○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
先ほども議論になりましたけれども、本法案は、認定外保育施設指導監督基準を満たさない認可外施設を無償化の対象とする経過措置について、附則第四条で今年九月末までとされていたものを二〇三〇年三月末まで延長するとしております。
そもそも、現行の経過措置期間中に指導監督基準を満たすように指導監督を徹底するということだったんですね。にもかかわらず、それができていない施設に更に経過措置を延長することが本当にいいことなんだろうかと思うんですね。
現行の経過措置期間が終了する九月末までに基準を満たさないという施設は、もう確認の取消しを行うべきではないでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
基準を満たさない認可外保育施設を無償化の対象としてみなす五年間の経過措置は、本年九月末で期限を迎えます。
このため、基準を満たさない施設については、令和六年十月以降、無償化の対象から外れることを前提として、昨年九月に、全ての自治体に対しまして、基準を満たすための指導監督を促進をするとともに、基準を満たす見込みがない施設については、利用する児童の転園の希望に応えるための検討を行っていただくことを依頼をしているところであります。
この自治体の取組については国においても定期的にフォローアップ調査を実施しておりまして、期限到来までに基準を満たす見込みがある施設については基準適合の進捗状況を、満たす見込みのない施設についてはその利用者に対する転園意向の有無の確認や認可保育所への入所案内の状況を確認しているところでございまして、期限到来までに確認を徹底していきたいと考えております。
このように、丁寧に自治体の対応状況を確認しているところでございますけれども、設備基準や有資格者数の基準などが満たせておらず、基準を満たすためには相当な期間を要する施設であって、かつ利用児童が認可保育所等へ転園することが困難なケースについては、自治体から対応が困難な事例として報告がございましたことから、このような施設に限って、都道府県知事が個別に施設を指定することで無償化の対象とみなす新しい経過措置を今般、法改正案に盛り込んでいるところでございます。
○井上哲士君 先ほど、いろんな指導監督の結果、基準適合率は約七五%になったという答弁もあったんですね。ただ、私は、五年たってもいまだに四分の一の施設が基準を満たさないまま残っているということこそが子供の立場から見て問題だと思うんですね。
どういう指導監督が行われてきたのか。いただいた昨年度の資料では、それまでの年度全部含めて立入調査は九五・八%となっております。ただ、二〇二一年度を取ってみますと、認可外保育施設の現況取りまとめによりますと、立入調査の実施率は四八・一%にすぎません。その中で、指導監督基準に適合していない三千二百十二か所の施設に対する最終的な指導状況は、改善勧告、公表、事業停止命令、それぞれ一か所なんですね。残りはもう口頭指導と文書指導にとどまっているわけです。
私は、やっぱりこのように認可外保育施設に対する行政の指導監督が十分に行われるとは言えない現状にあると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
認可外保育施設の、無償化の観点のみならず安全の確保の観点から立入調査を実施をすること、非常に重要でございます。おっしゃるとおり、令和三年度四八・一%、ベビーシッターを除きますと六一・九%でございますけれども、この数字については、コロナの感染拡大の防止の観点から一部自治体で立入調査に代えて書面審査等を行ったという影響もあったかと思っております。
しかしながら、今般この無償化の期限を迎えるに当たりまして、しっかりと確認をすること、そして基準を満たしていないところについては基準を満たすように期限の到来前にしっかりと促進、監督促進をしていただくこと、これが非常に重要だと考えております。昨年の九月にはその旨都道府県に対して改めて指導監督の促進をお願いをするとともに、昨年十月末時点、今年の一月末時点でフォローアップの調査をしっかり行っているところでございます。またさらに、今年の五月末時点でも調査をフォローアップをしていきたいというふうに考えております。
こういった取組を徹底をしまして、都道府県における指導監督を促進していきたいと考えております。
○井上哲士君 指導監督をする、対象をね、きちっとやると、数を増やすこと、大事だと思うんですよ。同時にやっぱり中身なんですね。
先ほど言ったような現状の下で何が起きてきたか。二〇二二年の七月の末に沖縄県那覇市と茨城県の土浦市で指導監督基準を満たさない認可外保育施設で乳児の死亡事故が発生をいたしました。いずれも無償化対象の施設で、経過期間中だったわけですね。事故に対する検証委員会の報告書では、どちらのケースも市の立入調査や指導文書を発出して改善を求めていたが、改善が図られないまま事故に至ったとしているわけですね。
なぜ、市が繰り返しの指導を行ったとしているにもかかわらず、改善が図られなかったと考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) 御指摘いただきました二つの死亡事案、我々も重く受け止めております。
沖縄県の那覇市と茨城県の土浦市の事例でございますけれども、いずれも自治体に立入調査の結果、いずれの自治体も立入調査の結果、文書等により改善指導がなされていた施設についての事故が起きていたと、起きたというふうな案件だというふうに承知をしてございます。このように改善指導が繰り返し行われていたにもかかわらず尊いお子さんの命が失われてしまったということは、非常に遺憾に思っております。
本来、児童福祉法上は、都道府県等は、認可外保育施設に対する改善勧告ですとか事業停止命令、施設の閉鎖命令等の具体的な監督権限を有しているわけでございます。改善指導を繰り返し行っているにもかかわらず改善の見通しがない場合には改善勧告を行うことができる、そしてまた勧告を受けた施設の設置者が勧告に従わず改善が行われていない場合、その旨を公表することができるようになっているわけでございます。さらに、勧告にもかかわらず改善が行われず、かつ改善の見通しがなく児童福祉に著しく有害であると認められるときには、事業停止又は閉鎖命令を命ずることができるとされております。
このような事故が繰り返されることのないように、都道府県等が指導監督権限を迅速かつ適切に発動できるように、施設が問題を有すると認められる場合の指導監督や事業停止命令の行政処分の手続についてしっかり周知をしていく必要があると考えておりまして、周知を徹底してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 それぞれの死亡事故について、検証報告書では行政の指導監督が形式的で不十分だったと指摘をしているんですね。
今様々、市町村の権限に、監督権限についての答弁ありましたけれども、この経過期間中というのはそういういろんな市町村の権限が制限をされているんですよね。基準遵守義務、市町村の勧告、基準を満たさないことによる市町村の確認の取消し、この適用が経過期間中は除外をされているんじゃないですか。こういうことが市町村が踏み込んだ指導を行う上での障害になっているということではないですか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
まず、児童福祉法上、認可外保育施設に対する指導監督権限は都道府県等が担っておりまして、国が定めた認可外保育施設指導監督基準に基づいて都道府県等が施設に対して立入調査を行う仕組みがございます。この指導監督は、当該施設が無償化の対象か、あるかどうかということには関係なく行われるものとなっております。
一方、御指摘いただいたのは、無償化の対象施設となるために子ども・子育て支援法に基づく市区町村による確認を受けるという必要があるわけですが、この現行の経過措置におきましては、基準を満たさない施設について、確認の取消しの規定について適用除外となっている、そこのところをおっしゃったんだと思います。
一方で、別の規定もございまして、児童福祉法上の指導監督権限を持っている都道府県知事が認可外保育施設について適正な運営をすることができなくなったと認めたという場合には、確認の取消しの規定は適用除外とされていないところでございます。したがいまして、指導監督権限を持つ都道府県等の判断を踏まえて、市区町村長は確認の取消し等について判断することが可能となっております。
具体的なケースにおいて、この二つの自治体のケースについて、検証報告において指導が、文書の指導に終始をしていたとか、行政処分的な強力な権限の発動までに時間が掛かったなどの御指摘をいただいているというふうに我々も承知をしておりますので、先ほど申し上げましたような児童福祉法に基づく改善勧告、事業停止命令、閉鎖命令等のこの権限について適切に行使いただけるようにしっかりと周知をしていきたいというふうに考えております。
○井上哲士君 事実として、十分な指導が行われなくて尊い二人のお子さんの命が亡くなったと、こういうことが起きているわけです。ですから、やっぱり必要な十分なことが行われていなかったことを私は言わざるを得ないと思うわけで、改めてこういうことをしっかり検証して、そういうことが、五年たっても指導基準を満たさないようなことが改善できなかった施設への経過措置の延長というのはやはり見直しが必要だということを申し上げたいと思うんです。
そこで、大臣にお聞きしますが、こども誰でも通園制度は、教育・保育給付の対象となっていない施設も対象になりますので、この認可外保育施設でも実施可能とされております。
今問題にしたこの認可外保育施設指導監督基準を満たしていない認可外の施設でも、同一事業者が同じ施設の中でこども誰でも通園制度を実施するための設備や運営について、これは基準を満たせば実施をできるということになるんでしょうか。
そもそも、最低限の基準も実施してこなかったような事業者が、同じ施設の中でその部分だけ基準を上回ればこども誰でも通園制度をできるということを私は認めるべきでないと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度の実施に当たりましては、子供の安全が確保されることが大前提でございます。その上で、保育の質の確保の観点から、実施主体である市町村による認可の下、受入れ体制が整っている施設において実施することを予定してございます。その際、仮に認可外保育施設においてもこども誰でも通園制度の基準を満たすような場合には実施が可能ではあるものの、指導監督等を行ってもなお認可外保育施設指導監督基準を満たさないような認可外保育施設は子供の安全の確保の観点から適切でないと考えており、御指摘のような施設については対象外とすることを念頭に置きながら検討していきたいと考えております。
いずれにしましても、制度の本格実施の際の認可基準につきましては、試行的事業の実施状況などを踏まえながら、子供にとって安全、安心な制度となるよう検討を深めてまいります。
○井上哲士君 こういうところは認められないという方向が、答弁がございました。本当に子供を第一に考えていただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
次に、保育士の配置基準と処遇改善について聞きます。
加速化プランでは、今年度から、四、五歳児の保育士配置基準をこれまでの三十対一から二十五対一に改善を図ってそれに対応する加算措置を設けるとする一方、経過措置が設けられまして、当分の間は従前の基準で運営することを認めるとしております。
これを受けて、実際どれくらいの施設で配置基準の改善が実施をされているのか。こども家庭庁は当初、配置基準を改善すると現場が混乱するので加算で対応したいということを言っていたわけでありますけれども、実際、基準改定によってどのような混乱が起きていると把握をされているでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
今般の四、五歳児の保育士の配置改善の状況につきましては今後調査をすることを予定しておりますけれども、配置改善、本年四月から施行されたばかりでございますことも鑑みまして、具体的な調査時点や調査内容、取りまとめ時期について現在鋭意検討中でございます。
なお、今般は最低基準を見直した上で経過措置を設けたことによりまして、保育士が確保できなかった園において子供の受入れを減らすなどの混乱は生じていないと考えておりますけれども、配置基準の改善に取り組む施設が増えるように、職員配置の改善の状況を把握をし、保育士等の確保の取組についても併せて進めていきたいと考えております。
○井上哲士君 混乱でなく改善が進んでいると思うんですね。
お手元に、この配置基準の改善に取り組んできた、子どもたちにもう一人保育士を!全国保護者実行委員会と同全国実行委員会の皆さんが、この四月から五月にかけて全国の地方自治体にアンケート調査を行って、配置基準の改善状況について調査をしておられるんですね。政府はこれからということでありますけれども、こうやって、やっておられます。五月末までに全国の二四%の地方自治体から回答が寄せられております。
お手元に資料を配っておりますけれども、この設問二の回答の解説を見ていただきたいんですが、これによりますと、公立保育所では、今年の四月一日以前からこの二十五対一を四、五歳児で実施していた施設が二〇・五%、今回の改正を受けて新しい基準を実施した施設が三五・八%、今後実施予定が一三・五%となっております。
つまり、これ、四月一日以降、新たに約五割の施設が実施ないし実施の予定で、合わせて約七割の公立施設でこの二十五対一の新基準で保育が実施されることになります。
さらに注目します。その下の設問三なんですけど、これ三歳児では、二〇一五年からもう十五対一への改善が加算により実施をされておりました。公立施設には地方財政措置が行われてきました。しかし、二三年度まで八年間で改善したのは九百二十八施設で、全体の三一・七%となっていたと。ところが、今回この基準改正いたしますと、今年四月で七百二十四施設、来年四月に三百七十五施設、二〇三〇年までに三十三施設、合わせて千百三十七施設、全体の三八・七%が一気に実施ないし実施予定で、これによって公立施設の約七割で、三歳児ですので十五対一が実現をするわけですよね。
私立施設について見ますと、設問五、六のところを見ていただきますと、四、五歳児のこの加算が三種類ありますけれども、いずれも取得している施設が八七・三%ということで、二十五対一にしてきているということになっています。
当初、こども家庭庁は、配置基準を変えずに加算で対応すると言っていましたけれども、関係団体からの強い要望もあって、配置基準の改善と、改定そのものに踏み込みました。この調査結果を見れば、やっぱり加算にとどめずにこの基準自身を改定したという効果が非常に大きかったということを示していると思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
御指摘の調査結果につきましては、昨日公表された資料だというふうに承知をしております。私も拝見をさせていただきました。
こども家庭庁におきましても、三歳児及び四、五歳児の職員配置基準の改正に伴う現場の実施状況につきまして、公立保育所、私立保育所共に調査を行う予定でございます。具体的な調査時点や公表時期については現在検討をしているところでございますが、いずれにしましても、基準改正の効果につきましては調査結果を踏まえつつ見極めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 今三歳児のことを挙げましたけど、やはりこの基準そのものを改定したことが、加算ではなくてですね、底上げに大きな力になっているということだと思うんですね。
私、昨年十一月もこの問題取り上げて、まず配置基準を変える年度を決めて、そこに向けて経過措置をもってこの処遇改善を進めながら職員を確保していくことが必要だと申し上げました。
その後、改定そのものに踏み込んだことで関係者は喜んでおりますけど、四、五歳児ではやっぱり経過措置があって、それがもう具体的に決まっていないんですね、上限とか限度がですね。むしろやっぱり、いつまでにやると、経過措置はいつまでだということを決めて、そこに向けて職員を確保していくというやり方でこの最低基準の一層の改善を進めるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答えを申し上げます。
最低基準の改正につきましては、こども家庭審議会において、保育所等の関係団体から経過措置を設けた上で最低基準を見直すべきという御意見をいただき、また、子育て当事者からもより手厚い体制での保育を望むお声をいただきました。また、国会においても、様々、先生の御指摘を始めいろんな御指摘をいただいてきたところでございます。
このため、年末にこども未来戦略を決めるに当たりましては、審議会での意見を踏まえ、今年度より、四、五歳児の保育士の配置基準につきまして三十対一から二十五対一へ七十六年ぶりに改善を図るとともに、配置改善を推進するため、当分の間は従前の基準によることも妨げないとの経過措置を設けつつ、最低基準を改正することとしたものでございます。
経過措置に具体的な年限を付すことにつきましては、どの程度の施設が四歳以上児配置改善加算等を取得するのか調査を行った上で、現場に混乱が生じないよう配慮しながら検討をしていくことになると考えてございます。
○井上哲士君 そうやってずるずるずるずる延びていくんですよ。やっぱり三歳児のこの例を見ても、やはりきちっともう期限を決めて、そこに向けて支援もしていくということが本当に必要だと思うんですね。
そして、混乱、混乱とおっしゃいますけど、基準の抜本改善には確かに保育士の確保が必要です。そのために必要なのはやっぱり処遇の改善だと思うんですね。
こども家庭庁は、当初、この加算で対応する理由として、配置基準そのものを変えたら、特に地方で基準を満たす保育士の確保が困難な施設が出てくるということを言われておりました。しかし、このアンケートを見ますと、公立の施設でいえば、地方よりもむしろ都市部で不足しているというのが課題として出てきております。この処遇の低さから保育士が定着しないということもアンケートで寄せられております。
やっぱり思い切った処遇の改善をしなければ保育士の確保もできないし、この新しい基準を実施をすることも困難になると思います。しかも、そのままでいきますと、七割が実施するということは三割は取り残されるわけですから、これ本当に喫緊の課題だと思うんですね。
この間、この間の答弁で処遇改善で約二三%賃上げになっていると言われていますが、肝腎なことは、現場で保育士の皆さんにどれだけ賃上げに結び付いているかということなんですね。この間の処遇改善加算とか人事院勧告の公定価格上の人件費の上乗せが現場の保育士の皆さんの賃上げにどれだけ結び付いているか、把握されているでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。
保育士の処遇改善につきましては、平成二十五年度以降継続的に取組を行ってきておりまして、具体的には、直近においては令和五年人事院勧告を踏まえた対応として五%を上回る公定価格の人件費の改定を行い、累計二三%の給与改善を進めているところでございます。また、平成二十九年度からは、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を行っております。
これによりまして、保育士の平均月額賃金は、賃金構造基本統計調査で見ますと、平成二十四年から五・八万円上昇しております。これは先ほど申し上げました令和五年の人事院勧告分の改善について含んでいない数字ですので、これ以上の、これを上回る改善が図られているものと想定をしてございます。
また、処遇改善加算のⅢでございますけれども、その前段階といたしまして、令和四年の二月から収入を月額九千円引き上げるための予算補助を実施しておりましたけれども、その取組の効果を見るための調査も実施をしております。まだちょっと速報値ベースで恐縮なのですけれども、具体的には職員の賃金改善額の平均は月額で八千九百九十八円というふうになっておりまして、現場にもこの加算の効果は行き渡っているというふうに見ることができます。
引き続き、こども未来戦略を踏まえまして、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇の改善の対応を行ってまいります。
○井上哲士君 現場の声とかなり格差があるなと思って聞いたんですけど、首都圏のある社会福祉法人が運営する九十名定員の私立保育園の園長さんにお話を伺いました。
そもそも、ここは、保育園、配置基準を上回る保育士を配置しているんですけど、初任給を引き上げないと若い保育士が来てくれないので、その分ベテラン保育士の給与を頭打ちにせざるを得ないと、こういうことを言われておりましたし、公定価格の地域区分があるので、東京に隣接しているために東京の方に若い保育士が行ってしまうと、こういう御苦労も言われておりました。
さらに、調理員は、基準では二人だけども、年齢ごとにふさわしい給食作ろうと思ったらとっても無理なので、パートを含めて五人配置していると。国の加算はとっても複雑なので事務作業が大変で、そのためにパートの事務職員を一人ができないのでもう一人配置していると、こういうことも言われておられました。
取れる加算は可能な限り取っているけど、それでも賃上げのためのお金をどう捻出すればいいのか頭が痛いと、こういう御苦労を言われておりましたけども、頑張ってくれている職員に本当に申し訳ないと、苦労されながら園長さん言われていました。
大臣、こういう現場の実態、御存じでしょうか。どういうふうに認識をされているでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答えを申し上げます。
保育士の処遇改善につきましては、令和二十五年度以降、累次の処遇改善に取り組んできてございまして、直近では五%を上回る公定価格の人件費の改定を行い、累計二三%の給与改善を進めているところでございます。また、これとは別に、技能、経験に応じた月額最大四万円の給与改善を平成二十九年度から行っております。
委員御指摘の現場の様々なお声というのは私も聞いてございますし、課題だというふうに思ってございます。累次の改善を進めてきたものの、今後に向けてもこども未来戦略に基づき処遇改善を進めていくことは重要だと考えておりまして、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善、この対応を行ってまいります。
○井上哲士君 やっぱり、現場の困難の要因の一つに、公定価格そのものもありますけど、最低基準に基づく職員配置の算定基準の、算定方法の問題があるんですね、昨年の十一月にも取り上げましたけども。
資料の三枚目見ていただきたいんですけど、四、五歳児で二十五対一というふうになっておりますけど、実際には、もう乳幼児期は年齢差、月齢差も大きいので、子供発達段階に合わせて、四歳児、五歳児それぞれ、普通、クラスつくっているんですね。ですから、本当は四歳児にも五歳児にも一クラス一人ずつ欲しいと。
この表はちょっとまだ三十人のときの基準の表でありますけども、例えば四歳児、五歳児、十九人、十九人でありますと、合わせて三十八人、これでも、四捨五入になりますから、小数点以下、結局一人しか配置をされないんですよね。しかし、実際はクラス分けしておりますから二人要るんです。これを結局分けますから、なかなか実態の賃金が上がらないと、こういうことになっていくわけです。職員配置の算定の際に、この小数点以下を四捨五入でやっていることも含めて改善をしてほしいと、こういう要望が出されているわけですね。こうやって四、五歳児をそれぞれのクラスとして分けるならば、そのことによって新しい配置もできるということが示されているわけです。
やっぱり、四月から改善されましても、こういう問題は残っています。是非、ここをやっぱり手を入れなければ、結局、配置基準を上回る保育士を各園がいろんな苦労してやらなくてはいけないということになるわけです。ですから、基準そのものと同時に、こういう算定方式、これも変えるということもどうしても必要だと思うんですけども、この点、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤鮎子君) お答え申し上げます。
議員の御指摘は、今後は、四歳児、五歳児の基準をそれぞれ定めるべきではないかといった御指摘だというふうに考えております。
配置基準に関しましては、本年二月の子ども・子育て支援等分科会、こちらにおきまして、真に必要な配置基準はどうあるべきか科学的検証をしていただきたいですとか、子ども・子育てを取り巻く状況が変わっている中で、今般の配置改善で十分なのか、エビデンスに基づいて確認をいただきたいといった、こういった御指摘をいただいており、科学的検証の手法やエビデンスに関する知見について情報の整理が必要となると考えているところでございます。
また、委員御指摘の四歳児、五歳児で違いがあるのかといった点も含め、現時点では必ずしも科学的に基づいた知見が十分あるわけではございませんので、まずは科学的検証の手法について整理を行う必要があると考えてございます。
その際には、保育士の業務負担について、例えば、一人の子供と関わりつつ集団全体の様子に目を配るといった保育士の業務の複雑さや専門性をどのように測るか、また定量的に把握しづらい心理的な負担感をどのように確認をするかといった点を検討する必要があるほか、保育士の業務負担だけでなく、保育士等の配置改善による子供の生活や成長への影響、これについても併せて考える必要があり、そうした観点から検討を進めてまいります。
○井上哲士君 実際には多くの保育園で、四歳児、五歳児、別のクラスになっているんです。科学的検証と言われましたけど、事実見てほしいんですよ。そして、必要だからこういう、二十五対一と決めているわけじゃないですか。小学校だったら、三十五人学級決めたら、三十六人になったら二クラスに分けるんですよ。当たり前じゃないですか。何で保育所はそれできないんですか。
配置基準の問題じゃなくて、算定方式を、もちろん配置基準も変えなきゃいけないけど、算定方式を是非考えてほしいということを申し上げました。是非検討していただきたいことを強く求めまして、質問を終わります。
内閣委員会(子ども子育て支援法改定案)
2024年6月 4日(火)