国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2024年・213通常国会 の中の 内閣委員会(経済秘密保護法案に対する反対討論)

内閣委員会(経済秘密保護法案に対する反対討論)

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案等に反対の討論を行います。
 政府は、本法案と特定秘密保護法とのシームレスな運用を可能とするための運用基準の見直しを始め、ことごとく法案成立後に有識者の意見を聴いて検討するとしています。肝腎な内容は全て政府に白紙委任など、国会審議の形骸化も甚だしいものであり、このような下での採決は断じて認められません。
 審議を通じて、本法案がアメリカと日本の財界の要求に応えて兵器の国際共同研究開発を推進するためのものであることがいよいよ明らかになりました。この間、アメリカは、繰り返し日本に自国と同レベルの情報保全体制を要求してきました。
 本法案は、兵器の国際共同研究開発を進めるため、研究開発段階から技術流出の阻止に重点を置くアメリカの対中国技術管理と歩調を合わせるためのものであります。
 参考人質疑で日本経団連の参考人が、産業界が参入を予定しているセキュリティークリアランスが必要とされる国際共同研究開発に軍需産業を想定していることを認めました。本法案が軍事分野で利益を上げたい産業界の要求に応えたものであることも明白です。
 政府は、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から、防衛省の研究開発に結び付く可能性が高いものを効率的に発掘、育成する目的でマッチング事業の認定を始めました。これらの先端科学技術の研究成果が防衛装備に転用できる可能性が出てきた段階で、要件を満たす形で重要経済安保情報に指定し、更に情報の機微度が上がれば、特定秘密に指定し、防衛装備品まで結び付けていくことが可能になります。
 本法案が経済分野に秘密指定を拡大することで自由で公開が原則の研究環境が大きく損なわれ、しかも、国際的な兵器の共同研究開発で利益を上げるために日本の科学技術研究が動員をされることになりかねません。憲法の平和原則を踏みにじるものであります。
 本法案で実施される適性評価の調査は、政治思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、犯歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで根こそぎ調べ上げるものです。さらに、評価対象者の知人や職場の上司にまで質問し、警察や公安調査庁を含む公務所に照会まで掛けるものです。こうした調査を民間企業等が行うことは重大なプライバシーの侵害に当たります。それを国が代わって調べ上げるのが本法案の適性評価調査であり、国家による人権侵害にほかなりません。
 適性評価で得た個人情報の目的外利用禁止も、重要経済安保情報の保護を目的を口実に警察による日常的な監視が行われる懸念も拭えません。個人の思想、信条、良心の自由を踏みにじる憲法違反の本法案は認められません。
 以上、断固反対することを表明し、討論を終わります。

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