○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
冒頭、私の趣旨説明で、自民党の運営資金について、政党交付金が七割で企業・団体献金が約二割であるとの答弁を引用して、依存していると述べたことについて、先ほど審議の中で、企業・団体献金二割で依存していると言えるのかという趣旨の発言がありました。私は、この政党助成法廃止法案の趣旨説明で述べたのであって、政党助成金に依存しているということを問題にしているんです。本来、政治資金は、国民の浄財、つまり個人献金によるべきであるし、官営政党はあってはならないという趣旨から述べたものであるので、御理解いただきたいと思います。
さて、この政治改革を求める大きな国民的流れは、自民党の派閥パーティー券をめぐる裏金問題での赤旗のスクープをきっかけに、国民生活の困難には無策なのに自分たちは裏金作りかと、こういう大きな怒りの声が広がりました。
衆参の政倫審では、全会一致で裏金議員の出席を求めましたけれども、通常国会では大半が拒否をしたと。裏金問題の真相解明がなされないままに、通常国会で改正政治資金規正法が自公などによって成立をいたしました。
参議院での委員会採決の日の朝の世論調査で七七%が自公案には効果がないと答えていると、私はその日の対総理質疑でこれを示しまして、このまま採決したら国民の政治不信は一層増すことになると、こう指摘をいたしました。実際、裏金に反省ないままざる法を通したという批判が広がって、十月の総選挙では与党過半数割れという国民の厳しい審判が下りました。その下で、半年もたたないままに今改正法の再改正の議論がされているわけであります。
先ほど趣旨説明しましたように、我が党は、まだ施行前のざる法である改正規正法は廃止をして、企業・団体献金の全面禁止、政策活動費の廃止などの政治資金規正法改正案と政党助成法廃止法案を提出をしております。通常国会以来のこうした経過を見たときに、自民党のパーティー券に関わる裏金問題についての真相解明が今求められている政治改革を進めるためにも不可欠だと考えますけれども、認識いかがでしょうか。
○衆議院議員(小泉進次郎君) 井上先生の先ほどの提案理由説明の中で、依存しているというのは、二割の部分に対して言ったんじゃなくて七割の部分にというのは、私、二割の部分だと思っていました。済みませんでした。
その上で、今この不記載問題への決着を付けることがまずは最初なんじゃないかというお話でしたけれども、まさに昨日は衆議院での政倫審、そして今日もということであります。この自民党の中では、弁護士にもお願いをして公表させていただいた報告書、そして、我々として、今まさに説明を更に求められる方について、今政倫審での更なる説明、こういった形で今の政治資金規正法の再改正を進めると同時に、この不断の説明責任を個々に果たしていただく、こういったことが大事なことだと思っております。
○井上哲士君 衆議院選挙の中で裏金議員が公認されなかったとかいうことがありまして、選挙が終わると駆け込み寺かのように出席をしたいという声が上がっておりますが、それ自体はやる必要がありますけど、しかし、本当にそれは全体の真相を解明しなくちゃいけないし、そのためにも国民に公開された下でやるべきことが必要であります。
そして、やはりこの派閥のパーティー券のキックバックによる裏金作りが、いつ誰によって何のために行われて、何に使われたのかと、このことの解明が必要だし、これはされていないと思うんですね。先ほど自民党の調査のことも言われましたけども、あれでは、このキックバックされたお金は全て政治活動に使用されていると、こうしているんですね。
ところが、選挙区内の有権者に違法な香典の提供をした疑い、公職選挙法違反の疑いのある堀井学衆議院議員、辞職をされましたけども、政治資金規正法違反の疑いでも略式起訴されております。この堀井議員の香典提供、その原資の一部に裏金が充たったという報道もされたわけですよね。ですから、あの自民党の調査だけが極めて不十分だと。
しかも、安倍派の裏金議員の裁判で、安倍派の事務局長が、被告人質問で、幹部議員らが二〇二二年八月に開いた協議で還流再開が決まって、その後、幹部らが手分けをして所属議員側に伝達したということを公判の中で明らかにいたしました。
これ、安倍派幹部らは、衆参のこの政倫審で、協議で結論は出なかったと、こう言っているわけですよ。つまり、公判の事務局長の証言とは全く食い違っているわけです。虚偽の弁明をしている疑いが強いわけでありますが、我々は偽証ができない証人喚問をするべきだということも求めてきましたけども、自民党は応じておりません。
やはり、この裏金がいつ誰によって何のために行われ、何に使われたか、この真相は解明されていないと思いますけども、認識いかがですか。
○衆議院議員(小泉進次郎君) 先ほど述べましたとおり、第三者の弁護士の方にも入っていただいて、調査を行って、報告書を公表しました。そして、検察という大変な権力、そしてまた、この捜査の力のあるようなところが立件をしたわけですよね。それでもなお、まだ分からないということについて、正直、党としてどこまでできるかということはあると思います。
一方で、当事者である個々の議員に対して、国民の皆さんに対して真摯に向き合って説明責任を果たしていただきたい、そういった中で、今まさに現在進行形で政倫審が開催され、弁明をされているんではないでしょうか。
○井上哲士君 検察のことをいつも言われるんですが、この具体的法律違反という問題と同時に、政治家としての倫理やその責任ということが問われているわけですよね。
何ができるかと言われましたけども、そもそも自民党のあの調査では、誰がいつから何のために集めたのかという調査項目すらないんですよ。ですから、あの裏金がどういう仕組みで作られたかということ、調べてもいません。そして、先ほど申し上げたように、堀井氏の場合に、あの報告の中身とは違って、違法な香典提供に使った疑いも指摘をされている。こういう不十分さがあったのに、再調査したんですか。それやるべきじゃないですか。いかがですか。
○衆議院議員(小泉進次郎君) 今私の手元にはその聞き取り調査に関する報告書ありますけども、聴取の事項もこちらに、一個一個挙げると時間掛かりますので挙げませんが、そこにも聴取事項は書いてあります。
そして、例えば先ほどの還付金の話などありましたけども、そこの中でも、還付金の主な使い道は何だったのかと、こういったことは調査をこの報告書の中にも明記をしてあります。会合費だとか事務費だとか人件費だとかいろんなもの書いてありますけども、この報告書の中で可能な限り明らかにしていただいたもの。しかし、まだ一方で説明が必要だというものは、まさに今政倫審などでも質疑の中でもやり取りをされているものと承知をしております。
○井上哲士君 それに基づいた回答で全部政治活動に使われたと言っていたけれども、違う疑いがあるわけでありますし、今挙げられませんでしたけど、誰がいつから何のために集めたかと、この構造を明らかにする質問はないんですよ。ですから、結局、全容解明をする気がないと私は断ぜざるを得ないと思います。
この組織ぐるみの違法行為であるこの裏金議員の事件の原資が企業によるパーティー券の購入という事実上の企業・団体献金でありました。この金権政治の根を断つためには企業・団体献金の禁止こそが肝腎要だと私たちは訴えてまいりました。
自民党は、この八幡製鉄事件の最高裁判決を示して企業・団体献金禁止に背を向けてきたんですね。先日、参議院の予算委員会で我が党の山添議員が石破総理に対して、この八幡製鉄事件の最高裁判決以降に自民党による金権事件は思い付くだけ挙げてくださいと、こういう質問をいたしますと、首相はロッキードやリクルート事件を挙げて、幾らでもあると、こう答弁したんですよね。まあ議場がちょっと沸きましたので、慌てて撤回すると、多くと、多くあると言われましたけれども、これは後の祭りなんですよ。
まさにね、幾らでもあると。何で自民党の金権事件が幾らでも繰り返されてきたのか、その原因、そして反省、認識いかがですか。
○衆議院議員(小泉進次郎君) 自民党の派閥のあのパーティー券による問題と今の金権政治ということを結び付けておられますが、あの問題は不記載だったわけですよね。で、今議論されているのは、企業・団体献金の是非というのが盛んにありますけれども、これはこれで議論すべきだとは思いますが、それとあの不記載のものとは直接の関係ではないと私は思っています。
ですので、今まで自民党で、議員で、関係のもので事件を起こしたものの例というのを今、井上先生おっしゃいましたけれども、まさにそういったことが起きたときに、問題がある、ルール違反をした者は逮捕若しくは立件をされてきた歴史があります。
一方で、適正にルールの中で活動をし、収支報告書を公開をして不断に国民の皆さんから監視をいただく、その中でまさにその我々の政党活動の原資が政党交付金なのか企業・団体献金なのか個人献金なのか、それとも御党のように事業収入でほぼ一本足で立てるようなそういった政党なのか、ここは公開をされていればチェックできるわけですから、我々としては、今後も大切なことは禁止ではなく公開ではないですかと申し上げているところです。
○井上哲士君 裏金事件に対しての認識が全く足りないと思うんですよ。
これまでの金権事件というのは、個々の政治家といろんな企業との利権、こういうことだったんですね。今回は、派閥ぐるみでこの政治資金収支報告への虚偽記載という、言わば組織的犯罪行為をやっていた、そういう点では一層私は根が深い問題だと思いますし、そのお金が一体何に使われていたのかということも解明をされていない。だから、国民は、金によってねじ曲げられて、自分たちの暮らしがないがしろにされているんじゃないかと、こう思っているわけですよ。その認識をちゃんと見ていただきたいと思うんですが。
先ほどの八幡製鉄の事件の判決は今日も議論になっていますが、この金権政治の弊害など挙げた上で、その対処する方途は差し当たり立法政策にまつべきこととしてきたわけですね。それ以降、様々な政治改革で一定の規制が行われてきました。三十年前も政治改革で規制があったけども、抜け道がつくられた。その一つが企業、団体によるパーティー券の購入だったわけですね。対価だと言いますけど、実際は企業・団体献金にほかならないと。まさにこの抜け道を使ったのが今回の裏金事件でありました。その下で、先ほど言ったような、まさに組織ぐるみの違法行為である、これが大きい、その原資がこのパーティー券だったと、事実上の企業・団体献金だったと。
そうであれば、この最高裁判決でいう公共の福祉に反する事態、組織的な違法行為が起きているんですよ。そうであれば、まさに判決どおり立法政策として企業・団体献金に、禁止に踏み込むことが必要じゃないですか。
○衆議院議員(小泉進次郎君) これは、先ほど小西委員とのやり取りでもお話をさせていただきましたけれども、この八幡製鉄事件のこの最高裁の判決文を読みますと、企業、団体に全面的に献金を禁止するような論を補強する中身は入っていません。そして、この立法の、立法政策にまつべきということは、企業・団体献金を禁止する立法をしろということではありません。
そして、先ほど、パーティー券は派閥、形を変えた企業・団体献金だと井上先生はおっしゃいますが、労働組合もパーティーやっています。
そして、政治、今回の立憲さんなどが提出している企業・団体献金禁止法案は政治団体を除くとなっています。除かれるのは労働組合系政治団体も除かれます。
そういったところから、まさに議論も含めて併せてされなければいけないのではないでしょうか。
○井上哲士君 いろいろ言われましたけれども、この判決以降ですね、先ほど挙げたように総理自身が幾らでもあると言ったぐらいにたくさんの金券事件が起きたわけですよ。そして、その中で一定の量的規制などが行われてきた。三十年前もやったと。しかし、その中でも抜け道があって今回の事件になったということであるならば、その後の中身見たときに私は立法政策としてもう企業・団体献金禁止に踏み込むべきときだということを申し上げているんです。確かにあの判決で、それはすぐにやれと言っていません、しかしその後の事態、そして今日の事態出たときには、これは踏み込むべきだと思うんですね。
先ほど来、政治資金のバランスというお話も出ていますけれども、政党助成金や機関紙による収入とですね、機関紙等によるその事業活動による収入を並べて議論するのは私全く性格が違うと思うんですね。政党が自らの政策や主張を広げる機関紙を発行して、自ら配達をして、集金をして、そういう活動から上がっている事業収益と企業献金や国民の税金である政党助成金による収入は全く性格が違います。そこを、だからこそ私たちは企業献金が政治をゆがめていると言っているし、交付金への依存は官製政党をつくるんだということを申し上げてきていることは言っておきたいと思います。
そもそも個人献金は憲法十五条に定められた参政権に基づくものでありまして、最も直接には投票する権利なんですね。透明性が確保されていればいいとおっしゃいますが、じゃ、本当に透明性が確保されていれば政治がゆがめられないのかと。
日本経団連は、主要政党の政策評価を毎年発表して、経団連の求める政策の推進を実績や課題として評価、提言して、会員企業に自民党への献金を呼びかけております。つまり、公開されているんです、政策評価は。これに基づいて私は政策を買収するシステムになっていると思うんですね。
その一つが原発推進でありますが、今年度の経団連の政策評価でも、原子力発電の次世代革新炉の研究開発の推進を実績として評価をして、課題として原子力の最大限活用を挙げております。それに応えて、この間、老朽原発の再稼働が進められてきましたが、昨日は次期エネルギー基本計画の原案が発表されております。福島原発事故以降の可能な限り依存度を減らすとしていたこの文言がなくなって、原発については最大限活用にすると、こういうふうに転換をしております。まさにこの間、経団連が公開した政策評価で求めてきたそのことが今進められているわけです。全く私は国民の声に反していると思いますが、結局、公開の下で政治がゆがめられているんじゃないですか。透明であったって、結局やっぱり企業・団体献金がゆがめるんじゃないですか、いかがですか。
○衆議院議員(小泉進次郎君) いや、これは経団連が言ったから政策がそうなったというのは全く違うと思います。
そして、今の点については、例えば、今日、国民民主党の浜野先生いらっしゃいますが、元電力労連の事務局長さんですよね。そして、国民民主党さんからもエネルギー政策の提言がこの前あったところですよね。これは、まさに自民党に限らず、様々な政策を、他党の声も耳を傾けて、最終的に政治として判断をしてやっているところでありますから、そこを、まあ共産党さんが自民党と経団連をつなげてストーリー作られるというのは好きなのはよく承知していますけれども、そこは私は当たらないと思っております。
○井上哲士君 企業献金の九五%は自民党なんですよ。そして、この原子力産業協会の会員企業の自民党への二〇一三年から二二年の献金額は七十億超えるんですね。その間に、電力会社から会員企業への原発関係支出は十八兆七千億を超えます。
結局、全く原発事故は終わっていないし、能登の地震で志賀原発のトラブルがあり、避難計画も絵に描いた餅で、地震大国日本には安全な原発ないこと、浮き彫りになっているんですよ。
にもかかわらず、国民の声にも反して原発推進に転換をすると、可能な限り依存度を減らすとしたのを最大限活用に変えた。これは、国民から見ればですよ、結局、公開したこの政策評価に基づいて経団連が自民党への献金を呼びかけて、その下でこういうゆがみが起きたと、それしか言えないじゃないですか。
企業・団体献金がやはり全面禁止をするべきだということを強く求めまして、質問を終わります。
政治改革特別委員会(政治資金規正法改定案等)
2024年12月18日(水)