国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2024年・213通常国会 の中の 政治改革特別委員会(政治資金規正法改定案等ー日本共産党「政治資金規正法改正案(企業・団体献金全面禁止法案)」「政党助成法廃止法案」の提出者として答弁)

政治改革特別委員会(政治資金規正法改定案等ー日本共産党「政治資金規正法改正案(企業・団体献金全面禁止法案)」「政党助成法廃止法案」の提出者として答弁)

※日本共産党の「政治資金規正法改正案(企業・団体献金全面禁止法案)」「政党助成法廃止法案」の提出者として、山下芳生議員(共産)、木村英子議員(れいわ)の質問への答弁に立ちました。

<山下芳生議員の質問>

○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。
 自民党派閥による政治資金パーティーを利用した裏金事件の真相を徹底解明し、再発防止のために政治資金規正法等の抜本改革を実現することは、今国会に課せられた重要な責務であります。
 自民党提出法案の発議者である鈴木馨祐衆議院議員は、法案の趣旨説明で裏金事件について、誠に遺憾であり、深くおわび申し上げる、真摯な反省の下、実効的な再発防止策を策定すると述べました。
 実効的な再発防止策を策定するためには、裏金事件の真相を徹底解明することは当然であります。
 そこで、鈴木発議者に聞きます。裏金システムはいつ誰が何のためにつくり、何に使われたのか、真相を把握されていますか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 今回のこの収支報告書への不記載、この我が党の一部の派閥あるいは所属議員で行われていたこの不記載については、我が党としても、党役員を中心に外部の弁護士を交えて関係議員あるいは選挙区支部長からヒアリングを行い、事実関係の把握、解明に努め、弁護士による報告書も公表してございます。
 私自身として言うと、この今回不記載事案があったその派閥の所属ではないということもあり、この報告書以上のことについては把握をしておりません。
 このことについては、そういった意味では、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○山下芳生君 今お話があった自民党の調査では、裏金システムはいつ誰が何のためにつくり、何に使われたのかは聞いてもいないんですね。ですから、その点は真相は明らかになっておりません。
 なので、例えば、萩生田光一前自民党政調会長は、二千七百二十八万円もの裏金を現金で保管していた、担当者が自分の机の鍵付きの引き出しで保管していたなどと国民の常識から懸け離れた説明をしていましたが、それは虚偽だった。しかし、萩生田氏からはいまだに説明がない。萩生田さんの件、真偽御存じですか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 繰り返しになりますが、私どもとしては、この報告書に記載がある以上のことについては、知り得る立場にございませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
○山下芳生君 今言って、明らかになった、さっきからおっしゃっていますけどね、こういうことさえ明らかになってない、知らないで、再発防止策などとよく言えたものだと思います。
 更に聞きます。
 裏金事件では、参議院独自の問題として、自民党参議院議員の改選年にパーティー券販売額の全額がキックバックされるシステムがありました。長年参議院自民党で幹事長をしていた世耕弘成参議院議員は、二〇一九年の改選時に六百四万円ものキックバックを受けながら、参議院の政治倫理審査会では、知らなかった、誰が始めたか分からないととぼけました。国民は誰も納得しておりません。
 鈴木馨祐発議者は、参議院議員の全額キックバックシステムがいつ誰によってつくられ、キックバックが選挙資金として使われたのではないかとの疑念について真相を把握されていますか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 今の御指摘についても、今回、先ほど来申し上げておりますように、所属の議員、支部長に対してのヒアリングを行い、まとめられたこの報告書、そこの公表以上のことについては、私としては承知をしておりませんし、同時にこの知り得る立場にはありませんので、お答えについては、申し訳ありませんが、差し控えさせていただきたいと思います。
○山下芳生君 参議院の全額キックバック方式について何にも把握されないでよく参議院に来れたものだと思います。
 私は、そもそも自民党には裏金事件の真相を解明する気がさらさらないと思います。
 衆議院の政治倫理審査会は、裏金議員四十四名に対し審査の申立てを議決しましたが、弁明した者は一人もありません。また、参議院の政治倫理審査会は、裏金議員二十九名に対し出席及び説明を求めることを議決しましたが、出席した者は一人もおりません。
 鈴木馨祐発議者は、四月三日、自民党総裁である岸田首相から政治資金規正法改正案の取りまとめに向けて作業を加速させるよう指示を受けましたが、その際、岸田首相から、裏金事件の真相解明と再発防止をしっかりやりなさいという指示はありましたか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 我々党内においては、政治刷新本部という組織の中でのこの政治資金に関する法制度、法整備のワーキンググループということで私は役職を果たしております。そういった中においては、岸田総裁からは、再発防止に向けた実効性のある取組をしっかりとするようにということの御指示をいただいたところであります。
○山下芳生君 法案の取りまとめに当たって、裏金事件の真相解明をやりなさいという指示はなかったということであります。
 日本共産党提出法案の発議者である井上哲士参議院議員に聞きます。裏金事件の真相解明と再発防止についてどのような御認識ですか。
○井上哲士君 裏金問題の真相解明が実効ある再発防止策に必要だというのは、まさに御指摘のとおりだと思います。
 この自民党の裏金事件の原資は、三十年前の政治改革の際に政治資金パーティー購入という抜け穴がつくられて、これを使った企業・団体献金であります。この抜け穴を使って、裏金が、いつ誰によりシステムがつくられて、何のために使われていたのか。そして、参議院では、参議院選挙の年の全額キックバックについての御指摘の疑惑を徹底解明してこそ、二度と抜け穴をつくらない再発防止策ができると考えます。
 さらに、衆議院の政治改革特別委員会での各会派の意見表明で、自民党の代表者は、裏金問題について、現行法の遵守さえできなかった遵法精神、コンプライアンス精神の欠如に起因するものだと述べられました。ところが、今もありましたように、裏金議員の七十三人は、政治倫理審査会に出席して弁明することすらしておりません。総理もこの間の質疑で、派閥ぐるみの組織的違法行為と認めておりません。違法行為と認めない、そして遵法精神の欠如に反省がないままに出されたのが今回の自民党の法案だと考えます。
 公明、維新との形ばかりの修正は行われましたけれども、今、ざる法と指摘をされ、直近の世論調査でも七割が評価しないと答えております。こういう国民の声に応えた真相の徹底解明と抜本的な再発防止策こそ今国会の責務だと私も考えます。
○山下芳生君 自ら起こした裏金事件の真相も解明できない自民党に抜本的な解決策が出せるはずがないと思います。自民党提出の法案は、裏金事件の真相解明と再発防止のためではなくて、裏金事件の追及から逃げ切り、幕引きを図るためのものだと言わなければなりません。
 次に、企業・団体献金の問題について聞きます。
 自民党派閥による裏金事件の原資は、政治資金パーティーの収入であり、パーティー券はその大半を企業、団体が購入しているのが実態であります。ところが、自民、公明、維新による賛成多数で衆議院を通過した法案には、この肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券購入の禁止がすっぽり抜け落ちております。
 自民党法案の発議者、提案者に聞きます。それはどうしてですか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 三十年前からの政治改革の議論の中においても、やはり政治、これは、金が掛かる政治というものをしっかりとなるべく金が掛からないようなものにしていく努力、こういったものと同時に、どうそれを健全なきれいなお金でしっかりファイナンスをするのか、こういったことの議論が積み重ねられてきたと承知をしています。
 そういったことで申し上げれば、当時の議論からも、いわゆる政党助成金、これは国民の皆様の税金からということでありますけれども、それと企業、団体、あるいは個人、このバランスをどう考えるのか、別の切り口で申し上げれば、こういった税財源というものと、寄附と、そしてその事業と、このどうバランスを取っていくのか、こういった議論が続けられてきていると承知をしております。
 一番大事なこととして申し上げれば、やはりこれは衆議院の審議でも申し上げてまいりましたけれども、やはりどのようにして、この政策決定、この行政がゆがめられるということをしっかりと排除をするのか、このことは極めて大事だろうと思います。その意味においては、今回の事案においては、こうした政策決定あるいは行政、こういったものがゆがめられたということは私どもとしては承知をしておりません。
 そういった中にあっては、どのようにしてこのバランスをしっかり取っていくのかということを考えたときには、企業・団体献金、これは当然、それぞれが自律的に、何を受けるべきで受けないべきなのか、この判断は必要だと思いますけれども、その上で、排除をされるべきものではないと承知をしております。
 加えて、団体献金については、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有するとの最高裁判例も、判決もある中でありますので、まさに自由主義を、資本主義を旨とする我が国にあっては、企業、団体、この政治活動の自由の観点からも、この点については排除をされるべきではないとの判断を行ったところであります。
○山下芳生君 今回の事案でゆがめられたことは承知していないとおっしゃっていますけど、真相解明できていないんですからね。それははっきりしていないですよ。
 それから、特定の者の金が政策決定をゆがめている例は枚挙にいとまがありません。
 今日、資料を用意しました。
 資料一は、イギリスのシンクタンク、インフルエンスマップが分析した結果、パリ協定に後ろ向きの業界団体が政府の気候変動・エネルギー政策に大きな影響を与えていることが明らかになったとして発表した図であります。
 それから、資料二は、CO2排出量上位五十社のうち三十社が自民党への政治献金、政府機関への天下り、天上がりを行っていることを示す表であります。
 それから、資料三は、温室効果ガス排出関連団体から自民党への献金額を示した表であります。自動車工業会、鉄鋼連盟、石油連盟など九つの業界団体から五年間で十二億七千六百二十万円もの献金が自民党にされております。資料二で自民党への献金がないとされた企業も、関連団体として多額の献金を行っています。
 自民党の発議者に聞きますが、まさに、CO2、温室効果ガスを大量に排出している企業、団体からの献金によって政府の気候変動・エネルギー政策が彼らの主張に強く影響され、パリ協定と整合する政策と乖離している。日本が、G7の中で唯一石炭火力発電の期限を切った廃止目標を持たず、石炭中毒と批判されている根底には、石炭にしがみつく企業、団体からの献金があることは明らかではありませんか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 私は、当選以来、初当選以来、気候変動、ある意味これはライフワークにしてまいっております。外務副大臣時代にも、当時の石炭発電を中心とした今後の輸出の在り方、ここについても、私は、やはりそれを廃止をしていくべきであるということで、明確に申し上げて議論も進めてきております。
 そういった私の目から見ても、党内の議論、確かに化石燃料を依存をしていくべきだという議論があるのは事実ですが、そこはある意味、一色ではないのも事実であります。そこは、様々な我が党の中の各議員の議論、あるいはそれぞれの有識者からいただく議論、そういったものにおいて、少なくともこれまで、気候変動の問題あるいは脱石炭ということ、私も真剣に取り組んできた政治家として申し上げれば、そこにこの政治資金の影があるかということにおいては私はないと、私としては承知をしております。
○山下芳生君 そう言い切るんだったら、もう企業・団体献金もらうのをやめた方がいいですよ。気候変動の現状、もう危機的ですからね。
 先日、国連の世界気象機関、WMOは、このままでは今後五年間で産業革命以前からの気温上昇が一・五度に達する可能性が高いと発表しました。一部の企業、団体からの献金でパリ協定と整合する政策に後ろ向きの姿勢を取るような余裕は今の地球にはありません。
 かつて、亀井正夫住友電工会長は、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っていると発言しました。また、石原俊経済同友会代表幹事は、企業が議員に何のために金を出すのか、投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待すると発言をいたしました。
 このように、企業・団体献金は本質的に賄賂性を持つ、また企業が巨大な資金力によって政治に影響力を行使することは国民の参政権を侵害することになる、この点、簡潔に、発議者はどう思いますか。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 先ほど申し上げましたように、この政治資金と中の議論、ここは相関をしていない、私は、少なくとも我が党内においてはそういった状況であろうと思います。
 その上で、当然、政治に影響を及ぼそうとして巨大な資金を提供するとか、そういった、ある意味広く薄くではなく、ある特定の者に偏るような、そういった状況というものは我々としてもないように判断していくべきであろうと思います。
 そういった上で言えば、こういった企業、団体による献金、これは少なくともそれぞれの企業において政策決定をゆがめようとして出しているものではないと私は承知をしております。
○山下芳生君 出している側が賄賂性を持つと言っているんですから、それ広く薄くやれば、広く政策がゆがめられるということにほかなりません。
 日本共産党の井上議員に聞きます。企業・団体献金についてどのように認識しているか、また、共産党提出の法案では、企業・団体献金、どのようになるんでしょうか。
○井上哲士君 委員が今具体的に示されましたように、営利を目的とする企業が政治に金を出せば投資に見合う見返りを要求することにならざるを得ないと、そういう点で本質的に賄賂性を持っているということは御指摘のとおりだと思います。
 自民党は五十年前の最高裁判決を持ち出して合理化をするわけですが、この判決は、大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を生む、さらに豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成すると認めて、弊害に対処する方途は立法政策にまつべきと述べて、禁止の立法措置を否定をしておりません。
 総理は、個人に対する献金が禁止されるなど、一定の対応は図られてきたとこの間述べておられますが、その下で今回の裏金事件が起きているわけです。ですから、やはり禁止の立法措置に踏み込むことが今こそ必要だと考えております。
 参政権は憲法十五条で定められた国民固有の権利であって、政治資金の拠出は投票権と並ぶ国民の政治参加の権利そのものであります。大企業や業界は、選挙権は持ちませんけれども、個人の力をはるかに超える巨大な財力を持っております。その力で政治を左右することは、国民の基本的人権である参政権をも侵すことになると考えます。
 その立場から、日本共産党は、自ら企業・団体献金受け取らないことと同時に、政治革新の、政治改革の核心として、企業・団体献金をパーティー券購入も含めて全面禁止するということを今回提案をしております。
○山下芳生君 最後に、政党助成制度について聞きます。
 一九九〇年代の政治改革では、企業・団体献金を禁止する代わりに政党助成金を導入するとしましたが、いまだ二重取りが続いており、自民党は運営資金の六割を税金に依存しております。
 自民党提案者に聞きます。政党助成制度は廃止すべきではありませんか。簡潔に。
○衆議院議員(鈴木馨祐君) 政治改革、九〇年代のとおっしゃいましたが、当時、我が党で数か月間の議論を経て作成をした政治改革大綱においても、先ほど申しましたけれども、税による政党助成金、そして企業、団体、個人、あるいは寄附事業と、そのバランス、これが極めて大事である、それは政治、政党あるいは政治家がしっかりと自ら立つためにも大事であるということで結論を得ているところであります。
 そういった中で、政党助成法、これ、我々直接的に、今回政治資金規正法についてということで、直接の担当ではありませんが、それでもあえて申し上げれば、やはり、民主主義のコスト、これを国民の理解の下で国民全体で負担をしていただく制度ということでありまして、これはほかの国でも、例えばアメリカやイギリスやドイツやフランスにおいても同趣旨の制度があるところであります。
 ということで、私どもとしてはここについては問題はないと考えております。
○山下芳生君 日本共産党の井上さん、どうですか。
○委員長(豊田俊郎君) 時間が参っておりますので、お答えは簡潔にお願いします。
○井上哲士君 政治資金規正法は第二条で、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であると規定をしておりまして、政治資金は国民の浄財によって賄われるべきであります。それに反するのが政党助成金であって、自分の払った税金が支持していない政党に交付をされるということは、思想信条の自由や政党支持の自由にも触れる憲法違反の制度だと思っております。
 この間、二重取りが続いてきましたけれども、やはり、政党は国民の中で活動して、国民の支持を得て、国民から浄財を集めて活動資金を作ることが基本であって、その努力を怠って、政党の運営資金の大半を政党助成金に依存する官営政党になることは、金への感覚を麻痺させて腐敗政治をつくり出す根源の一つになっていると、そういう立場から私たちは廃止をすべきだと、こういう提案をいたしました。
○山下芳生君 終わります。

 

<木村英子議員への答弁>

○木村英子君 (前略)今回提出されている法案は、国会の中だけで国会議員のために議論されていますが、一番重要な国民の意見が反映されていない以上、納得できるものではありません。国民の命と生活を最優先とし、国民の主権を守り、新たな法案を作るために今回の法案は白紙に戻すべきだと、そして、それを検討していただきたい。そして、法案を作るに当たっては、主権者である国民が置き去りにされることなく、市民や有識者などの外部の方の参加を含めた議論の場をつくることが必要だと思います。衆議院、参議院、超党派で政治資金について参考人質疑なども行い、法案を白紙に戻した上で新たな政治資金規正法案を作るべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。自民党、国民民主党、共産党の順番でお考えをお聞かせください。

(中略)

○井上哲士君 政治と金の問題は民主政治の基盤の問題であって、国民の声をしっかり聞きながら、国会での全ての会派の参加の下に、有識者の意見も聞きながら議論をすることが必要だと考えております。
 今、多くの国民がこの自民党の裏金問題で、自分たちは裏金作る一方で国民には増税かと、法律を作る国会議員から、自らの法律違反の犯罪を犯しながら説明責任すら果たそうとしていないと、このことに対する大きな怒りが広がっております。これに対して、私たちがやっぱり真相を徹底解明をしながら、二度と抜け道を許さない、実効ある再発防止策をどう作るかが問われておりますし、これができなければ今の国民の不信は国会全体に向けられるということを考えております。
 会期が残り少ないからと言って十分な議論もなさずに行うのではなくて、徹底した議論を通じてこうした国民の声に応えた本物の改革を進めることが必要でありますし、そのために私どもも法案を提出しております。是非、皆さんの賛同もいただきながら、国民の信頼に応える本物の改革を御一緒に進めたいと思います。

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