○井上哲士君 日本共産党提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法を廃止する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を説明いたします。
最初に政治資金規正法改正案についてです。
今回の裏金事件は、自民党の派閥政治資金パーティー収入を原資とした派閥ぐるみの違法行為であります。真相を徹底解明し、再発防止の抜本改革を実現することは、国会の重要な責務です。
ところが、自民、公明の与党がさきの通常国会で押し通した改定政治資金規正法は、肝腎要の企業、団体による献金や政治資金パーティー券の購入の禁止がすっぽり抜け落ちているだけでなく、政策活動費を新たに法定化し、収支公開に逆行する規定を盛り込むものでした。十月の総選挙で、国民はこれにノーの審判を明確に示しました。
国民が求める政治改革を実現するため、今こそ企業・団体献金の全面禁止に踏み出すべきであります。抜け道とされてきた政治資金パーティー券は、その大半を企業、団体が購入しているのが実態であり、形を変えた企業・団体献金にほかなりません。
そもそも、営利を目的とする企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待するものであり、企業、団体の政治献金は、本質的に賄賂性を持つものです。選挙権を持たない企業が巨大な資金力によって政治に影響力を行使し、金の力で政治をゆがめることは、国民一人一人の権利である参政権を侵害するものです。
企業・団体献金の全面禁止は、政治改革の核心です。
以下、法律案の主な内容を説明いたします。
第一に、第二百十三国会において成立した改定政治資金規正法は廃止することとします。ざる法だとして国民の厳しい批判を招いた同法は施行前であり、これを廃止します。
第二に、企業・団体献金を全面的に禁止します。
企業、団体は、政党であれ政治家個人に対してであれ、政治活動に関する寄附及び寄附のあっせんを一切してはならないものとします。また、何人も、企業、団体に対して、政治活動に関する寄附をすること又は寄附のあっせんをすることを勧誘し、要求してはならないものとしております。
同時に、政治資金パーティーの対価の支払は、政治活動に関する寄附とみなす規定を設けることにより、企業、団体によるパーティー券の購入を禁止します。
個人によるパーティー券購入はこのみなし規定により寄附となり、公開基準は寄附の公開基準である年間五万円超となります。
第三に、政治団体の代表者の監督責任を明確にします。
政党支部や資金管理団体、派閥など全ての政治団体の代表者に対して、当該政治団体と会計責任者に対する監督責任を明記します。会計責任者らが政治資金規正法違反をした際、代表者が監督責任を怠ったときは、代表者も会計責任者らと同等の刑に処せられることとしております。
第四に、いわゆる政策活動費を禁止します。
政党から公職の候補者個人に対する政治活動に関する寄附を禁止します。また、政党など政治団体については、役職員、構成員に対して渡し切りの方法での経費の支出を禁止します。
政治資金は、政治家個人が扱わず、資金管理団体等において扱うこととしております。
第五に、収支報告書の公表について、二〇〇六年及び二〇〇七年の法改正によって後退させられた規定を元に戻し、総務大臣と都道府県選挙管理委員会による収支報告書の要旨の作成を義務化し、要旨の公表を早め、政治資金に関する情報開示の迅速化を図ることとしております。
以上のほか、政治資金規正法の違反に係る罰則の強化、公民権停止の期間延長などを盛り込んでいます。
続いて、政党助成法廃止法案の趣旨を説明いたします。
政党助成制度は三十年目に入り、今年十月までの政党助成金交付総額は約九千四百七億円に上り、そのうち約四千五百三十億円が自民党に支払われています。
一九九〇年代の政治改革では、企業・団体献金を禁止する代わりに政党助成金を導入するとしましたが、いまだに二重取りが続いております。衆議院の政治改革特別委員会で小泉進次郎議員が、自民党の運営資金について、政党交付金が七割で、企業・団体献金が約二割と、依存状況を明らかにしています。
税金を政党に配分する政党助成の仕組みは、思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度であり、廃止するべきです。
日本共産党は、企業・団体献金や政党助成金を一切受け取らず、企業・団体献金全面禁止法案をこの三十年、国会に提出し続けてきました。
金権政治一掃のためには、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことが必要であります。
以上が両法案の趣旨及び内容です。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
政治改革特別委員会(政治資金規正法改定案等ー日本共産党提出「政治資金規正法改正案(「企業・団体献金全面禁止法案)」「政党助成法廃止法案」の趣旨説明)
2024年12月18日(水)