国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2024年・216臨時国会 の中の 内閣委員会(国家公務員給与法改定案)

内閣委員会(国家公務員給与法改定案)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 私も、まず地域手当についてお聞きします。
 石破総理は所信表明演説で、物価上昇を上回る賃金上昇を実現していくと述べました。では、今般の給与改定での地域手当や寒冷地手当の見直し、扶養手当の廃止等でどうなるのかという問題です。
 地域手当については、支給単位を市町村から都道府県単位に変更する大くくり化によって格差が緩和される部分もありますが、最大二〇%の支給割合は温存されており、実質的な賃下げになる職員も生まれるのではないかと思いますが、まずいかがでしょうか。
○政府参考人(佐々木雅之君) お答えいたします。
 今般の地域手当の見直しによりまして地域手当が引下げとなる地域もございますが、そうした地域における令和七年度の引下げ幅は一%にとどまるように措置をしているところでございます。一方、本年の官民較差に基づく勧告におきましては、俸給表は全ての職員について一・一%以上引き上げる改定としており、更に期末・勤勉手当の支給月数を〇・〇五月分ずつ引き上げております。各職員の勤務成績に応じた昇給等も行われることを踏まえますと、地域手当を引下げとなる地域も含めて全体として給与水準は引き上げられているところでございます。
 一方、地域手当の支給割合の差の在り方につきましては、最大で二〇%という支給割合の差が過大ではないかという問題意識も踏まえ、今後検討してまいる所存でございます。
○井上哲士君 衆議院の答弁では、地域手当で見ますと約六万二千人、額で五億円が引下げになるということであります。
 愛知県の国家公務員の皆さんでつくる愛知県国家公務員関連労働組合共闘会議、愛知国公からお話を伺いました。例えば、国土交通省の中部地方整備局の職員は、おおむね二年に一度の割合で管内の他の事務所に転勤を命ぜられるといいます。
 資料見ていただきますと、この丸印は管内にある事務所で、本局を含めて三十八か所あって、出張所は八十五もあるんですね。名古屋市は、本局を含めて九か所の事務所がありますが、これまでの地域手当は一五%。この名古屋市内の転勤と管内の各県、そして長野県南部の事務所への転勤では大きな格差が生まれると、こういうお話でありました。
 今回の改定でその格差が是正されるのか、なくなるのかという問題ですが、具体例で、このAさんという若手職員の配置例を配っておりますが、この方は、採用一年目は津市の三重河川工事事務所、三年目に豊橋市の豊橋河川事務所に転勤し、五年目には辞職されているんですが、今回の地域手当の見直しで、津市の場合は六から四%、豊橋市は三から八%、一方、名古屋市は一五から一二%になります。
 この改定される給与法と地域手当の支給率で大まかに試算しますと、転勤四年間でAさんの地域手当は六十五万八千百二十八円になるんですが、一方、四年間名古屋市内に限った転勤だった場合は百三十万七百八十八円で、これ倍近い差が生まれるんですね。最大二〇%の地域間格差を温存したままくくり方を変えても、転勤場所いかんで収入が大きく減少するというケースは生まれざるを得ないわけです。
 政府は、骨太方針二〇二四で、最低賃金の引上げについて、額の引上げにとどまらず、地域間格差の是正をうたっております。今回の改定では、この地域間格差の是正という政府の政策とも整合性が取れないんではないでしょうか。総裁、いかがでしょうか。
○政府参考人(佐々木雅之君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、今般の見直しに伴いまして地域手当の支給割合が引下げとなる地域もあるわけでございますけれども、全体として、今回の国家公務員についての見直しの状況を見ますと、支給割合に変動がない地域というのが全体の約三分の二、支給割合が引上げとなる地域が約四分の一というような見直しの状況になっております。
 二〇%という差につきましては、先ほども申し上げましたとおり、この差が過大ではないかという問題意識も踏まえまして、今後、支給割合の差の在り方について検討してまいる所存でございます。
 なお、国家公務員の給与につきまして、本年の俸給表の改定において初任給を大幅に引き上げるとともに、地域手当の支給地域を都道府県単位に大くくり化することによりまして、令和七年四月以降につきましては、全国全ての地域におきまして最低賃金を上回る水準が確保されることになるところでございます。
○井上哲士君 最低賃金ももう全国一律にすべきというのが大きな流れと声になっているわけですね。私は、地域間格差をこういう温存するような地域手当もなくして、もう全体の底上げを図るということが必要だと思います。
 総裁、いかがですか。
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
 様々な方々の御意見を伺いながら検討してまいりたいと思います。
○井上哲士君 ちゃんと検討し、ちゃんと答弁もしていただきたいと思います。
 国家公務員の育児休業等に関する法律の改正案についてお聞きします。
 国家公務員の育児時間について、従来の一日に二時間の範囲に加えて、一年に十日間相当の範囲内のいずれかを選択できるようにする等の内容になっております。また、対象となる子の範囲を、非常勤職員も常勤職員と同様に、現行の三歳未満から小学校就学前に拡大をするものであります。これ自体は働きながら子育てする職員の選択肢を拡大するものであり、評価できるものであります。今回の法改正と併せて人事院規則を改正して、こうした両立支援制度について、常勤と非常勤の間の格差をなくすための措置がとられます。
 お手元に、人事院から提出いただいた資料で比較を作って配付をしておりますが、赤が今回拡充をされるところでありますけれども、具体的にどのような対応が取られるのか、また、病気休暇についてはどうなるのか、御説明ください。
○政府参考人(荻野剛君) お答えいたします。
 国家公務員の勤務条件につきましては、情勢適応の原則に基づき、民間の状況等を踏まえて必要な見直しを行ってきています。
 今般の国家公務員における両立支援制度の見直しは、民間法制の見直しを踏まえ行うものでございまして、民間育児・介護休業法等の一部改正法におきましては、子の看護休暇や介護休暇、これは公務におきましては短期介護休暇に該当いたします。これらにつきまして、勤続六月未満の労働者を労使協定に基づき休暇の対象から除外する仕組みを廃止しますとともに、三歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が短時間勤務を含む五つの柔軟な働き方を実現するための措置から二つ以上を講じることが義務付けられたと承知しております。
 この民間の動向を踏まえまして、公務におきましても、非常勤職員の両立支援制度のうち、子の看護休暇及びこれを参考に同様の取得要件を設定している出生サポート休暇、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇及び短期介護休暇につきまして、それぞれの取得要件から六月以上の任期が定められている者又は六月以上継続勤務している者を削除しますとともに、育児休業法につきまして、短時間勤務に相当する育児時間の取得可能期間を現行の三歳未満までの子から小学校就学前までの子に拡大する意見の申出を行ったところでございます。
 また、非常勤職員の病気休暇についてもお尋ねがありましたが、非常勤職員の休暇につきましては、これまで業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定され任用されるという非常勤職員の性格を踏まえまして、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行ってきているところでございます。
 近年、民間企業におきまして、従業員の健康管理の重要性が認識され、積極的な取組を行う企業が増加しております。公務において職員のウエルビーイングを実現するためには、非常勤職員についても健康に関する支援や適切な勤務環境の整備を進めていく必要があると考えています。このため、民間企業の私傷病休暇の取扱いの状況も考慮し、令和七年四月から、これまで無給であった非常勤職員の私傷病休暇について有給としています。
○井上哲士君 六月以上の任期や勤務という条件を外して広げたということは大変重要でありまして、常勤職員と非常勤の格差を解消していくということは大変大事だと思います。
 しかし、まだまだ表にあるように格差は残されております。例えば、子の看護休暇、短期介護休暇などの、常勤職員は有給でありますけれども、非常勤職員は無給のままなんですね。病気休暇についての取得可能日数にもまだ大きな差があります。
 こういう常勤と非常勤の間にある様々な格差は一刻も早く解消するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
 職員の休暇については、従来より、情勢適応の原則の下、民間における状況などを踏まえて、必要に応じて適宜見直しを行ってきたところです。非常勤職員についても、業務の必要に応じその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという常勤職員とは異なる性格を考慮しながら、民間の有期雇用従業員の休暇の措置状況などを踏まえまして順次必要な取組を進めています。
 御指摘の子の看護休暇や短期介護休暇を含め、引き続き、民間の状況などを注視し、必要に応じて検討を行っていきたいと考えています。
○井上哲士君 是非現場の声をしっかり聞いて改善をしていただきたいと思うんですが、私、専門性の高い恒常的な業務を担う期間業務職員の不安定雇用を改善するために、三年公募要件を廃止をして無期雇用に転換すべきと繰り返し求めてまいりました。
 人事院は、今年六月の通知の一部改定で三年公募要件を廃止をしました。一方、この期間業務職員の採用等に関するQアンドAの問い六で、公募によらない再採用の上限回数などの目安を独自に設けることも否定されるものではないと、こういう説明をしているんですね。
 川本総裁は、昨年十一月十六日の当委員会で、私の質問に、この三年公募要件の在り方を検討する際には実際に働いている職員の方の声を直接聞くと述べられました。
 一体、どういう声聞かれたんでしょうか。この三年公募要件を削除しながら、各省庁の裁量で再採用の上限回数を設けることを望むような声が期間業務職員からあったということなんでしょうか。
○政府特別補佐人(川本裕子君) お答え申し上げます。
 期間業務職員制度の導入から十年以上が経過し、有効求人倍率が上昇して人材獲得競争が熾烈になる中で、各府省から行政サービスの提供を支える有為な人材の安定的な確保が従前より困難になっているとの声が寄せられていました。
 各府省の運用実態調査やヒアリングを行った結果、非常勤職員の人材確保が厳しさを増す中、いわゆる公募三年要件の三年があたかも任期のように扱われ、期間業務職員としての高い適性を有する人材が三年を区切りに公務外に流出するなどの弊害が生じていたことから、今般、公募によらない再度の採用の上限回数を連続二回までとする記載をなくしました。
 各府省が直面している現場の実情は様々であります。今般の見直しに当たって、人事院としては、画一的な基準を設けるよりも、各省がそれぞれの現場の実情を踏まえながら、状況に合った方法で柔軟に工夫、対応いただくことが重要と考えており、このような取扱いとした経緯がございます。
 現場の声を聞いているのかというお答えに対し、お尋ねに対しましては、今回の見直しに当たっては、各省はもとより、職員団体の方にも御意見を伺いながら検討させていただいたものであります。また、今月、恐れ入ります、今年一年、今年一月に、職業相談業務を行う期間業務職員本人からお話をお伺いするため、担当の人材局の課長がハローワークを訪問しております。他部署においても、日頃から制度改善に向けて現場を訪問させていただいております。また、私自身も、日頃から機会を見付け、期間業務職員の方も含め、お声を伺っています。年明けにも私自らハローワークへ足を運ぶ予定もございます。
 今後とも、機会を捉えて、現場の声をいただけるよう努めてまいります。
○井上哲士君 やはり現場の皆さんの声は、こういう期間業務、そういうものを正していくということでありまして、今年に入って厚労省は、ハローワークの期間業務職員百六十六人を社会人選考採用という形で常勤化をしております。これ自体は大変大いにするべきでありますけれども、そもそも期間業務職員が常勤職員の業務を代替している現状はおかしいのであって、この常勤化を始め、業務量に見合う十分な定員を確保するのが筋でありますし、時間がなくなったので大臣に質問の時間がなくなりましたけど、そもそもやはりこの今の人材確保の危機的な状況ということを言うのであれば、定員の抑制政策そのものをもうやめるべきだということを強く求めまして、質問を終わります。

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