○井上哲士君 私は、日本共産党を代表し、子ども・子育て支援法改正案に反対の討論を行います。
本法案は、こども未来戦略に基づき加速化プランに盛り込まれた施策を実施するため、給付面と財政面の改革を一体的に行うためのものであるとしています。
児童手当の拡充や出産等の経済的負担の軽減、保育士の配置基準の改善、共働き、共育ての推進など、加速化プランに盛り込まれた個々の施策にはその実現が待たれていたものも多数あります。
しかし、問題は、必要とされる三・六兆円の財源を既定予算の活用、徹底した歳出改革、そして医療保険制度に上乗せ徴収する支援金制度で賄おうとしていることです。
政府は、歳出改革によって社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築するため、支援金制度を導入しても社会保障負担率は上がらず、国民に新たな負担を求めるものではないと繰り返し説明してきました。
政府の言う歳出改革とは、医療や介護の給付削減にほかなりません。しかも、医療費の窓口負担や介護保険の利用料が幾ら増えても社会保障負担率は上がらないことは、政府も認めています。しかし、それらの利用者負担の増加は、国民から見れば紛れもなく新たな負担増であり、政府の説明は完全に破綻しています。
重大なことは、国民に負担を強いる一方で、子育て施策に係る国の一般財源からの負担を後退させることです。支援金の使途で最大の児童手当の拡充は、例えば三歳未満の子供を持つ被用者の場合、支援金の導入によって国の負担は三五・六%からゼロになります。子育て予算の拡充というのなら、公費そのものを増やすべきです。子育て支援に必要な予算は、大企業や富裕層に応分の負担を求めるなど、税制の見直しや巨額の軍事費の削減にこそ求めるべきです。
こども誰でも通園制度も問題です。
同制度は、法律上は乳児又は幼児への遊び及び生活の場の提供であって、保育には位置付けられていません。しかも、利用する園、月、曜日や時間を固定せず、居住地以外の都道府県をまたいだ利用も可能とする自由利用も認められています。
人見知りの時期に、初めての施設、初対面の大人に預けられて、初対面の子供たちの中に入っていくことが、子供にどれだけのストレスを与えることとなるかは、想像に難くありません。しかも、自由利用は、通常保育よりも難しさがあることを認めながら、保育士以外の人材も活用すると言います。
このような制度は、親の都合を子供より優先したものと言わざるを得ません。必要なことは、更に保育士の処遇を改善しながら、配置基準を抜本的に拡充し、全ての子供たちに質の高い保育を保障すべきであることであります。
そのことを述べ、反対討論とします。
内閣委員会(子ども子育て支援法改定案に対する反対討論)
2024年6月 4日(火)