どうでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 一般に、地震などの大規模災害が発生するとき、女性と男性では災害から受ける影響が異なり、とりわけ女性や子供、脆弱な状況にある方々がより多く影響を受けること、このように承知をしています。
今般の災害対応に当たっても、非常災害対策本部に加藤男女共同参画担当大臣に参加してもらうなど、こういった視点を大事にしてきたところですが、具体的には、発災当日に被災自治体に対して、避難所の運営体制への女性の参画など、女性の視点からの防災・復興ガイドラインに基づく取組を進めるよう要請するとともに、要請のみならず、政府で男女共同参画を担当する職員を現地に派遣し、避難所支援に入る各省庁や自治体の職員、自衛隊、警察、民間団体に対して、現場で活用できるチェックシート、これを説明し、プライバシーに配慮したスペースの確保など実際に現場で活用いただいている、こうした状況です。
今後とも、このガイドラインを徹底をしていく、そして、避難所における女性の待遇改善につながるよう、この男女共同参画の視点に立った災害対応、政府としても努めていきたいと考えます。
○井上哲士君 まだまだ現場では徹底されておりません。是非強く進めていただきたいと思うんですね。
それから、生活再建の問題ですが、住宅の確保が不可欠であります。仮設住宅の設置が急務でありますが、先ほど松村大臣からありましたように、このプレハブのみではなくて、地域の実情に合わせた工夫や、これ払下げで恒久的利用が可能な木造仮設住宅も進めるべきだと思います。
さらに、住宅再建ですが、先ほど来議論になっていますように、被災者生活再建支援の支援金が最大三百万円。これ、改正されたのは二〇〇七年なんですね。当時から、この額では再建できないと、拡充求める声がずっと上がってまいりました。しかも、この建設資材の物価指数データによりますと、昨年十二月の建設資材は改正時と比べて一五一%に値上がりしているんですね。現状維持ということは目減りになるんですよ。
ですから、先ほど、追加的な方策、具体的な制度設計を検討中だと言われましたけれども、この支援範囲を全壊や大規模半壊にとどめずに広げること、そして、この再建に必要な現実的な支援金となるように大幅に引き上げること、このことを検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 被災地で住宅を再建される被災者への経済的支援の在り方、現地のニーズ、実情、加えて現下の経済情勢、こういったものも考えなければならないと思っておりますし、その上で、能登の実情に合わせて追加的な方策、考えていきたいと思います。
委員の方から、考慮すべき観点について御指摘がありました。
様々な方々からこの課題についてこの問題意識を寄せていただいております。そういった様々な声も踏まえながら、この対応、総合的に検討したいと思います。
○井上哲士君 是非、被災者に希望が持てるようなものにしていただきたいと思うんですね。
政府は、被災中小企業への直接補助を二〇年七月の豪雨の際のなりわい再建支援事業を基に実施するとされておりますが、被災自治体からは従来の枠組みにとどまらない支援が求められておりますし、あの二〇年の当時、この申請が複雑で、大量の書類が求められて、被災された方がもうこの負担、申請にたどり着かないということも起きたわけです。
ですから、支援の拡充、被災者の実態に合わせた手続の改善など、これ是非やっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 十四日の日に現地視察させていただいた際に、知事や市長の皆様からライフラインの復旧と併せてなりわいの再建の支援についても強い御要望を承りました。それを受けて、明日にも生活となりわいの再建に関する支援パッケージ、取りまとめてまいりますが、被災地からの要望に沿った対応となるよう、詰めの作業進めてまいります。
そして、委員御指摘のなりわい補助金についてですが、被災した中小企業への支援として、近年の大きな災害時に措置したなりわい補助金、これ、このなりわい補助金のほか、金融支援なども含めて様々な支援策を組み合わせて、必要な資金、支援、タイムリーに届けられるよう、この取組を指示しているところです。
なりわい補助金については、被害を受けた工場や設備等の復旧をきめ細かく支援できる制度ですが、熊本地震ですとか令和二年七月の豪雨といった災害でも、被災地の事情に、実情に寄り添った柔軟な対応を行ってきております。今回も実情を踏まえて丁寧に対応したいと考えます。
○井上哲士君 是非、本当に書類も全部失ったような皆さんに対応できるような柔軟なことを求めたいと思います。
最後に、原発の問題です。
もう珠洲原発を造らせないで本当によかったという言葉、何度も聞きました。
あの志賀原発のある志賀町は震度七。まあ直後に異常なしとされましたけれども、地震の揺れで変圧器が故障し、外部電力が一部使えなくなり、絶縁や冷却のための油が漏れ出すなど、様々なトラブルが発生をしております。
事実関係をいつどのように把握したかを明らかにするべきでありますが、再稼働に向けて今、この審査で北陸電力が想定している活断層は、最低で、最大九十六キロですが、今回百五十キロ動いたんですね、と言われています。今後も想定を超えた地震動の地震の発生は否定できない。しかも、今回の地震で、道路の寸断、津波でもう避難計画は実行できないということも明らかになったわけですね。
私は、安心して住み続けられる地域にするためには廃炉しかないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先般、原子力規制委員会において今般の地震による原子力施設の影響及び対応について審議が行われ、志賀原子力発電所について原子力施設の安全機能に異常はなく、その他の原子力発電所についても発電所の安全確保に影響のある問題は生じていないとされたと承知をしております。
そして、この緊急時対応の取りまとめを、今、志賀原発及び柏崎刈羽原発においては取りまとめを行っている、こういったところであると承知をしています。今般の教訓もしっかり踏まえて取りまとめていくことになりますし、また、いずれにせよ、これ、志賀原発、御案内のとおり、今稼働しておりません。高い独立性を有する原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限り原発の再稼働は認めない、この方針は今後も変わりません。
○井上哲士君 廃炉を改めて強く求めまして、質問を終わります。
予算委員会(能登半島地震 ― ジェンダー視点も含む避難所改善、住宅・生業再建支援、原発問題)
2024年1月24日(水)