○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
私は、会派を代表し、自民党提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案、維教提出の修正案のいずれにも反対する立場で討論を行います。
裏金問題の再発防止のためには、その真相の徹底解明が求められています。にもかかわらず、それに背を向けたまま自民党が提案し、維新、公明と修正して参院に送付されたのが本法案であります。
今朝報道された世論調査では、裏金問題への岸田首相の対応について評価しないが八三%、本法案の再発防止効果について効果ないは七七%に上ります。にもかかわらず、一方的に審議を打ち切り、採決することに厳しく抗議します。このような法案を成立させることは、国民の政治不信を一層拡大するものであり、断じて許されません。
本法案の最大の問題は、政治改革の核心である企業・団体献金の禁止がすっぽり抜け落ちていることです。本質的に賄賂性を持つ企業・団体献金は、政治をゆがめ、国民の参政権を侵害しています。裏金の原資となった政治資金パーティー券は、抜け道を使った企業・団体献金にほかなりません。公開基準を五万円超にする修正が行われましたが、開催数を増やす、下請企業などに分散させる手法で現行どおりの収入確保が可能です。
さらに、脱法行為である政策活動費の法定化は、使途を明らかにしない裏金、闇金を合法化するものにほかなりません。領収書等の公開は十年後とされ、時効により違法な支出も罰することができません。墨消しも否定せず、政治資金を国民の不断の監視の下に置く規正法の理念に真っ向から反するものです。
また、収支報告書の要旨の作成を削除することは、過去の政治と金の問題を隠蔽し、追及から逃れる改悪であり、断じて認められません。
このほか、お墨付きを与えるだけの政治資金監査制度の拡大や政党助成金を利用した法違反のペナルティー制度、第三者機関創設でのルール作りの丸投げの検討など、いずれも看過できない規定が盛り込まれています。
維教提案の修正案は、政策活動費の法定化を前提とするものであり、反対であります。
なお、日本共産党提出案は、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止、政策活動費を許さない、政治団体代表者のいわゆる連座制の導入、政治資金収支報告書の要旨の作成義務化と永久公表を図るものであります。加えて、企業・団体献金と二重取りとなっている政党支持の自由を侵す政党助成金制度も廃止をするものであります。
日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案を国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し上げ、討論を終わります。
政治改革特別委員会(自民提出の政治資金規正法改定案と維新修正案に対する反対討論)
2024年6月18日(火)