国会質問議事録

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内閣委員会(子ども・子育て支援法改定案)

【配布資料】

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 先日の本会議で、我が党の吉良議員は、子供関係支出の増大の財源を社会保障支出の抑制などに限っていることについて、社会保障関係経費以外の歳出改革で生み出された財源は防衛力強化のための財源にするという衆議院での答弁を示して、子育て支援より軍事優先ではないかという指摘をいたしました。
 そこでお聞きしますが、岸田首相は、二〇二二年一月の国会で子供関連予算の倍増を目指すと答弁をされ、その後、GDP比二%の家族関係支出を倍増させるとも国会で答弁をされております。では、この法案が実現を目指す加速化プランによって子供関連支出はどうなるのか、直近の予算と二〇二八年の見込額をお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(小宮義之君) お答え申し上げます。
 厚生労働省の統計によりますと、家族関係支出につきましては二〇一九年時点で約十兆円というところでございました。これに二〇二二年度にかけての子ども・子育て予算の充実をまず加味し、さらに、加速化プランの実施の影響見込額、これを考慮して試算をいたしますと、加速化プラン実施後におきましてはこの十兆円でございました家族関係支出は十三兆円半ば程度になると試算をしてございます。
○井上哲士君 それは二〇二八年ということでよろしいですか。
○委員長(阿達雅志君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(阿達雅志君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(小宮義之君) そのとおりでございます。
○井上哲士君 子供関連予算は総理が倍増を表明してから二年たつわけでありますが、その道筋は、見えるどころか、今ありましたように、二〇二八年でも一・三倍半ばだということなんですね。こども未来戦略で、少子化は我が国が直面する最大の危機としながら、この二倍化に向けた見通しは全く示されていないわけです。
 一方、軍事費の方は、昨年、国会でも法律が通りましたけど、二〇二三年から二〇二七年までの五年間で四十三兆円として、東日本大震災の復興のための財源や、国立病院の老朽化対策や待遇改善のための基金まで流用して二倍化すると、こういう道筋が明確化をされております。
 それは、本会議の指摘どおり、これは子育てより軍事優先というのが実態だと思いますが、大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
 子ども・子育て予算倍増に向けましては、加速化プランを実施することにより、国のこども家庭庁予算が約五割増加すると見込まれており、さらに、加速化プランの効果の検証を行いながら、政策の内容、予算を更に検討し、こども家庭庁予算で見て二〇三〇年代初頭までに国の予算又は子供一人当たりで見た国の予算の倍増を目指すこととしておりまして、倍増の道筋が明確化されていないとは考えておりません。
 政府としましては、子ども・子育て政策の抜本的強化と防衛力の抜本的強化、どちらかと比較するのではなく、共に必要な予算をしっかりと措置する必要があるものと認識をしております。
○井上哲士君 二〇三〇年までがラストチャンスと言われているんですね。
 予算の効果は直ちに出ないんですよ。ところが、三〇年代の初頭に二倍を目指すと言っているわけでありますから、それ自体が、私は、総理が言ってきたこと、全く矛盾しておりますし、本当にやる気があるのかということがありますし、具体的な道筋は何も示されておりません。今回のこの加速化プランの問題でも、財源でこれだけ議論になっているわけですよ。今、二八年半ばに一・三倍半ばで、それどうやって二倍までするんですか。何も示されていないわけですよ。
 私は、敵基地攻撃能力の保有のための米国兵器の爆買いなどの軍事費拡大をやめるなど、子育て支援にこそ更に予算を拡充するべきだということを最初に強く申し上げておきたいと思います。
 その上で、財源の問題を更にお聞きいたしますが、本法案で具体化される加速化プラン、三・六兆円の財源は、既定予算の活用などで一・五兆円、歳出改革で公費と保険料で合わせて二・一兆円の社会保障費を抑制して確保するとされております。この抑制のメニューは、医療や介護、特に高齢者に関わる部分の給付の抑制が中心であります。
 政府は、今、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心の構造になっている日本の社会保障制度を転換するためだと言っておりますけれども、それに対して、本会議では、主要先進国の中で同じ高齢化率で比較したときに、我が国の社会保障支出は対GDP比で平均を下回っていること、それから、家族関係支出と教育への支出は最低レベルだと、先進国の中で、こういうことを指摘をされました。その上で、日本の社会保障制度は給付が高齢者中心になるとは言えないのが現実であって、そもそも子供にお金を掛けなさ過ぎているのが問題ではないかと質問しましたけれども、総理からはまともな答弁がありませんでした。
   〔委員長退席、理事磯崎仁彦君着席〕
 大臣は、この問題、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
 詳細につきましては、制度を所管する厚労省に聞いていただければと思いますが、その上で、社会保障につきましては、給付のみに着目するのではなく、給付と負担のバランスで捉えるべきだと考えております。
 その点、各国の状況は様々でございまして、我が国の社会保障について申し上げれば、負担よりも給付を先行させてきたために、全体として中福祉低負担との指摘もありまして、その給付は高齢者中心であると言えると考えております。その上で、本格的な少子高齢化が進む中、全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合う全世代型社会保障に転換していくための改革に引き続き取り組む必要があると考えます。そして、そうした観点からも、約三・六兆円という前例のない規模で子ども・子育て政策の強化を図ることは重要であると認識をしております。
○井上哲士君 そうおっしゃいますけど、この子供にお金を掛けなさ過ぎたというのは政府も認めてきたことなんですね。
   〔理事磯崎仁彦君退席、委員長着席〕
 厚労省の鈴木俊彦元事務次官は、現役の保険局長だった二〇一八年二月に、全国国保運営協議会会長等連絡協議会で講演しているんですね。鈴木氏は、国際的に見て高齢者に手厚いとは言えない日本の社会保障の構造を指摘した上で、こう述べております。日本は高齢者にお金を掛け過ぎていたのではなく、子供に金を掛けなさ過ぎたということではないか、高齢者から子供に持っていくと高齢者の生活が沈む、そういった高齢者を助けるためにはお金が要る、そのために将来世代がツケを負うのでは、何のための全世代の社会保障にしていくのか分からなくなると、こういうふうに述べられました。
 大臣、ちょっと追加してお聞きしますけど、こういう指摘のように、子供施策の財源を確保するためだといって高齢者の社会保障を削ったら、結局のところ、回り回って現役世代や子育て世代に負担が回ってきてしまう、本末転倒になるのではないか、こういうことを政府も認めてきたのではないかと。大臣、いかがお考えでしょうか。
○委員長(阿達雅志君) まず、こども家庭庁長官官房総務課熊木支援金制度等準備室長。その後、大臣お願いします。
○政府参考人(熊木正人君) 私ども、やはり高齢者の予算を削減して子育て予算を獲得するといったような二項対立で考えるべきではないというふうに考えてございます。
 全世代型の社会保障を構築するということは、先ほども少し申し上げましたけれども、元々、このみんなで支え合うという新しい社会保障制度をつくっていこうということで必要なことでございますし、制度を持続可能性の高いものにしていくということで、不断の努力が必要なものとしてこれまでも行ってまいりました。
 それを今後とも続けていくということ、それと同時に、子育て世帯について、しっかりと全世代型で、全世代が支えるという形で応援していくということを、これの両立を図っていくということが重要なんだろうというふうに思っていますし、そういった枠組みというふうに現在なっているものというふうに考えてございます。
○国務大臣(加藤鮎子君) これまで我が国におきましては、全体として中福祉低負担という指摘があったということは私自身もずっと考えていたところでもございまして、その中で、給付が高齢者中心であると言えるということは、先ほども申し上げたとおり、そのように受け止めておりまして、そんな中で、これから全世代がひとしく恩恵を受け、公平に支え合う全世代型社会保障に転換をしていき、そして子ども・子育て世帯をしっかりと支えていく、そういう社会に変えていくということが今必要だというふうに考えております。
○井上哲士君 二項対立ではないという答弁もありましたけど、実際にどうなっているかと。この間、社会保障予算の自然増分が毎年抑制されました。生活保護基準の引下げ、そして高齢者の医療費の窓口負担の引上げ、要支援一、二の介護保険外しと、こういう高齢者への負担増が現に行われてきたわけですよね。先ほどの保険局長の講演を紹介しましたけれども、こういうことが結局現役世代の負担に回ってくるんだという指摘なんですよ。
 大臣は、本会議の趣旨説明で、このこども未来戦略は、子供を持つことを希望する方が安心して子供を産み、育てることができる社会の実現を目指していますと言われましたけど、これから子供を持ちたいと考える若い夫婦もその両親がいるんです。その介護の問題も出てくるんです。医療の問題も出てくるんですよ。そこに結局負担を増やしてやるというやり方が、果たして安心して子供を産み育てることができると言えるのかということが問われているということを申し上げておきたいと思います。
 具体的に支援金制度について聞きますが、医療保険に上乗せして徴収する、今日も様々質疑がありますけども、税と社会保障の所得再配分機能にも反して、様々な矛盾が発生することになります。
 そもそも、医療保険には保険料の上限額があります。健康保険では年収二千百四十一万円、国民健康保険では単身世帯で千百六十万円で保険料の上限となります。所得が増えても保険料が頭打ちになって、負担能力に応じた仕組みにそもそもなっていないと。
 さらに、医療保険制度には保険者間の格差という問題があります。こども家庭庁が公表した試算によりますと、保険料に支援金が上乗せされることで一人当たりの支援金分の引上げ率が一番高い保険制度は何になっているでしょうか、お答えください。
○政府参考人(熊木正人君) まず、逆進性ということにつきましては、やはり支援金は、医療保険料と同様、所得に応じて、負担能力に応じて賦課をした上で、支出については、児童手当ですとかそういったものとして支出をいたしますので、これは明らかに所得の再分配をしていく仕組みであると。逆進性があるというのは、恐らく上限があるところのことをおっしゃっているんだと思いますが、そういうのに当たる方というのは一%とかそういった方々であって、全体としては所得の再分配を適切に行うものであるというふうに理解をしてございます。
 先生から御質問がありましたのは、私どもで四百五十円の月額の平均の支援金だと申し上げたときに、医療保険制度ごとに、被用者保険だと五百円、国保だと四百円、後期だと三百五十円といった形でお示しをし、ただ、さらに、それで、で、だけですと、平均額なものですから、それぞれの皆さんが、国民の皆さんが自分が一体幾ら払うのか分からないという御指摘があったので、医療保険料、現在の医療保険料と対比して、この今申し上げた五百円とか四百円とか三百五十円が何%なのかというのを参考としてお示しをしました。
 結論的に言うと、どの医療制度におきましても現行の医療保険料の水準の四、五%であるということを参考としてお示しをしました。これによって、どなたも医療保険料を払っていますので、その四、五%を掛けると、ああ、支援金というのはこういう金額なんだなということで、所得の多寡、いろいろあると思いますけど、世帯も状況も違うと思いますけど、それで分かるということでお示しをしました。
 御質問は、その今四、五%と申し上げたのが、制度ごとにどれが高いのかということでよろしいかと思いますけども、申し上げますと、全制度平均ですと、令和三年度の医療保険料に対して四百五十円というのは四・七%です。被用者保険ですと四・五%。国民健康保険だと五・三%。後期高齢者医療制度だと五・三%ということになります。
 高いのはどれかということでいえば、国民健康保険と後期高齢者医療制度が五・三%ということでございました。
○井上哲士君 収入が一億とか二億になっても保険料が頭打ちでありますから、そこには明らかに逆進性があるということなんですね。
 今答弁がありましたのは手元の資料の一、①でありますけども、右側に参考としてありますように、国民健康保険と後期高齢者医療制度が、保険料に対して一番この負担金の上乗せによる負担率が高くなっているわけであります。
 さらに、収入別で見ると、国保の負担の大きさが顕著になるわけですね。衆議院の答弁では、夫婦と子供一人の三人世帯で比較すると、保険料は、年収二百万円の場合で、国保は月額一・六万円、被用者保険では月額〇・九万円です。年収八百万円の場合は、国保は約五・八万円、被用者保険では月額三・四万円と。つまり、世帯年収が同じ場合には国民健康保険の方が保険料負担が高いということであります。
 こうした医療保険制度に上乗せして支援金を集めるわけですから、同じ年収で比較をした場合に、被用者保険に比べて国民保険加入世帯の方が支援金の負担が重くなるということだと思いますが、そういうことでよろしいですか。
○政府参考人(熊木正人君) 先ほどの制度ごとの五・三%とか四・七%と申し上げましたのは、令和三年度の医療保険料と、まあ見込みといいますか推計値である支援金を比べたものですので、一定の幅があり得るというふうに考えていただいた方がよろしいかと思います。そういう意味では、私どもとしては、一定の範囲内に収まった四、五%であるという評価をしてございます。
 国民健康保険と被用者保険におきまして、年収が同じな場合には国保の方が高いということでの御指摘がございました。これについては三点ほど留意点がございます。
 まず、市町村国保において、支援金というのは、医療保険料と同様に賦課をいたしますので、これは条例に基づきまして賦課方法を市町村において定めるという行為が必要になります。これは、施行に当たりまして、法案が施行後、法案が成立後ですね、施行に当たりまして各市町村において条例を決めていくということになりますので、条例が決まっていない現時点において一概にどうなるかということがなかなか申し上げにくいということがまず一点ございます。
 二点目としまして、サラリーマン世帯が加入する被用者保険と、被用者保険以外の方々、自営業の方もいれば、農業の方もいれば、無職の方もいれば、年金の方もいるというような国民健康保険とでは、同じ収入といいましても加入者の就業形態や収入の状況が異なりますので、なかなか一概に申し上げることはできないと。実際に、国民健康保険の賦課方法というのと被用者保険の賦課方法というのが異なった仕組みとなってございます。したがって、一概に比較することができないということには留意いただきたいと思います。
 それから、先ほど例をおっしゃられまして、国民健康保険の方が高い場合をおっしゃったわけですが、結果的に、この資料にもありますように、加入者平均で申し上げますと、被用者保険では加入者一人当たり平均月額五百円に対して、国民健康保険では四百円という形で、平均的に申し上げますと国民健康保険の方が低くなります。したがいまして、一定の条件を付加して、例えば、この年収とか、こういう条件とか、こういう場合といったときに、国民健康保険の方が高くなるケースというのはあろうかとも、当然あろうかと思いますけれども、ただ、それは平均的な姿とは異なる条件を設定した場合のケース、結果であるということには御留意をいただきたいと思います。
 なぜ国民健康保険の方が平均的に低くなるかといえば、まさに所得が低い方が多いということも考えまして、公費を投入する形で保険料ないしは支援金を抑えるということを考えてございます。保険料については既に行われていますし、支援金についても同様の仕組みを考えてございますので、そうしたことによりまして、国民健康保険におきましては、平均しますと健康保険、被用者保険よりも低い金額になるということでございます。
○井上哲士君 何で最後の結論が出るのかさっぱり分からないんですよね。
 先ほど申し上げたように、同じ収入であれば明らかに国保料の方が高いんです。そして、国保料に対してこの支援金の割合も国保が高いんですよ。五・三パーになるわけですね。そうなれば、同じ収入の場合に国保加入世帯の支援金が重くなるというのは私は当然のことだと思うんですよ。あれこれ市町村のことだとか言われましたけれども、現実にこういう数字があるわけです。
 そして、更に問われるのは、この支援金を上乗せするということは、政府が認めてきた国保の構造的問題に何をもたらすかなんですね。
 資料二を見ていただきますと、二〇一九年の厚生労働省の試算では、保険料負担率、これは、協会けんぽの七・五%、下から三枠目ですね、これに対して市町村国保は一〇・三%になっております。
 こういう実態に対して厚生労働省が何と言ってきたか。例えば、二〇二二年十一月の社会保障審議会医療保険部会で、厚労省は、国保が抱える構造的な課題として、保険料負担が重い、それを年齢構成が高いことや所得水準が低いこととともに説明をしているわけですね。
 そもそも、保険料負担が重い構造的な課題を持っている国保に被用者保険よりも高い率で支援金が上乗せさせると、これ国保が持っている構造的な問題を更に深刻にさせるんではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○政府参考人(熊木正人君) ちょっと先ほど来の議論と続きになり、かと思いますが、医療保険料に上乗せをして支援金ということではなくて、医療保険料と合わせて支援金を賦課徴収するが、医療保険料、介護保険料、社会保険料について、社会保険の負担軽減を図ってその中で構築するんだということでありますので、そういう意味において社会保障負担率は上がらないようにしていくんだと。
 ここでは保険料負担率ということなので、またちょっと数字は違うことかと思いますけれども、基本的なコンセプトは今申し上げたとおりのことでございます。こういったものが上がっていかないような歳出改革を行っていくんだということであります。
 今御指摘の一〇・三%、市町村国保は所得に対して保険料が一〇・三%で、協会けんぽ七・五%より高いということでございました。ここ、確かに所得が、この表を見ますと、医療費も国民健康保険高いですし、所得も低い方が多いということで、こういう傾向があるかと思います。
 ただ、この資料、令和二年三月末になってございますのでやや古い資料になっておりまして、令和三年三月末ですと一〇・三%というのは一〇・〇、令和四年三月末ですと九・六というふうに少し下がった傾向になってございますので、それは申し添えさせていただきたいと思います。
○井上哲士君 国保が重いというのは変わっていないんですよ。
 例えば、実際、高過ぎて払えない国保料になっていて、滞納率は全国的に一一・四%あるというのが実態でありまして、これにこの支援金が上乗せされるということは、一層矛盾を激しくするということなんですね。
 結局、今でも高過ぎて払えないのに、国保加入者に更に負担を課することになると。被用者保険の負担額が、増が、低いと言っているんじゃないんですね。今の保険料に上乗せるというやり方が、医療保険制度の中にある構造的な問題を更に広げるということが問題だということを申し上げております。
 今もありましたけど、政府は、この支援金制度を導入しても社会保障負担率は上がらないと、新たな負担増にはならないと説明をしてきましたけど、国民負担率というのはよく使われてきましたけど、この社会保障負担率とは一体何なのか、いかがでしょうか。
○政府参考人(竹林悟史君) お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました社会保障負担率ですが、家計や企業などに義務的に御負担をいただいている社会保険料の合計額が国民所得に占める比率でございます、でございます。
○井上哲士君 社会保険料の負担額だと。
 ということになりますと、例えば介護保険の利用料の負担が増えたり、医療費の窓口負担が増えたり、国民にとっては実際に負担が増えても、この社会保障負担率には影響がないということでよろしいですか。
○政府参考人(竹林悟史君) 先生御指摘のとおり、今申し上げましたように、社会保険料の合計額を分子としておりますので、先生今御指摘いただいたような介護保険の利用者負担や医療保険の窓口負担はこの分子に含まれておりません。
 したがって、こうしたものが増加した場合でも、直接的には社会保障負担率には影響を与えないということになると考えております。
○井上哲士君 利用料や窓口負担が増えたら、国民にとっては社会保障負担の増大そのものなんですよ。ところが、社会保障負担率には反映しないってわけですね。これ本当ごまかしだと思うんですよね。
 個々の世帯や国民が実際にどれだけ負担が強いられることになるのか全く見えていないのか、見て見ぬふりをしているのか、こういうことだと思うんですよ。それを、こういう実際の国民負担が増えることを無視をして社会保障負担率は変わらないということを示されて、大臣が言うように、子供を持つことを希望する方が安心して子供を産み育てることができる社会になるのかと。上がる率は変わらないから大丈夫だと若い世代が思うかって、思わないんですよ。自分がどうなるかなんですよ、負担が。それを全く無視した制度だということを申し上げなければなりません。
 そして、更にあるのは、支援金の使途で最大のものが児童手当なんですね。児童手当の拡充は必要なことであります。所得制限の撤廃など今回行われます。これは必要です。しかし、問題は財源なんですね。
 資料の三枚目を見ていただきますと、下に費用負担の表があります。現在、児童手当の財源のうち、左側ですね、国の一般財源が占める割合は、被用者世帯の場合は三歳未満を養育の場合は国の負担は三五・五%、そして非被用者世帯の場合は六六・七%、三歳以降は国の負担が六六・七%というふうになっております。
 本法案が成立すると児童手当に支援金の財源が充てられるようになりますけれども、法が成立以降、児童手当の財源のうち国の一般財源が占める割合はどのように変わるでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
 児童手当につきましては、従来から子ども・子育て拠出金を財源の一つとしてきたことに加えまして、今般、全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援としての位置付けを明確化した上で抜本的に拡充するということから、対象者が広く、切れ目のない支援を行う事業として支援金の充当対象としております。なお、このうちゼロから二歳までの子供については支援金による充当割合を手厚くしております。
 具体的に費用負担の割合が、国の負担割合がどのように変わるのかというふうなお尋ねでございました。ちょっと細かくて恐縮ですが、順に申し上げます。
 三歳未満の被用者につきましては、引き続き現行の子ども・子育て拠出金の役割を維持しまして、これを五分の二とし、残り五分の三に支援金を充当いたします。この結果、国の負担割合は四十五分の十六から負担なし、委員先ほどパーセンテージでおっしゃったのでパーセンテージで申し上げれば、三五・六%から負担がなしになります。
 それから、三歳未満の非被用者につきましては、同様に支援金五分の三を充当しまして、残り十五分の四に国費を、十五分の二に地方財源を充当するということで、国の負担割合は、三分の二、六七%から十五分の四、二六・七%に確かに減少いたします。
 三歳以上につきましては、児童手当に充当する支援金の総額を踏まえまして、支援金を三分の一として、残り九分の四に国費、九分の二を地方財源を充当する。結果として、国の負担割合は、三分の二、六七%から九分の四、四四・五%というふうに減少する、割合としては減少するということは事実でございます。
 今般の抜本的な拡充により児童手当全体の所要額が大きく伸びますので、こういうふうに大きく伸びる中で負担割合の整理を行ったものでありまして、金額で見ますと、支援金制度を導入する拡充前後で公費の負担額は同程度となる見込みでございまして、公費の役割が後退するという指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。
○井上哲士君 いやいや、児童手当拡充すると言ったけど、公費の負担は今同程度だとおっしゃいましたよね。増やさないんですよ。結局、拡充拡充と言うけれども、その大きな部分はこの負担金ということになるわけですよ。結局、多くの国民から新たに徴収する子ども支援金に依拠するものにこの児童手当の拡充もなっているわけですね。
 結局、この加速化プランと言いますけど、その財源は、新たに一般財源を増やすんじゃなくて、大半をこの社会保障関係の公費の削減や支援金による国民の負担増で実施すると、これが実際じゃないんですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
 今回の三・六兆円の加速化プランを支える安定財源につきましては、既定予算の最大限の活用等と徹底した歳出改革による公費節減で二・六兆円を捻出し、残る一兆円につきましては、歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果の範囲内で支援金を構築することとしております。
 これは、新たな政策を掲げ、そのために歳出を増やすには、増税か国債発行ではなく、既存の歳出の改革が重要であるとの考えに基づくものでございます。既存の歳出を削る一方で、その削減した歳出の範囲内で新たな政策の支出に回せば、その意味において国民に新たな負担を求めないことになります。
 その上で、社会保障負担率という指標を設け、支援金の導入によっても社会保障負担率は上がらないということを国民の皆様にお約束をしており、こうした財源確保の基本的な考え方について引き続き説明を尽くしてまいります。
○井上哲士君 どうもかみ合わない答弁されましたけど、もう時間ですから終わりますが、結局、支援金を子育て支援の財源にすることによって国の責任を後退させて、子育て支援充実してほしいんだったらもっと支援金の額増やすぞということを国民に求める、こういう仕組みをつくったということだと思うんですね。
 これは到底認められないということを申し上げて、終わります。

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