○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
今日は、二人の参考人、本当にありがとうございます。
私、実はこれからもう一つ所属する委員会がございまして、他党の皆さんの御配慮をいただきまして最初に質問をさせていただきますけれども、そういうことで、中座をしなくてはいけないことになります。大変御無礼になりますが、皆さんの議事録などもよく勉強させていただきたいと思っております。
続けますね。
○委員長(松下新平君) じゃ、速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(松下新平君) じゃ、速記を起こしてください。
じゃ、そのままどうぞ。
○井上哲士君 はい、済みません。
一昨年の十一月に当委員会で新潟市に視察に行き、昨年の五月には小浜市に行きました。あの横田めぐみさんが拉致された現場や、そして連れ去られた海岸も見たわけでありますけど、本当に住宅街の近くで、そして、あの海岸から灰色の日本海を、北朝鮮に連れ去られた。どんな思いだったのか、どんな御苦労を向こう、北朝鮮でされているかということを、改めて本当に胸に刻むような思いがいたしました。
本当に改めて事実に触れることの重要性を確認をしたわけでありますが、いずれの視察の際にも、関係の自治体やそして関係者の皆さんから、国からのその情報が全くないということが随分言われました。
その点、それぞれにお聞きしたいと思うんですけども、一連のこの間の外交的な動きなどについて、当事者である皆さん方にどのように、何というんでしょうか、知らされているのかと。特に特定失踪者については、竹下さんなどは拉致被害者と明らかに区別されているということも先ほどもあったわけでありますけども、数は出ておるわけですけれども、その特定失踪者の皆さんの家族に対してはどのような国やその捜査機関からの連絡であるとか情報提供とかがあるのか、それについての要望も含めて、それぞれからお話を伺いたいと思います。
○参考人(横田哲也君) 御質問ありがとうございます。横田でございます。
国とのその協業というか連携についてでございますけれども、内閣府の中に、内閣官房といいますか、拉致問題対策本部がございまして、定期的に会合というか、いろんな情報共有はさせていただいております。
しかしながら、官邸の中にあるのか、どこか分かりませんけれども、本当に北朝鮮と秘密交渉をしているような情報が私たち家族の者に知らされることは一切ございません。もちろん、知りたい気持ちは私であり特定失踪者の人もやまやまだと思いますけれども、人間という動物は、ここだけの話だぞといった内容を絶対に言ってしまうのが習慣化している動物なので、多分、私も聞いたら多分どこかに漏らしてしまうような気がしますから、それは、国は責任を持って情報管理をして、言わない方がよろしいんじゃないかなというふうに考えております。
以上です。
○参考人(竹下珠路君) 私はまた違う、家族としての別の、特定失踪者家族特有のと申しますか、その視点から申し上げますと、これは、いわゆる国の出先機関である各県警察のレベルの問題で私は申し上げられるのは、それぞれの都道府県によって対応が、家族に対する対応が大きく異なります。全く来ない方も、毎月のように、どうですか、言われることの多くが、何か新しいことありませんかねと私たちが聞かれるのです。警察の方がではなく、何かありませんかねという。
そういうような状況でございまして、だから、情報をいただけるということはほとんど私たちの特定失踪者家族にとってはありません。ただ、内閣府拉致対策本部の方からは、それぞれ政府の高官の方が海外に行って、外国の方々とこういう話のときに拉致問題を提議したよという、そういった情報はいただいております。
○井上哲士君 ありがとうございます。
そのときの視察でも、やはり特に若い皆さんに、いわゆる風化というんでしょうか、事実が知らされていないということも随分ありました。
政府が外交する上でもやっぱり国民的な世論の支えが必要だと思うわけですけれども、横田参考人などはいろんな講演などでされていると思うんですが、特に、若い皆さんにどういうことを強調されていて、どういう反応があるかということ、それから、そういう風化をさせないために国に対してどういうことを求めていらっしゃるか、お願いしたいと思います。
○参考人(横田哲也君) 御質問ありがとうございます。
風化しているようにも見えつつ、まあ本当にしているのかもしれませんが、個人的には、私たち日本人というのはこの拉致問題について決して忘れていない、つまり風化していないと考えてはいるんですが、ただ、もっといろんなメディアとかにこの拉致の情報が多くあった方がより関心が高まるのは確かだろうとは思っております。
そのような中で、拉致問題対策本部といいますか、日本国政府は、これまでにポスターを作ってきたりですとか、あとユーチューブも今回作りまして、これは中学生の投票によって作られた短編のユーチューブ動画ですけれども、非常にインパクトの高い動画でございますから、それをもっと国のお金を使ってそういう公共放送に流すとかというのもあるかもしれませんし、また、日本国政府は、対策本部はこういう、お子様向けのこういう冊子も作っていますが、なかなか全小学校、中学校で使われているかというとそうでもないかと思いますので、この国会議員の先生方が各省庁への働きかけをもっと強めていただいて、これをもうちょっと使えないのかというような作業だとか、まだまだ作業できることはあるんじゃないかと思っておりますので、各方面方面で様々なお得意分野があると思いますから、関係省庁と強い関係性もあるところもあると思いますので、そういうところを是非駆使していただければと考えております。
以上です。
○井上哲士君 ありがとうございます。
様々なこの間情勢の転換があります。ロシアと北朝鮮の接近とか、様々なアジアの情勢の中でもあるわけでありますし、新しい困難もあると思うんですが、ただ、やはりこの解決の基本は、私は日朝平壌宣言であると思うし、ストックホルム合意を生かすことが重要だと思っております。そういう基本的なこの解決のための外交の上で、日朝平壌宣言の位置付けについて、横田参考人、御意見をお願いしたいと思います。
○参考人(横田哲也君) 御質問ありがとうございます。
これまでに日本国政府と北朝鮮との間におきまして日朝平壌宣言並びにストックホルム合意があることはもちろん私も存じ上げておりますけれども、それはもちろん大事だと思いますし、それで、それに基づいて解決をしていけるのであれば、また北朝鮮がそれに合意する気があるのであれば非常に有用だろうとは考えておりますが、まあ北がどう考えているか、私には分かりません。あくまで日本を利用しているんじゃないかという気もするぐらいでございます。
一方で、日本国政府がその今の二つの、平壌宣言、ストックホルム合意が、形はあっても、国全体としてそういうものがあろうがなかろうが解決するんだという意識がなければ、何があっても多分同じだと思うんですよね。
そういう意味では、国会議員の先生は少なくともこのブルーリボンバッジを付ければいいというものでもないとは思いますけれども、私はそういう意識を持っているんだということを示すことがやっぱり大事だと思いますし、やっぱり気概だと思うんですよね、この国の。委員会とか条約とか、そういうものじゃないと思うんですよ。そういうことがもっと広く深まっていけば解決できるんじゃないかなと考えております。
以上です。
○井上哲士君 構えということがおっしゃられたわけですが、岸田総理が、首脳会談を早期に実現すべく、私の直轄のハイレベルで協議を行っていきたいと言われたことに大変期待の声もあったわけでありますけれども、十分に進んでいないと。そういう点で、今の政府の構えについてはどのような御評価をされているでしょうか。
○委員長(松下新平君) 申合せの時間が参りましたので、質疑をまとめていただきたいと思います。
○参考人(横田哲也君) 御質問ありがとうございます。
総理大臣が、岸田総理大臣がその自分直轄下のハイレベル協議をということで、実際に日朝で水面下で交渉が進んでいるのは間違いない、総理大臣もそうおっしゃっています。
ただ、どんだけこちらが一〇〇%頑張ろうが、北朝鮮が一二〇%やる気がないんだと言われれば前進しないので、いかにその北朝鮮の思いをこちらが引っ張れるか。つまり、圧力もなければいけないですし、餌もなきゃならないと思っていますので、それを日本国政府がどうやることが一番効果的なのかということを考えていただければと考えております。
以上です。
○井上哲士君 ありがとうございました。
拉致問題特別委員会(参考人質疑)
2024年6月 7日(金)