○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
私も、こども誰でも通園制度についてお聞きいたします。
保育所等に通っていない子供も含めて全ての子供の育ちを応援するという理念は大切なものだと考えます。
先日の参考人質疑でも、海外では幼稚園と保育所の制度を二つ別々で所管することはほとんどなくなっているという指摘がありました。
実際、例えばスウェーデンでは、保育の実施主体である各自治体は、親の就労、就学の状況にかかわらず子供の成長と学びに対する権利として保育の場を提供しなければならず、親から保育の申請があったら、三、四か月以内に保育を提供する義務を負っております。
ノルウェーでは、保育施設法で、一歳を迎える子供たち全員に保育施設で保育を受ける権利を保障し、どちらかの親が家にいる場合でも保育所に入所可能とされ、市町村が施設の整備や保育施設の運営を支援する義務が課されております。
イギリス、ドイツ、韓国でも、親の就労の有無にかかわらず保育園が利用できるとなっております。
今も議論になりましたけど、本会議で我が党の吉良議員が、保育の必要性の要件を見直して全ての子供たちに質の確保された保育を保障できるようにするべきではないかとただしました。これに対して総理は、一部の自治体では待機児童も残る中、保育の必要性の要件を見直すこと自体は困難と、こう答弁をされました。待機児童をいつまでも放置するつもりなのかと私は思うんですね。
待機児童の解消を進め、その中で全ての子供たちに保育を受ける権利を保障して、親の就労の有無にかかわらず保育園が利用できるようにするということを目指すべきではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
一部の自治体ではまだ待機児童が残っているところでございまして、引き続き、受皿の整備、これを進めていかなければならない中で、保育の必要性の要件を見直すということは現時点で困難だと考えてございます。
一方で、保護者が就労していない家庭を含めて全ての子供の育ちを応援するため、今般、保育の必要性を問わず、全ての家庭が利用できる新たな仕組みとして、こども誰でも通園制度を創設することといたしました。こうした取組を通じまして全ての子育て家庭への支援の強化、こちらを図ってまいりたいと考えております。
○井上哲士君 現時点では困難と今おっしゃいましたけれども、つまり、将来的には全ての子供に質の良い保障を、保育を保障する、権利を保障するという点でこの保育の必要性の要件を見直すと、将来的には。そういうことでよろしいですか。
○国務大臣(加藤鮎子君) もうファクトとして保育の必要性の要件を見直すということを今時点困難だということを申し上げたところでございます。
今後、今後のことについて特段申し上げたつもりではございませんが、まずはこども誰でも通園制度を創設すること、これをしっかりと行っていき、こうした取組を通じて全ての子育て家庭の支援の強化を、これを図ってまいりたいと考えております。
○井上哲士君 いや、現時点では困難だとおっしゃったから、将来目指すべき方向としては、全ての子供にその保育の権利を保障すると、必要性の要件を見直すと、これが将来の方向だということを確認しているんです。
○政府参考人(藤原朋子君) 大変恐縮ですけれども、保育の必要性の要件を例えば撤廃をするということについて、そのような御指摘をいただいている、いただく場面もございます。我々、いろんな団体と話をしておりますと、そういう御意見をいただくこともございます。ただ、将来的にどのような制度にするかということを今予断を持って申し上げることは難しいという観点で、大臣、現時点では難しいとお答えを申し上げたんだと思います。
いずれにしても、そういった保育の必要性の要件を満たさないお子さんであっても、特に三歳未満児のお子さんは、育児休業であったり専業主婦の方であったり、おうちで育児をされている方が相当いらっしゃるので、そういったところに支援を届けたいということで、今般、誰でも通園という制度を提案しているということでございます。
○井上哲士君 試行的事業の実施の在り方に関する検討会の中間取りまとめは、この制度が、保育所等に通っていない子供を含めて全ての子供の育ちを応援する、従来の保育における大きな転換点になると述べておられます。しかし、今の答弁のように、政府に全ての子供たちの保育を受ける権利を保障するという考え方が息づいていないことが、この理念と実際の制度に大きな隔たりを私、生んでいると思うんですね。
児童福祉法の第六条は、保育を養護及び教育と定義しております。確認いたしますが、一時預かり事業、それから現在実施をされている試行事業、試行的事業、それから本格実施される子ども・子育て、こども誰でも通園制度は、制度上、保育を実施されるという規定になっているんでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) 今回の法案における改正後の児童福祉法の第六条の三の二十三項におきましては、こども誰でも通園制度の定義を置いてございます。乳児等通園支援事業というふうな名称で定義を置いてございまして、保育所その他内閣府令で定める施設において、乳児又は幼児であって三歳未満のものに適切な遊びあるいは生活の場を与えるとともに、乳児又は幼児及びその保護者の心身の状況、養育環境を把握するための保護者との面談並びに子育てについての情報提供、助言その他の援助を行う事業というふうに定義をしてございます。
児童福祉法六条の三の七項で委員がおっしゃった保育というものが規定をされているわけですが、これとは別の規定というふうになってございます。
その上で、改正後の子ども・子育て支援法におきましては、保育に対する給付である子どものための教育・保育給付とは別に、乳児等通園支援の利用に対して乳児等のための支援給付という個人給付を創設をするということを規定をしているというものでございます。
○井上哲士君 お手元に、こども家庭庁に、この一時預かり事業、それから今の試行的事業、それからこども誰でも通園制度の本格的事業、比較表を作っていただきましたけど、今の答弁にありますように、要するに保育を実施するんじゃないんですよね。保育を実施するというものではありません。しかし、今、一時預かりでも試行的事業でも、現場の保育士の皆さんが大変な努力をして行っていることは、これ紛れもなくやっぱり保育なんですよ。
私、試行的事業を実施している東海地方のある公立保育園の保育士の皆さんからお話を伺いました。この園では、行政が関与して児童相談所や保育センターと保育園をつないで、保育所を利用していない未就学児や育児不安を抱える世帯や育児疲れを訴える世帯等を対象に紹介を受けて、一時保育事業の受入れ枠を拡大してこの試行事業を行っているんですね。
療育センターから紹介されたA君というのは、偏食がひどくて、もう茶色くて硬いお菓子しか食べない子だったそうですけれども、同じ、必ず同じ保育士が対応して保育士との信頼関係を育む中で、次第に周りの園児たちと関われるようになったと、やがて在園児が食べている給食を食べたがるようになって、何でも食べれるようになったと。こうした子供の変化を母親がとても喜んでくれ、関わった保育士さんもやりがいを感じたとおっしゃっておりました。
それから、ある母親は、育児に悩んで精神的にも病んでいて仕事ができない方だったんですが、保育園の送り迎えのときに保育士さんに子育ての悩みなどを相談する中で徐々に気持ちも前向きになって、今では仕事もできるようになった。お子さんの方は、試行的事業を卒園して通常の保育園に行くようになったと、こういうことなんですね。
試行的事業というのは保育じゃないから、その範囲でやればいいということじゃないんですよね。やっぱり皆さんは本当にいろんな努力をしておられます。保育士さんたちは、同じ子供に同じ保育士が継続的に接することや、保育園での友達との交流が子供の育ちにとって本当に大切だとおっしゃっておりました。こうした保育は、親や子供と保育園の継続した関わりがあって初めて成り立つものだと思うんですね。保育士も子供のケアと同時に親のケアも求められるために、この経験のある主任クラスの保育士を担任から外して対応をされておりました。
このように、現在の試行的事業というのは市町村が実施主体の補助事業ですから、こうした努力の下に丁寧な保育が実際行われております。しかし、本格実施されるこども誰でも通園制度では、現在の教育福祉給付の対象となっていない様々な施設においても、営利団体も含めて実施が可能になるわけですね。全く条件が違うわけですよ。試行的事業で行われていたこういう丁寧な保育が、果たして本格的実施の下で行われる保証があるんでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答えを申し上げます。
こども誰でも通園制度につきましては、令和六年度は試行的事業として実施をし、令和七年度から乳児等通園支援事業として法律上に位置付け、実施自治体数を拡充した後、令和八年度からは、乳児等のための支援給付として、法律に基づく新たな給付として全国の自治体において実施することを考えているところでございます。
こども誰でも通園制度の本格実施の際には、実施主体である市町村による認可の下、受入れ体制が整っている施設において実施することを予定をしてございまして、また、保護者の居住する市町村において、こども誰でも通園制度の利用対象者であることを認定した上で利用する仕組みとしていることから、自治体がしっかりと関与するものになると考えているところでございます。
また、認可を受けた施設につきましても、認可基準に適合しなくなったと認められる場合、市町村長は立入検査や業務改善命令、事業停止命令等ができることとしているところでございます。
こうした認可の仕組みや権限を市町村長が適切に運用することにより、本格実施の際も質の担保が可能であるというふうに考えております。
○井上哲士君 その本格実施では、試行事業と同じように、例えば保育士の配置は半分でいいとなっているわけですね。しかし、市町村が実施している試行事業では、先ほど述べたように、主任クラスの保育士が担任外れて対応するなど、丁寧なことやっているんです。
これ、様々な施設で行われる本格実施になればそういうことができるのかと、もう経験の浅い保育士しかいないような施設もあるだろうと思うんですよ。ですから、こういうことが行える保証、私何もないと思います。
更に聞きますけれども、保育所や認定こども園については、市町村が施設の利用を保障する利用調整が規定されておりますが、こども誰でも通園制度はどうなるんでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度につきましては、市町村による利用調整を経ずに、保護者が事業所の空き状況を確認し、利用申請を直接していただくということを考えております。国としては、全ての子供が円滑に利用できるように一元的なシステムを構築をし、システムを活用することで保護者の方が簡単に予約できるようにしていきたいというふうに考えております。
一方で、保護者の居住する市町村においては、こども誰でも通園制度の利用対象者であることを認定した上で利用する仕組みとする予定でございます。市町村は、認定の申請をしているかどうか、新たに構築するシステムを通じまして、認定を受けた上でどの程度利用しているかといった各家庭の利用状況を把握をすることができるというふうにしていきたいと思っております。
したがいまして、特に支援が必要な家庭で、こども誰でも通園制度を利用した方がいいと思われるのにもかかわらず、そういった御家庭で利用ができていないというふうなケースがある場合には、利用の機会を確保するような、どのような工夫が考えられるかといったことについてもしっかり検討していきたいというふうに考えております。
○井上哲士君 中身でも利用調整でも、行政の関与は後退するんですね。私は、この保育のサービスを購入するという、保育の市場化が際立った制度になっていくと思うんですね。
一方、利用方法については、利用する園、月、曜日や時間を固定せず利用する自由利用方式が選択できるとされております。しかも、居住地以外、全国どこでも空きがあればアプリで予約をすることができると、こういう中身になるんですね。
しかし、子供が初めての土地で事前の面談もなしに保育の施設に行って、新しい環境や人に慣れるための慣らし保育の時間も取れないと、子供にとっても施設にとっても大変な負担の掛かる難しい保育となると思うんですね。
こういう、この居住地以外の都道府県をまたいだ自由利用を認めるだけの具体的なニーズを調査に基づいてどれだけ把握をしているんでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) 都道府県をまたいだ利用というふうなことでございます。
例えば想定をされるのは、一定期間御実家に帰省をしているような場合に、その帰省先でも利用したいということが当然想定をされますので、そういったときに県をまたいで利用するということも可能にしておくということを想定したいと思っております。
なお、昨年度実施をいたしましたモデル事業の中では定期利用だけを対象にしていたんですけれども、一部の自治体からは、定期利用だけにしておくと、定期利用への抵抗感というものもあってなかなか利用につながらないといった指摘もございました。また、実証事業の在り方を検討する検討会でも、不定期に利用するということも重要であるというふうな御指摘もございまして、自治体をまたいで柔軟に利用することを可能とする、そういった仕組みとすることが適当であるというふうに考えております。
○井上哲士君 自由利用一般じゃないんですよ。全国どこでも空いていたら入れるという仕組みに対して、今、想定と言われましたけど、具体的に、例えばアンケートか調査でそういうニーズがあるのを把握しているんですか。
○政府参考人(藤原朋子君) 今年度、昨年度は定期利用を前提としたモデル事業でございました。今年度実証事業では、実施要綱に基づきまして、定期利用、それから不定期による自由利用、そういったもののメリット、デメリットについても検証の対象にしていきたいというふうに考えております。
現時点で網羅的に利用者からそのようなニーズを取っているということではありませんけれども、今年度の実証事業を基にしっかりと検証していきたいというふうに考えております。
○井上哲士君 いや、網羅的も何も、何にもないんでしょう、そういう要望を示すものが。
誰でも保育制度の具体的中身については、様々な懸念もありますよ。その上、なぜ、具体的ニーズもないのに、より懸念があるこの都道府県をまたいだ自由利用をそんな性急に導入するんですか。大臣、いかがですか。大臣、いかがですか。
○国務大臣(加藤鮎子君) これは新しい制度として組み立てていくものでございまして、全国、一定の権利性を帯びるものでございますので、どこでも利用できるような環境を整えていくということが必要になってくるかなと思います。
様々課題はありますし、いろいろな御心配のお声もあろうかと思いますが、その御心配、御懸念をいかに払拭していくかという方向で検討していくことに力を注いでまいりたいと考えております。
○井上哲士君 政府は、一時預かりは保護者の立場からの必要性で預かるものだけれども、誰でも通園制度は子供の育ちを応援するものと答弁をしてきました。だけど、実際は、帰省のときとか旅行のときとか、子供のためのじゃなくて、親の都合じゃないですか。その下で、そんな、こんな私は危惧のあることを進めるのは本当に考え直すべきだと思うんですね。
自由利用そのものについても、先日の参考人質疑でも様々な応答がありました。NPO法人子育てひろば全国連絡協議会の奥山理事長は、NPOとしても一時預かりを行っているけれども、週一日決まった曜日に利用する定期預かりにしており、その方が子供に負担が少ない、子供が保育する場所や保育士に慣れていれば緊急なときにも一時預かりができると述べておられました。それから、日本総研調査部の上席主席研究員の池本参考人も、親の便利さで制度設計されるのは良くないと、施設の質や受入れ側の保育士の負担にも相当配慮が必要だと述べておられました。
大臣、この指摘、どう受け止められましたか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
先日の参考人質疑では、奥山参考人からは、定期的に預かるということは子供に負担が少ないということや、子供への負担や現場への配慮を丁寧にしながら実施体制をつくっていくことが大事といった御意見がありました。また、池本参考人からは、親の便利さで制度設計がされてしまうというのは良くないと思っており、場所の質を上げていくことと、受入れ側の保育者の方の負担にも相当に配慮する必要があるといった御意見がございました。
参考人の方々の御意見は、自由利用方式について受け入れる施設の立場、子供の立場、両方の面から難しさがあることを御指摘いただいたものと認識をしてございます。また、委員の御指摘もその点かと存じます。
自由利用方式につきましては、御指摘のような懸念があることも理解をさせていただく一方で、子供の状況に合わせて柔軟に利用できるということ、また子供に合った施設で多くの保育士や子供と触れ合うことができるといった特徴もございます。また、定期利用につきましては、子供にとって慣れた職員と継続的な関わりを持つことができるほか、事業者にとっても利用の見通しが立てやすいといった特徴がある一方、事業者が合わないと感じたときでも他の事業所を途中利用しづらいといった点もございます。
いずれにしましても、良い点もあれば懸念点もある中で、誰でも通園の制度設計に当たりましては、どちらであっても子供が安心して利用できるよう、慣れるのに時間が掛かる子供への対応として、初回面談を行ったり、また親子通園を可能としているところでございます。
またあわせて、国が一元的に構築するシステム基盤、これを活用しまして、自治体や事業者が、子供の日々の体調や好きな遊び、関わり方の留意点などの記録について円滑に連携、共有ができるようにすることも大事でありまして、そういったことも考えているところでございます。
また、子供が慣れるまでの間は、複数の事業所を利用しながら少しずつ事業所を決めていくなど、子供の状況等によって定期利用と自由利用を組み合わせるなど、柔軟な利用方法も考えられるところでございます。地域によっても様々な状況があります。自治体や事業者において実施方法を選択したり、組み合わせて実施することなどが可能となる仕組みづくりが必要であると考えているところでございます。
子供の安全と保育の質の確保を前提として、また、先ほど委員が御紹介くださった様々な工夫をしている事例ですとか、また利用者さんの本当に大きな期待のお声ですとか、そういったこの現場のお声、関係者の皆様のお声、しっかり受け止めながら、試行的事業の実施状況を踏まえつつ、皆さんと一体となってこの制度をつくり上げてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 慣れるのに時間が掛かる子供と言いますけど、人見知りの時期に、初めての施設で初対面の大人に預けられて、初対面の子供たちの中に入っていく、すぐに慣れることができないのが普通なんですよ。事前に情報を登録とか言われましたけど、実際に子供に会って親と話をしなければ分からないこと、一定期間保育して分かることはたくさんあるんです。それが十分に把握できない時期に事故がたくさん起きているというのが実態なわけですよね。
そもそも厚労省の保育所保育指針には、乳幼児期の子供の発達の特徴として、特定の大人との応答的な関わりを通じて情緒的なきずなが形成される、保育士等は子供の生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに、愛情豊かに応答的に関わることが必要と、こう述べているんですよ、指針に。毎回異なる施設で、一時的な利用も可能な自由利用で、指針の言うような特定の大人との応答的関わりとか情緒的なきずなをどうやって育めというんですかね。私は、保育所のこの保育指針にも反して、子供たちに深刻なストレスを与えかねないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) 御指摘の保育所保育指針につきましては、保育所等に求められる保育の内容、これを示したものでございますが、先ほど局長から答弁があったとおり、こども誰でも通園制度は、児童福祉法第六条の三第七項第一項に言う保育とは異なり、子供に適切な遊びや生活の場を与えるとともに、保護者との面談や子育てについての情報提供等を行う事業として新たに位置付けたものでございます。
こども誰でも通園制度の創設により、全ての子供が保育所等に通園できるようになるため、保育そのものではありませんが、子供にとっては家庭とは異なる経験ですとか、家族以外の人と関わる機会が得られ、自由利用方式の場合も含め、子供の育ちにとって大きな意義があると考えているところでございます。
御懸念の点はもちろんございますとともに、しっかりそれは受け止めてまいりますが、年齢ごとに関わり方の違いもございます。子供の安全の確保が大前提であるという思いは委員と同じですので、保育所保育指針はこども誰でも通園制度にそのまま当てはまるものではないものの、大変もちろん参考にすべき点でもございます。
本格実施に当たりましては、保育所保育指針等の記載もしっかり参考にしながら、年齢ごとの関わり方の留意点や利用方法の組み合わせ方を含めて、指針となるよう、通園制度を実施する上で指針になるようなものを作成してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 この厚労省の保育所保育指針は、乳幼児期の子供の発達の特徴として、先ほど挙げたようなことを言っているんですよ。こども誰でも通園制度は保育じゃないからまるでいいかのような、私ちょっと驚きました、今の答弁は。そんなことでいいんですかということが問われているんですよ。
全ての子供に質の良い保育を受ける権利を保障するということを土台にすることが必要なんですが、先ほど紹介した公立保育園では、試行事業を実施するために行政が二人の人員増やしたけれども、いずれも会計年度任用職員だったので、現場の保育士の皆さんは正規職員を配置したいと言っております。
総理、本会議で、総理は本会議で、自由利用方式は、通常保育と比べて、一定程度困難や負担があると認められました。そうだとすれば、こども誰でも通園制度は、保育士の配置が半分でいいとされている一時預かりよりも、保育士の配置基準を後退させることはあってはならないと思いますけれども、どうでしょうか。そして、全員を保育士にするということも検討するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答えを申し上げます。
一時預かりは、保護者との事前面談を必須にはしておらず、また、事業所が事前に子供の情報を把握することなく随時保護者が直接申し込むことで利用ができる仕組みとなっております。
一方で、こども誰でも通園制度では、子供の安全の確保を大前提として、利用が初めての場合には事前面談をしたり、親子通園を取り入れながら親子の様子を見たりすることができるようにいたします。また、国が一元的に構築するシステム基盤、これを活用いたしまして、事業者が例えばアレルギーなどの情報のほか、子供の日々の体調や好きな遊び、関わり方の留意点などの記録について共有することができるようにしてまいります。一時預かり事業よりも、子供の情報をあらかじめ把握しながら実施できる制度となっていると考えられます。
こうしたことを前提としつつ、こども誰でも通園制度の人員配置基準につきましては、保育の必要性の確認を受けていない方が時間単位で利用するといった利用の仕方の観点で一時預かり事業と類似するものであるため、今年度の試行的事業において一時預かり事業とまずは同様の基準で行うこととしているところでございます。
その上で、制度の本格実施に向けましては、その人員配置基準について、試行的事業の実施状況などを踏まえながら、保育士以外の人材の活用も含めつつ、安全、保育の質の確保、これにも十分配慮しながら更なる検討を行ってまいります。
また、全員保育士を配置するということについての御指摘、検討すべきという御指摘についてですが、こども誰でも通園制度の基準を検討するに当たりましては、こども誰でも通園制度が保育の必要性がある子供を対象にする保育所等とは異なるものであること、また、一時預かりでは二分の一以上を保育士とするという基準としていることなどを踏まえながら検討する必要があると考えてございます。
事前面談や親子通園の活用、また、システムを通じた子供の状況の把握など行いながら、子供の安全の確保を図りつつ、制度の本格実施に向けましては、その人員配置基準について、試行的事業の実施状況を踏まえながら、更なる検討を行ってまいります。
○井上哲士君 全ての子供に質の良い保育を受ける権利を保障するということを土台にするべきだということを再度申し上げまして、質問を終わります。
内閣委員会(子ども子育て支援法改定案)
2024年5月30日(木)