○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まず、高市大臣にお聞きいたします。
私は、昨日の本会議で、政府が特定秘密保護法の審議の際に、経済安全保障に関する情報は特定秘密に入るとは答弁していないということ、そして、実際に経済安全保障に関する情報をこれまで特定秘密に指定した例がないことを衆議院の審議で認められているということを指摘をいたしました。これに対して総理は、特定秘密保護法に経済安全保障に関する情報が含まれていないわけではないと答弁をされました。要するに、そもそも特定秘密保護法は、経済分野の秘密が指定できる制度設計になっているということの答弁でありました。
それなら、なぜ初めからこの特定秘密保護法の秘密指定の範囲に経済分野の情報が含まれるということを明確にしなかったんでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 御指摘いただきました総理の御発言につきましては、特定秘密保護法は、その別表の四分野に該当する情報であって、漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるものを保護する制度であり、また現行の特定秘密保護法の運用基準には、経済安全保障分野の情報でもあるサイバー攻撃の防止を別表四分野のうちの特定有害活動の防止に関する事項ないしテロリズムの防止に関する事項の細目として掲げておりますことから、特定秘密には経済安全保障分野は含まれないわけではないと考えているとの発言をされたと認識をしております。
このようなことは、御指摘いただいた総理答弁において初めて明らかにしたものではなくて、例えば衆議院の審議におきましても、特定秘密制度の担当部局から、我が国の先端技術を狙ったスパイ活動やサイバー攻撃の重要情報が友好国からシークレットの保全表記がなされた文書でもたらされた場合には、当該文書を特定秘密文書として厳重に管理しているといった答弁をしてまいりました。
○井上哲士君 いや、その答弁は分かっているんですけどね。
つまり、総理は、この経済安全保障に関する情報が含まれていないわけではないと、こういう答弁をされたわけで、だったら、そもそもこの特定秘密保護法の秘密の指定の範囲に経済分野は含まれるんだということをより明確にきちっと当時分かるように国会でも答弁もし、書き込むべきではなかったということをなぜしなかったのかということをお聞きします。
○政府参考人(岡素彦君) 特定秘密保護法の制定時に、確かに国会の議論におきまして、経済安全保障というタームが何かこう議場で御議論されたことはありませんけれども、例えば、エネルギーの安全保障であるとか、あるいは食料の安全保障、さらに技術の問題については、国会において大いに議論をされておりまして、その意味においては、当時からその経済に係る安全保障に関する事項が特定秘密の指定対象となり得るという理解があったものというふうに承知をしております。
○井上哲士君 じゃ、果たして理解があったんでしょうか。
これ、有識者会議でも議論になっているんですね。
昨年十月の第七回有識者会議で、特定秘密保護法で経済分野が指定できることになっているが、実際どれくらい指定されているのかと問われて、内閣官房が、指定件数はゼロと回答します。これに対して有識者から、経済官庁において全く指定されていないということはゆゆしき問題だと、こういうやり取りも行われております。
政府は、この有識者会議で、この経済分野の指定がゼロであるということの理由をどのように説明したんでしょうか。
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
御指摘の第七回有識者会議の議事要旨は既に公表をされているところでございまして、御指摘のようなやり取りがなされておりまして、事務局からそのゼロ件だというところの議事要旨に関しましては、事実関係として、特定秘密保護法の別表第二号ロに関する運用基準のa(b)(c)については、これまでのところ指定件数はゼロであるというふうに議事要旨で示させていただいております。
このやり取りの中で、今御指摘のこれに対する有識者のコメントに対しまして事務局からは、非常にもっともな指摘であると思うと、その上で、今まで指定の実績がないということについてどう捉えるのかというのはいろいろ考えなければならない、少なくとも我々がこの有識者会議を始めた一番の大きな理由は、安全保障の中で、経済に関する情報の重要性が増しているということ、これは逆に捉えれば、日本政府が保有する経済安全保障関係の重要な情報がターゲットになる可能性が、十年前の特定秘密保護法制定時に比べはるかに高くなっているというのが現状だと思っていると、したがって、過去に指定されていなかったから今指定しなくていいのかといえば、そういう状況判断ではなく、その上で、特定秘密保護法においても、その対象分野の中で経済安全保障上重要な情報をしっかりと守っていくことが必要であると考え、この議論をさせていただいていると回答しているところでございます。
○井上哲士君 状況は変わってきたというお話でありますが、政府は一方、この問題をこの間問われて、約十年間、効果的かつ適正に施行されてきたと、こういう答弁されているんですね。十年間これまで適正にやってきたと言いながら変えなくちゃいけないというのは、私はちょっと矛盾していると思うんです。
昨日の本会議で総理は、経済安保に関する重要な情報が特定秘密に該当するかどうかを各行政機関がより的確に判断できるようにするために運用基準を見直すと答弁をされました。つまり、この有識者会議でゆゆしき問題などと指摘されたように、各行政機関が的確な判断ができてこなかったと、だから経済分野の指定がゼロだったので運用基準を見直すということなんではないですか。いかがでしょうか。
○政府参考人(岡素彦君) お答え申し上げます。
各行政機関において、過去十年間、指定を適切に、適正に行ってきたということはこれまで申し上げたとおりでございます。
経済、失礼しました、経済安全保障に関わる重要情報につきましても、先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、例えば外国から入手した情報でありますとか、あるいは軍事技術的な、防衛技術的な事項につきましての指定もございます。
ただ、今後、情勢が変化していき、我が国政府におきまして新たに経済安全保障に関わる重要情報を入手したり生成したりするケースが増えてくるというふうに見込まれる中で、より明確性を求め、より分かりやすく指定ができるように改善してまいりたいと、そういう考えの下で運用基準を、運用基準の見直しを検討してまいるというふうに答弁してまいりました。
○井上哲士君 特定秘密保護法案に対する国民の強い反対から、この対象四分野に経済分野は明記をせず、答弁でも含むと言わなかった、そして国民には対象になることを見えなくしてきたわけですし、施行後も極めて抑制的に運用してきたというのが実態だったと思うんですね。これを、にもかかわらず、法改正ではなくて運用基準の見直しによって大きく転換するということではないかと私は思います。
これ、ちょっと具体的にお聞きしますけれども、お手元に第七回有識者会議の資料、経済安全保障上の重要な情報のイメージというものを配付をしておりますけれども、ここには、経済安保上の重要情報でトップシークレット、シークレットに当たる情報が存在をするけれども、し、その一部が特定秘密の対象情報だということが示されております。この黄色と青が重なった部分ですね。
有識者会議で批判が出されたのは、この資料のこの重なり合う部分、これがあるにもかかわらず指定をされていないということが批判、指摘をされたということで、理解でよろしいでしょうか。
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
まず、この資料、経済安全保障上の重要な情報のイメージというこの資料でございますが、本件資料につきましては、御指摘の有識者会議におきまして、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度を検討するに当たりまして、対象とすべき情報を議論するための一つの材料として、あくまで一つのイメージ図を事務局から有識者にお示ししたものでございます。
したがいまして、ここで示されているこの上の四角で囲まれているところのような、投げかけのパターンになっておりまして、下記のようなイメージになるのではないかというような形で議論を提起するための投げかけのパターンになっておりまして、ここで示されている経済安保上の重要情報として四角で囲っておりますものは、厳密な法的な概念を示したものではございません。本法案に、したがいまして、本法案において定義をしました重要経済安保情報とは異なるものでございます。
したがいまして、御指摘のような指摘につきまして、この図を用いて厳密な議論を行うことは困難であると考えております。
○井上哲士君 いや、皆さんの答弁が非常に分かりにくいので、皆さん自身が分かりやすい議論をするために出したイメージ図を使って私は議論をしているんですね。
厳密なものではないというふうにおっしゃいましたけれども、しかし、この経済安保上の重要情報でもトップシークレット級、シークレット級のものがある、そして特定秘密の対象情報になる、にもかかわらず指定がされていないというのがこのかぶさったところ、これがやはりそのときに議論になったということではないんですか。
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
先ほど申しましたように、繰り返しになって大変恐縮でございますが、やはりこれ一つのイメージ図で、この有識者会議の議論を進めるに当たっての材料としてお示しをしたものでございまして、ここから今、本法案に示しております重要経済安保情報をめぐる議論を厳密に行うことは困難であるというふうに考えております。
○井上哲士君 事務局自身が出されたイメージ図でありますから、分かりやすく議論する上で私はこれで更に聞きたいんですけど、政府はこの特定秘密の範囲は拡大しないとこの間繰り返し答弁をされております。しかし、法律に書かれている別表の四分野と二十三項目には新たな内容を追加しないと言っているだけなんですね。運用基準が定める五十七の細目は書きぶりを改めたり追加したりするということでありますけれども、そうしますと、イメージを分かりやすくするために、これ、この表で聞きますけれども、この資料でいいますと特定秘密の対象情報の範囲を更に右の方に拡大をしていけるように基準を見直すと、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。
○政府参考人(岡素彦君) 繰り返し答弁申し上げますとおり、御指摘の資料はあくまでイメージ図であるというふうに理解しておりますが、その上で申し上げますと、今回は特定秘密保護法の改正は行いません。そのために、法の別表に定められた指定対象である四分野二十三項目については現行の規定が維持されることから、したがいまして、法定の秘密の範囲が拡大することは一切ございません。
○井上哲士君 実際、さっき、先ほど来議論していますように、元々対象になっていると言いながら実際には指定がゼロだったと、それをより明確にするために基準を変えるということですよね。ですから、そうしますと、これまで運用上指定をされてこなかったものが今回の運用基準を改正をすれば、ここのダブった部分になろうかと思うんですけれども、実際上指定が広がっていくということにつながっていくということでよろしいですね。
○政府参考人(岡素彦君) 現在も指定すべき情報は漏れなく指定しているというふうに理解をしております。その結果としての現行の指定の状況がございます。これを御理解いただきたいと思っております。
○井上哲士君 では、何で運用基準を見直すのかなということがまた疑問に湧いてくるんですね。本当にこの特定秘密の対象情報がこの五十七の細目を変えることによって拡大しないのかということなんですね。
運用基準の見直しの具体的な内容は、今朝も議論ありますように、法案成立後に有識者の意見を聞いて検討するというのがこの間の一貫した答弁でありますが、これ非常に大きな問題だと思うんですね。これじゃ国会審議にならないと思うわけで、議会制民主主義の軽視も甚だしいと私は思うんですよ。やはりこの見直しの具体的な内容をこの法案審議の中で国会に示していただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) この特定秘密保護法の運用基準の見直しにつきましては、経済安全保障に関わる重要技術が特定秘密に該当するかどうかを各行政機関の長が的確に判断できるようにするために、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないか、法の授権の範囲内で見直しを検討することといたしております。有識者の御意見も伺います。その上で、運用基準の案を作成し、パブリックコメントも行った上で閣議決定を行うことといたしておりますが、国会でこの御質疑をいただくということで場を設けていただきましたならば、参りまして丁寧に説明をさせていただきたいと存じます。
○井上哲士君 私は、これ極めて重要な問題だと思うんですね。やっぱり事前にそれはきちっと法案審議の中で示していただきたいと思います。
今もありましたように、特定秘密保護法は改正しないので特定秘密の範囲は拡大しないという一方で、特定秘密保護法とこの重要経済安保情報法案とのシームレスな運用をする、そのための運用基準も変えていくということでありますが、昨日の本会議でも指摘をしましたけれども、この本法案で経済分野まで秘密の範囲を幅広く拡大をして、その中から特定秘密に機微な情報を指定するというシームレスな運用をすれば、これまで指定されてこなかった情報が特定秘密に指定される、結果として、指定の拡大になる範囲も広がっていくということに私はなると思いますし、これまで抑制的だった各省庁の秘密指定もそのたがが外れるんじゃないかという危惧を大変強く持っております。
その上で、次の質問でありますが、午前中にも質問がありましたけれども、一昨年に成立した経済安全保障推進法にセキュリティークリアランス制度を盛り込まなかったのはなぜか、確認をしたいと思います。
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
経済安全保障推進法につきましては、当時の経済安全保障法制に関する有識者会議における御議論も踏まえて、喫緊の政策課題に対応するため、四本柱を法制度化したものでございます。
推進法の審議における附帯決議を政府として重く受け止め、セキュリティークリアランスに関する検討を開始し、昨年二月の岸田総理からの御指示を受け、有識者会議を開催し、制度の導入に向けた検討を今般本格化し、法案の提出に至ったものでございます。
○井上哲士君 当時の答弁では、この経済安保推進法にセキュリティークリアランス制度を盛り込まなかった理由の一つとして、セキュリティークリアランス制度は個人の情報に対する調査を含むために国民の理解の醸成度合いが十分かどうかということも挙げられておりますし、今日午前中、高市大臣も同様の答弁をされております。
この答弁は一昨年の答弁でありますけど、この二年間でこのセキュリティークリアランス制度に対する国民の理解が醸成されたのかと、何を根拠にそういうふうに政府は考えるんでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 政府としては、去年の二月から、有識者会議、合計十回開催したのですが、約一年掛けて丁寧に議論してきました。毎回、きちっと議論が終わった後にブリーフィングを行い、国民の皆様にその内容を公開してきました。また、私自身も、記者会見、講演など様々な場を活用して皆様に御説明を重ねてまいりました。
もう与野党問わず、各党の皆様から国会審議の中でも後押しをいただく御質問もいただき、各党で、与野党関わらず、各党でこの情報保全の在り方についても御議論いただいていると伺ってまいりましたので、私は、法案提出の機運は熟したと判断をし、政府内の調整を経て、また、与野党、与党の関係の皆様にも御相談をして法案を提出するに至りました。
○井上哲士君 大臣自身の対応であるとか各党の対応について述べられましたけど、国民全体の理解、国民自身の理解の醸成を示す具体的な根拠は何も示されなかったと思うんですね。
私、十年前と比べると、むしろ個人情報の保全に対する国民の意識は更に高まっていると思うんですよ。そういう個人情報に対する国民意識の高まりについて、大臣はどういう認識されているんでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 個人情報に関する意識が高まっているという認識は一致いたしております。だからこそ、時間を掛けて、特に有識者会議でも、プライバシーとの関係、そしてまた、個人情報がしっかりと守られる体制をつくれるかどうかといったことも含めて議論してきましたし、私から事務方に対する指示も、まさにこの適性評価のための調査をした情報が世の中に流出してしまっては大変なことになりますので、どのようにしてこれを保存するのか、流出を避けるのか、そしてまた、適性評価を受ける方の権利をいかに守れるのか、この辺りに重点を置いて指示をし、また事務方とも議論をし、有識者会議でも御議論いただいたということでございます。
○井上哲士君 果たしてそういう法案になっているかどうかは、今後更に議論をしていきたいと思います。
次に、重要経済基盤保護情報の定義についてお聞きします。
重要経済基盤に関する革新的な技術であって安全保障に関するものとなっておりますが、これは具体的にどのような情報なのか、軍事転用可能な民生用技術も該当するということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
御指摘の重要経済基盤に関する革新的な技術であって安全保障に関するものとは、例えば、重要経済基盤であるインフラの供給体制や重要物資のサプライチェーンに関する革新的な技術のことでございます。
その内容を具体的に申し上げることはやや困難ではございますけれども、例えば、AIや量子技術等についても、今後、重要経済基盤に関する既存の技術を超えた極めて先端的なものが生まれ、他国によって我が国の重要経済基盤に支障を与える目的等で悪用されることを防ぐために秘匿する必要があるものがあれば、これに該当する可能性があると考えております。
なお、民生用の技術と安全保障用の技術の区別は極めて難しくなってきておりまして、いわゆるデュアルユースの技術はこれに該当する可能性があると考えております。
○井上哲士君 デュアルユースは該当する可能性があるということでありましたが、政府は、本法案と特定秘密保護法との関係について、本法案の制度による情報保全を図るとともに、機微度が上がり、指定要件を満たせば、特定秘密保護法の制度による情報保全を行うといったシームレスな運用を可能にする制度設計を行ったと述べております。
一般に、情報は時間がたてばむしろ機微度が下がっていくということだと思うんですね。その重要経済安保情報として指定された情報で、この機微度が上がって特定秘密保護法の指定に移行していくような情報というのは、具体的にどういうものが想定をされているんでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 現行の特定秘密保護法の運用基準には、経済安全保障分野の情報でもありますサイバー攻撃の防止を別表四分野のうちの特定有害活動の防止に関する事項ないしテロリズムの防止に関する事項の細目として掲げております。
一方、この法案におきましては、外部から行われる行為から重要経済基盤を保護するための措置又はこれに関する計画若しくは研究に関する情報を重要経済基盤保護情報としておりますが、例えば、重要経済基盤である基幹インフラへのサイバー攻撃の脅威情報や、それに対する政府の対応策、すなわちサイバー攻撃の防止に関する情報は、重要経済基盤保護情報に該当し得ると考えられます。
そのため、こうした情報で、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあり、かつ特定秘密に該当しないものであれば、重要経済安保情報として指定されることになります。
他方、こうした基幹インフラへのサイバー攻撃の脅威情報や、それに対する政府の対応策などは、特定秘密保護法の運用基準に言うサイバー攻撃の防止に関する情報に該当しますことから、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれのある情報となると至った際には、それが公になっていないということであれば、特定秘密として指定することとなると想定されます。
○井上哲士君 どうもこの機微度が上がっていくというのがまだよく私には理解ができなかったんですが、昨日の本会議で、日米共同声明で米英豪の事実上の軍事同盟であるAUKUSと日本が先端軍事技術での協力の検討を宣言したことを指摘をいたしました。
AUKUSの第二の柱であるサイバーとか量子技術、海洋戦力、極超音速兵器などの先端軍事技術で協力を進めようというものでありますが、この協力のためにセキュリティークリアランスが求められているんではないかとただしますと、この法案は防衛装備の技術協力への対応を想定したものではないというのが総理の答弁でした。
しかし、四月八日のAUKUSの共同声明は、連携国に求める条件の一つに、機微なデータ、情報を適切に保護する能力というのを挙げております。これは、セキュリティークリアランスを含む情報保全全体が条件ということを言っていると思うんですね。
防衛装備品に関わる情報が特定秘密の世界と言うならば、これ日本がAUKUSと先端技術協力を進める条件は既に整っているということになると思うんですけれども、にもかかわらず、AUKUS側がこういう条件を求めてきているというのはなぜなんでしょうか。
○国務大臣(高市早苗君) 日本、AUKUSのメンバーではございません。そのAUKUS国防相共同声明がAUKUSとの協力に当たってパートナー国に求める条件について、私はお答えする立場にございません。
本法案が保護の対象としているのは我が国の国民生活や経済活動にとって重要なインフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関する情報でございますので、防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではございません。
○井上哲士君 政府は繰り返しそういう答弁をされるんですけどね。
ただ、例えば、このAUKUSだけでないわけで、日本はイギリス、イタリアとともに次世代戦闘機の共同開発プログラム、GCAPを進めておりますけれども、これに関してジュリア・ロングボトム駐日イギリス大使は、セキュリティークリアランス制度は機密技術の共同開発を促進するために欠かせないと、毎日新聞への寄稿で述べているわけですよね。
この法案が防衛装備の技術協力への対応を想定しているものでないと繰り返されますけれども、しかし現実に、日米共同声明でのAUKUSの問題でも、このイギリスやイタリアと一緒にやった次世代戦闘機の共同開発プログラムでも、外国の方はこういうセキュリティークリアランスを求めていると、これは明確な事実だと思うんですけれども、それはいかがですか。
○国務大臣(高市早苗君) イギリスのジュリア・ロングボトム大使がおっしゃったことは防衛装備品に係る話でございますので、それは特定秘密保護法に当たる話だと思います。本法案との関連はないと考えております。
○井上哲士君 特定秘密はもうあるんですよ。だけど、この駐日イギリス大使は、機密情報の共同開発を促進するためにセキュリティークリアランス制度は欠かせないと、今後の問題で言っているので、今の問題で、既にあるものじゃなくて。だからこそ、この今回の法案がこういうものに対応したものではないかということを繰り返しこの間質問してまいりました。
時間になりましたので、次回更にただしていきたいと思います。終わります。
内閣委員会(経済秘密保護法案)
2024年4月18日(木)