国会質問議事録

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内閣委員会(放課後等デイサービスについて)※予算委員会による審査の委嘱

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 放課後等デイサービスに対してお聞きいたします。
 学校に通う障害を持つ子供たちに仲間とともに生活や遊びを通じて豊かな放課後や休日を保障するものであります。
 昨年の三月十七日の当委員会でも、その役割や目的に関して質問をいたしました。こども家庭庁が発足をして厚労省から所管が移る前でありましたけども、当時の小倉大臣は、この放課後等デイサービスについて、生活、遊び、集団、仲間、こういう視点を含めて発達支援を行うとともに、学校や家庭とは異なるその子らしく過ごせる場所として、障害のある子供たちとその家族を支える重要なサービスだと述べられました。そして、障害を持つ子供たちにとってのこの放課後活動の意義がこの生活、遊び、集団、仲間にあるという認識を示されたわけですね。
 こども家庭庁の担当する大臣として、加藤大臣も同様の認識ということでよろしいでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
 放課後等デイサービスは、障害のある就学児に対して授業の終了後又は学校の休業日に発達支援を行うものであり、子供と家族の育ちと暮らしを支える重要なサービスであると認識をしております。
 また、子供は、遊び、生活、集団の中での様々な体験や経験を通じて成長していくものであり、こうした視点を持ちながら支援を行っていくことも重要でありまして、小倉前大臣と同様の認識でございます。
○井上哲士君 来年度、この放課後等デイサービスに係る報酬が改定をされます。その際、今大臣が述べられた基本的な認識は、この報酬改定の目的や内容にも反映をされるべきだと思うんですね。
 今般の報酬改定では、質の高い発達支援の提供を推進するとして、健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性と、この五つの領域を全て含めた総合的な支援の提供が基本としております。
 ただ、役所の部署でこういうふうに言いますと、どうも一人の子供を五分割して、五つの領域に分割をして把握、評価をして必要な支援を個々ばらばらに立案することになりかねないんじゃないかという危惧の声も聞くわけですね。
 生活、遊び、集団、つまり、放課後の生活や遊びを仲間とともに過ごすという、こういう営みを通じて、子供を全人的に丸ごと受け止めて肯定するということを出発的にして、子供の主体性や創造性を中心に、その活動や子供への支援の内容を組み立てていくということが本来の総合的な支援だと考えるんですね。
 そうしてこそ、先ほど大臣が述べられた放課後等デイサービスの意義が生かされると考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答えを申し上げます。
 総合的な支援の出発点というのが子供を全人的に受け止めて肯定すること、これが子供を育てていく上で重要であって、放課後デイサービス、支援の中にもしっかりとこの視点を盛り込むことが重要だということの御指摘であったと思います。
 健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性、この五領域を全て含めた総合的な支援を放課後デイサービスでしっかりと行っていきたいと、こども家庭庁としても進めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 五領域をばらばらでなくて、総合的にやるということを改めて強調したいんです。
 この放課後等デイサービスのガイドラインの改訂が検討されているということですが、是非、この生活、遊び、集団というこの放課後等デイサービスの意義や、本来の意味での総合的支援、この在り方が理解される、分かりやすく、是非このガイドラインに反映をさせていただきたいと求めておきます。
 次に、昨年の質問では、この放課後等デイサービスの職員に求められる専門性をしっかり評価して報酬に位置付けるということを求めました。就学の前の子供を対象にした児童発達支援事業では、五年以上児童福祉事業に従事した経験のある保育士を専門的支援加算の対象にしております。それと同様に、放課後等デイサービスでも保育士の方を専門的支援の加算の対象にするように一年前に求めましたけれども、今回の報酬改定ではどのような扱いになったでしょうか。
○政府参考人(吉住啓作君) お答えいたします。
 今般の報酬改定では、適切なアセスメントの実施と子供の特性を踏まえた支援を確保する観点から、総合的な支援を提供することを基本とするとともに、専門人材の活用とニーズを踏まえた計画的な専門的支援の実施を進める観点から、専門的支援加算の見直しを行っております。
 具体的には、専門的な支援を提供する体制と専門人材による個別集中的な支援の計画的な実施について、二段階で評価を行うなどきめ細かく評価を行うこととしておりますが、その中で、今御指摘がございましたが、経験のある保育士等による専門的な支援も評価を行うこととしているところでございます。
 引き続き、適切なアセスメントと子供の特性を踏まえた総合的な支援、専門的な支援の実施を進め、個々の特性や状況に応じた質の高い発達支援の提供を推進してまいります。
○井上哲士君 確認ですが、放課後等デイサービスの保育士も専門的加算の対象にするという意味ですね。
○政府参考人(吉住啓作君) 御指摘のとおりでございます。
○井上哲士君 昨年質問したときの答弁は慎重に考えるということでありましたけれども、今ありましたように、専門的支援の強化を図るという観点から加算の対象になったということであります。
 さらに、今回の改定で、児童指導員等配置加算については、これまで単に児童指導員を配置することに対して加算してきたものを、常勤か否か、五年以上の勤務経験の有無で加算するようにしておりますけれども、この趣旨はどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(吉住啓作君) お答えいたします。
 児童指導員等加配加算は、常時見守りが必要な障害児に対する支援や家族等に対して障害児への関わり方に関する助言を行うなどの支援を強化を図るため、基準で求められる人員体制に加え、職員を追加で配置していることを評価する加算でございます。
 これまで、この加算では、加配される職員が資格等を有する専門職か否かに応じて評価の差を設けておりましたが、今般の報酬改定では、この加算の趣旨が特定の領域に特化した専門的な支援を行うためのものではなく、事業所の基礎となる支援力の強化を図るためのものであること、障害児支援においては、経験豊富な職員が事業所全体の質の高い支援の提供に貢献していると考えられることから、常勤、非常勤等の配置形態や経験年数に応じて評価を行うこととし、経験のある人材の活用、評価を推進することとしたところでございます。
○井上哲士君 保育士の経験が非常に大事だということを評価をされたということであります。放課後デイの保育士の皆さんに求められている専門性を評価してこういう加算が行われたということは、現場からも評価をされているところなんですね。
 さらに、職員の皆さんがより専門性を高めていく、そして子供たちに質の高い支援を保障するためには、雇用の安定が不可欠なんです。その点では、日割り出来高払の報酬制度の問題を改善していくことは避けられないと思うんですね。
 昨年の質問の際に、コロナ禍の利用自粛によって、日割り出来高払の報酬制度が多くの事業所で運営を困難な状況に追い込んだことを指摘をいたしました。厚生労働省の政府参考人は、利用者がそのニーズに合ったサービスを選択できるようにするためには、この日払い方式を維持すべきだと答弁をされました。これ、私は極めて矛盾していると思うんですね。日割り出来高払の報酬制度で、職員の雇用も維持できなくなったり施設の運営が不安定になれば、利用者のニーズに合ったサービスを選択したいと思ってもサービスが提供されなくなってしまうわけですよね。
 昨年は厚労省の答弁でありましたけれども、まさに子供を真ん中にしていくというこども家庭庁になった折に、是非、この日割り出来高払をやめて、安定した運営ができるような報酬制度にしてこそ、利用者がそのニーズに合ったサービスを選択できると思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) 委員御指摘のとおり、事業所の安定した事業運営は大変重要だというふうに考えておりますが、事業所の安定した事業運営について引き続き取組を行いながら、あわせて、利用者がニーズに合ったサービスを選択できるようにするためにも、きめ細かい報酬体系として日払い方式を維持すべきだと考えてございます。
○井上哲士君 先ほど申し上げたように、現実に起きていることは、やっぱりこの日払い方式の下で非常に運営が不安定になっていることが現に起きているわけです。これ、是非見直しを強く求めたいと思います。
 さらに、今回、放課後等デイサービスで不登校児に対して支援を行う場合の個別サポート加算Ⅲというのが新設をされました。一体誰がその子供が不登校だと認定をするんでしょうか。
○政府参考人(吉住啓作君) お答えいたします。
 今般の報酬改定では、継続的に学校に通学できない不登校の状態にある障害児への支援の充実を図る観点から、通常の発達支援に加えて、学校と連携を図りながら支援を行った場合に評価を行う個別サポート加算Ⅲを創設しております。
 この加算は、不登校の状態にある障害児に対して発達支援を行うことに加え、学校及び家庭との連携を緊密に図りながら支援を進めることを要件としており、事業所が子供が不登校の状態であると判断し、保護者に同意を得た上で学校と情報共有を行い、事業所と学校の間で緊密な連携を図りながら支援を行うことが必要であると判断された場合に取組を進めていくことを想定しております。
 詳細な取扱いについては、今後、関係通知などでお示しするとともに、文部科学省とも連携を図りながら、現場でしっかりと運用されるよう取り組んでまいります。
○井上哲士君 レクでは、学校側が判断するような説明を受けたんですけれども、今の話で言いますと、まず事業所が判断をして、その上で学校と話合いをして、学校の、何というんでしょうか、も同じ判断になった場合に行うと、こういうことなんでしょうか。
○政府参考人(吉住啓作君) 今御指摘のとおりでございます。
○井上哲士君 そこで、文部科学省にお聞きしますが、障害を持つ不登校の子供たちへの支援は大変重要でありまして、学校との連携は欠かせないと思うんですね。
 二〇一八年から、家庭と教育と福祉が連携するトライアングルプロジェクトが行われております。文部科学省と厚生労働省がトライアングルプロジェクトチームを組織をして、家庭と教育と福祉の連携について課題を検討し、二〇一八年三月に報告が出されております。
 この報告書を見ますと、課題として、例えば放課後等デイサービスについて、教職員の理解が深まっておらず、小中学校から放課後等デイサービス事業所への送迎時において、子供の状態などの情報提供を始めとする学校の協力が得られないことがあると、こういうふうに書かれております。この報告からもう六年たつわけでありますけれども、当時指摘した課題が改善されているのかということなんですね。
 先日、放課後等デイサービスの現場の皆さんからお話聞きました。自分たちは連携したいけれども、学校側が非常に消極的だと、こういう話をお聞きしたんですね。例えば、コロナ禍の一斉休校がありました。子供たちを受け入れていた放課後等デイサービスの職員が、休みの間に子供たちの様子を学校の先生方も気にされているだろうと思って、この一斉休校明けに学校に報告に行ったら、今コロナで密になったらいけないのでということで追い返されたと、こういう言い方をされておりました。
 教職員の理解はこの六年前の報告から見ても深まっていないんじゃないかと思うんですが、文部科学省としてはこういう現状をどう認識されて、どのように改善をされるんでしょうか。
○政府参考人(安彦広斉君) お答え申し上げます。
 教育と福祉が連携して切れ目のない支援を行うためには、学校と放課後等デイサービスなどの関係機関等が一層連携を深めることが重要だと考えております。
 文部科学省では、文部科学副大臣と厚生労働副大臣の下に家庭と教育と福祉の連携「トライアングル」プロジェクトを設置しまして、平成三十年にこのプロジェクトの報告を取りまとめたところでございます。その中で、学校において作成される個別の教育支援計画について関係機関と連携して作成されるよう必要な規定を省令に置くこととされ、学校教育法施行規則の改正を行い、通知したところでございます。
 また、令和三年になりますけれども、障害のある子供の教育支援の手引を改定しまして、学校や教育委員会関係者が日常的に放課後等デイサービスの事業者等と連携を図ることは有用であるということについて明記をし、改めて通知しているところでございます。
 さらに、令和六年度予算案におきましても、障害のある児童生徒等への支援におきまして、学校や教育委員会と福祉関係、教育関係の、福祉関係機関との連携について実態の調査、また放課後等デイサービス事業者の連携等との好事例の収集、また課題の整理などを行いまして、先進事例の周知啓発のための予算を計上しているところでございます。
 実際、様々な現場での取組が進んでいるところ、また進んでいないところもあるかと思いますが、これらの取組を通じまして、課題も含めまして、こども家庭庁を含めて関係機関とも連携しながら、教育、家庭、福祉の連携が一層図られるよう努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 トライアングルプロジェクトの、去年の四月二十日の合同連絡会議に設置要綱が出されていますが、この中でも、この障害や発達に課題のある子供たちやその家族への支援について、地域によって体制整備の状況に差異があったり、国の事業が十分に活用されていなかったりする等の状況があると、こういうことが言われているわけでありまして、これ本当に、今、不登校児への支援を放課後等デイサービスで行う前に、こういう教育と福祉の連携ができていないという現状を改善することが先決だと思うんですね。
 放課後等デイサービスの現場の職員の皆さんからは、対象となる不登校の子供たちは不登校になる前から放課後等デイサービスに通っていた子供たちに限定するなどの要件が必要だと指摘がされています。そうしないと、不登校の子供たちばっかり集めるような、不十分な学習支援を行うような事業所が増えるんではないかと、こういう心配の声が上がっておりますけれども、追加でお聞きしますが、こども家庭庁、このこういう声、不安、どうお答えでしょうか。
○政府参考人(吉住啓作君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、教育と福祉の連携は大変重要な課題であるというふうに認識しております。
 放課後等デイサービスと学校の相互理解の促進や円滑な情報共有等、現場で教育と福祉の連携が進むよう文部科学省と連携を図りながら、今般の改正内容を盛り込んだ通知を連名で発出するなど、現場でしっかりと運用されるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○井上哲士君 先ほど言いましたように、この不登校の子供たちばっかり集めて不十分な学習支援を行うような、そんな事業所が増えるような結果に絶対なってはならないと思いますので、対応をよろしくお願いしたいと思います。
 今回、新たに自立サポート加算というのが創設されました。高校二年生、三年生について、学校卒業後の生活を見据えた支援を行った場合に評価するとしておりますが、本来学校で行うべきなのがこの修了に向けた支援なんですね。これを放課後デイサービスに肩代わりをさせるのかということが問われるわけでありまして、一体どのような支援を想定されているんでしょうか。
○政府参考人(吉住啓作君) お答えいたします。
 今般の報酬改定では、放課後等デイサービスにおいて、子供の自立を見据えた支援を促進する観点から、学校卒業後の進路を選択する時期である就学児童に対して、学校卒業後の生活を見据えて学校等と連携しながら相談援助や体験等の取組を行った場合に評価する自立サポート加算を創設しております。この加算で評価する支援につきましては、発達支援の基本となる総合的な支援に加えまして、子供自身が自らの特性等について自己理解をするための支援や、子供が希望する進路に必要となる知識、技能の習得支援、子供が進路を選択し希望する道を進んでいけるようにするための取組を、個々のニーズに応じて学校や地域等との連携の下で行うことを想定しております。
 引き続き、放課後等デイサービスにおいて、総合的な支援の推進が図られるとともに、個々の特性や状況に応じて質の高い支援の提供が推進されるよう取り組んでまいります。
○井上哲士君 子供たちが、やっぱりそういう自分のいろんな進路を選べて、選べる上での力を付けたり、そういう機会を与えていくというものにするべきであって、繰り返しになりますが、学校に成り代わってこの職業訓練を行うと、そういうことに絶対になってはならないということを改めて強調いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

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