国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2025年・217通常国会 の中の 予算委員会(石破総理の商品券問題、都議会自民党の裏金問題、原発推進と企業献金)

予算委員会(石破総理の商品券問題、都議会自民党の裏金問題、原発推進と企業献金)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、総理の商品券問題についてお聞きします。
 一昨日の当委員会で石破首相は、商品券配付が歴代の首相が慣例として普通にやっていたというのが事実かという問いに答えて、歴代首相がそうであったかどうかは、私は全ては存じませんと答えられました。
 つまり、全ては知らないけれども、やられていたことはあったということは知っているということですね。
○内閣総理大臣(石破茂君) 石垣委員からの御質問をいただきまして、歴代首相がそうであったかどうかは、私は全ては、全て存じませんと答弁した、これ、議事録で確認をいたしたところでございます。これは、そのような事実は全く知らないという趣旨で申し上げたものでございまして、それ以上の意味合いはございません。
 歴代の総理が商品券の配付を行っていたかどうかは、私としては全く把握をしておりません。全てを知っておるわけではございませんし、お答えする立場にもございません。
○井上哲士君 これだけの国民の批判があるんですからね、これ答えるべき立場にあると思いますよ。
 今日印刷の赤旗日曜版で、自民党の現職国会議員が語っております。首相が議員に商品券を配付するのは自民党の習慣だった、自分も何度も受け取ったことがある、安倍政権時にも首相と議員が首相公邸で会食することがあった、そのときも官房長官らが同席していた、会食前に首相の秘書が議員会館の事務所を訪れ、十万円分の商品券を置いていった、受け取った議員は皆、原資は内閣官房機密費だと思っていた、永田町の常識だというものであります。
 今回と同じやり方なんですよ。こういうやり方も含めて、慣例が引き継がれてきたんではありませんか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 赤旗の質問にどの自民党議員がお答えしたか、私は全く存じませんし、それは私は、証言とかなんとかいうものは、いやしくも政治家でございますので、自ら名前を明らかにして言わないというのは私はフェアだと思っておりません。
 また、そういう御引用にも私はお答えする立場にはございません。
○井上哲士君 一昨日の当委員会でも、我が党の小池書記局長が、今回の新人議員を集めた会食が、官房長官も出席をし、公邸で政策や選挙について話したものだ、紛れもない政治活動であって、これを単なる会食で政治活動ではないとしたら何でも許されてしまうとただしました。
 自民党は、今、政治資金の透明化、公開こそ必要だとしております。しかし、実際には政治活動でありながら私的活動だと詭弁を弄して、そのお土産代わりとして、領収書も要らない、政治資金収支報告書にも載せない、表に出ない資金を裏金にしてしまうと。これでは透明化とは全く逆の方向じゃありませんか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 何度も同じことをお答えして大変恐縮でございますが、これは、政治活動の定義というものが法律にはございませんが、これはほぼ確定した解釈でございますけれども、政治上の主義や施策を推進する、特定の公職の候補者を推薦する、そういうものを政治活動と申しております。
 で、それは、自民党の会合って大体そうなのですけれども、私が出た限りですね、そこにおいて特定の政策を推進するとか特定の候補者を推薦するとか、そういうことはまずございません。本当に、よもやま話とは言いませんが、選挙って大変だねと、あるいは政治活動というのは本当にもう頑張んなきゃいけないねと、そういうようなお話でございまして、いわゆるコンメンタール的にいう政治活動というものはございません。さればこそ、私費で出しておるものでございまして、そうであらばこそ、政治資金収支報告書に記載というものは全くなじまないものでございます。
○井上哲士君 公邸で官房長官が参加をして、参加した議員が述べているように、政策や選挙について話した。どう考えても政治活動ですよ。そして、この物価高騰で生活が、国民苦しんでいるときに、お土産代わりとして十万円の商品券を配ること自身が国民感覚から懸け離れておりますが、同時に、政治と金をめぐる厳しい国民の世論の中で事実上の裏金を総理が配る、これ自身、総理の資格問われますよ。
 そして、赤旗日曜版の取材では、安倍政権では、一三年五月から一八年三月にかけて首相と当選回数同期の議員らが首相公邸で会食したケースは計十七回あります。そのうち、官房長官や副長官が同席した会食は、首相動静などで確認できただけでも十四回あります。今朝の朝日は、岸田総理も公邸での懇談の前後に十万円の商品券を配っていたと、こういう議員の発言も報じているわけですね。
 こういう一連の、いろんなところで出ているこういう自民党の皆さんの言わば商品券配ることが慣例化したと、こういう証言からしますよ、ここにいる自民党議員の皆さんの中にも少なくない方がもらっていたんじゃないかと当然国民は思うわけですよ。しかしながら、そのことを明らかにした人も、問題にする声も自民党の中からは全く上がってきませんでした。まさに私はもう自民党全体の体質に関わる問題が問われていると思います。
 国民もそう思っているんですね。(資料提示)世論調査。商品券配付は問題だ、七五%、朝日新聞の世論調査でありますが、政治と金の問題を繰り返してきた体質を自民党は変えられると思うかの質問に、変えられないというのが七九%なんですよ。総理、この国民の声、どう受け止めていますか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 御質問の前段でしんぶん赤旗の記事を引用されました。また、自民党の議員が、かつてこうであった、ああであったというふうに言っておるということだそうでございます、御紹介によれば。ただ、先ほども申し上げましたが、そういうことを言うのであれば、氏名を明らかにして言っていただきたいと思っておりますし、そうではない、氏名を明らかにしない、出どころがよく分からない、そういうものを引用して決め付け的な御議論というものは、できれば、私どもとしてはお答えしにくいなというところでございます。
 その上で申し上げれば、朝日新聞の世論調査でそういう数字が出ておるということは、党の総裁として大変に申し訳のないことだと思っております。自民党がそういうような国民の皆様方の御批判、御叱正というものが払拭されるように努力するのが総裁たる私の責任でございまして、全ての責任は私が負わねばならないものだと承知をしております。人のせいにするつもりは全くございません。
○井上哲士君 しんぶん赤旗は裏金問題のスクープを始め様々な報道をしてまいりましたし、ここ数日のいろんなマスコミも同様の証言を全部書いているんですよ。そのことをしっかり受け止めていただきたいと思いますが、この金券問題というのは、まさに地方でも大問題になっております。
 しんぶん赤旗日曜版のスクープを契機にして、都議会自民党が二〇一九年と二〇二二年の収支報告書に政治資金パーティーなど収入計三千五百万円を記載していなかったことが大問題になって、経理担当職員が虚偽記載で有罪となりました。どういう方法だったのかと。
 日本共産党の都議団が、二〇一九年十二月二十三日に開かれた都議会自民党のこのパーティー、躍進の集いに関して、十月二十一日のこの総会時幹事長説明という内部資料を私たちは入手をいたしました。ここにはこう書いてあるんですね。パーティー券を各議員一人百枚を渡すので、そのうち五十枚分、百万円を経理担当職員に持参してくださいと。つまり、はなから半分の百万円は中抜きしてくださいと、こういうことになっているわけですね。これ、悪質な組織的な裏金作りそのものだと思うんですね。
 二月三日の衆議院の予算委員会での塩川議員の誰がいつから何のために行ったのか明らかになっていないという質問に総理は、実態解明について、党本部として、東京都連と協力しながら、解明すべき点は今後更に努力してまいりたいと答弁をされました。
 ところが、都議会で何が起こったか。日本共産党や立憲民主党など六会派が提案した政治倫理審査委員会の設置案を都議会与党の自民や公明、都民ファーストの会などが否決をしたわけですよ。首相の答弁に反して、実態解明に背向けているじゃないですか。党総裁として東京都連に物言われたんですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 我が党として、東京都連あるいは東京都議会のいろいろな行動について、全て、党本部、私、総裁たる私から指示をするものではございません。
 そこにおいていかにして実態が解明されるかということにつきまして都議会自民党として真摯に検討を重ねた結果、そのような行動になっておると承知をいたしておりますが、御指摘もございますので、いろんな報道をもう一度見て、大勢の方々の、都民の方々の更なる御信頼を得るべく努力をいたしてまいりたいと思っております。
○井上哲士君 いや、総理が解明すべき点は今後更に努力してまいりたいと衆議院予算委員会で答弁しているから、私は聞いているんですね。
 先ほど述べた内部文書は、都連所属の衆参国会議員四十六人に一人三十枚ずつこのパーティー券を配付していると、こう書いております。
 衆議院予算委員会での答弁では、都連所属の国会議員について都議会自民党が調査したところ、パーティー券の販売依頼を受けた国会議員に係る収支報告書の不記載はなかったと、こうされております。
 ところが、この四十六人の関係政治団体で一九年の収支報告書に記載があったのは十三人だけなんです。他の三十三人にも渡っているはずなのに、記載がないわけですよ。これ、パーティー券渡されたのに、無料で配ったんなら有権者への違法な寄附になる、売ったのに記載していないんならば裏金化の疑惑もあるわけですよ。
 総理は塩川議員に、必要があれば聞くと言われました。こういうことが明らかになっている以上、党として、この衆参国会議員、都連所属、聞き取りすべきじゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 恐縮です。先ほどから入手した内部文書とおっしゃっておられますが、どのような手法で入手されたかは存じませんが、その真偽というものにつきましても私としては確認をいたしかねるところでございます。
 いずれにいたしましても、私ども党本部と都連というものが密接に連携をしながら、いろいろな御指摘のことが、真偽のほども含めまして確認をしながら、信頼の確立のために努力してまいるべきは当然のことだと思っております。
 なお、御指摘につきましては、どうぞ、この人がこういうことであるということを明らかにしてまた議論を進めていただけますと、大変に実効性のある議論になろうかと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
○井上哲士君 十名に関しては、十三名に関しては、あの文書のとおり三十枚分、六十万円をちゃんと計上している、収支報告書に書いているんですよ。そのほかに関しては全く書いていないと、これおかしいじゃないかということを申し上げているんですね。
 それから、最初に示した内部文書でいいますと、追加のパーティー券が必要なら届けますと、その際は売上げの半分を納めよと、こうしているわけですね。
 結局、これも半分は裏金になるわけでありますが、これに関しまして赤旗日曜版は新しい内部文書を入手をいたしました。二〇一九年の政治資金パーティーの開催に当たって、都議らに追加分のパーティー券を何枚配ったかを会派側が管理をするリストです。都議会自民党が一月に公表した裏金議員は二十一人、裏金額は千八百二十四万円でしたけれども、この新しいリストにはこれ以外に十三人の名前があります。総額も八百万円増えます。従来の都連の説明は虚偽だったではないかと、こういう疑いがあるわけですね。
 この内部文書には国会議員の名前もあります。その一人、当時衆議院議員である鴨下一郎氏は二十万円の追加パーティー券を受け取っているんですよ。そして、最初の三十枚も加えますと五十枚になるわけでありますが、この五十枚分については収支報告書一九年分には全く記載をされていないと、裏金になっていたという疑惑もあるわけですね。鴨下氏は、過去、首相の総裁選挙の推薦人の代表にもなった方でありますし、都連も会長も務めた方なんですね。
 こうした鴨下氏や都連所属の国会議員について、繰り返しますけれども、都連任せではなくて、党本部として、総裁として指示をして調査すべきじゃないですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 私、我が同志が、しんぶん赤旗に資料を流すような者がおるとは思っておりませんので、その情報というものの信憑性についてはいま一つ理解がし難いところがございますが、是非とも誰々がということをおっしゃっていただければ、より実効性のある議論になるのかもしれません。
 都連所属衆参国会議員四十六名にもパーティー券が配付されているという前提で裏金になっている疑惑があるというような御指摘でございます。
 我が都連に所属をしております国会議員につきましても、一定の枚数のパーティー券の販売の依頼がなされておりましたが、売上金の還付等はそもそも行われていなかったというふうに聞いておるところでございます。都議会自由民主党が所要の調査も行ったところでありますが、国会議員が関わる御指摘のような収支報告書の不記載はなかったと、このように報告を受けておるところでございます。
 井上委員からただいま、都連所属の衆参国会議員について収支報告書の不記載の疑惑があるという御指摘をいただいたところでございますが、私としてそのような事実はないと認識をしておるところでございます。
○井上哲士君 記載されていないのは事実なんです。
 先ほど来、内部文書についていろいろ言われますが、都議会の自民党からこれは違うというような声は全く挙がっていませんよ。そもそも、都議会の与党三会派は、この裏金問題を棚上げして、遡及適用もできない政治倫理条例検討委員会の設置を多数で可決しました。その条例作るためにも、この問題の、裏金問題の全容解明が必要だとして、日本共産党などや立憲民主党などでこの当事者を参考人招致するように求めましたけれども、これも応じていないんですよ。だから、事実解明に背を向けているんです。妨害しているんです。結局、政治資金の透明化が必要だと言いながら、国会でも地方でもこうして、まともな調査もしないどころか事実解明の妨害をしていると、まさに体質が問われるということを、自民党全体が問われているということを指摘しなければなりません。
 そして、こういう政治と金をめぐる国民の怒りに応えて、金で動く政治をなくす要は、企業・団体献金の全面禁止、パーティー券の原資もこれが多く使われているわけですね。
 総理は、企業献金が政治をゆがめた記憶はないと、禁止より公開だと繰り返されておりますけれども、しかし、公開されれば政治のゆがみがないのかと。
 原発問題で聞きたいと思うんですが、経産大臣、二月の第七次エネルギー基本計画閣議決定では、この福島事故以来ずっと書き込まれていた、可能な限り原発依存度を低減する、二〇一四年度からありますけれども、これが削られて、原発の最大限活用が盛り込まれました。この原発への依存度の低減というのは、福島事故への反省と、原発が一たび事故を起こせば未曽有の深刻な被害を生むという、そういう認識と一体だと思うんですけれども、なぜ、認識変わったんですか、なぜこの原発の依存度の低下を削ったんですか。
○国務大臣(武藤容治君) 井上委員から七次のエネルギー基本計画での原発での文言の話について御質問いただきました。
 福島の復興と東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉は、経済産業省の最重要課題であります。原発事故の経験、反省と教訓をひとときも忘れることなく取り組むことは、揺るぎないエネルギー政策の原点であります。政府として、原発事故の反省と教訓を踏まえ、規制と利用の分離、また安全対策が抜本的に強化された新規制基準の策定と運用を進めているところでありまして、事業者も不断の安全性向上に取り組んでいるところです。
 こうした反省や教訓の上で、低い自給率、火力発電への依存、電力需要の増加見通しといった我が国が直面しているエネルギーをめぐる困難な状況を考えれば、脱炭素電源を最大限確保していくことは、安定供給、経済成長、脱炭素のいずれの観点からも必要であると、このため、再エネも原子力も最大限に活用していかなければならないと考えているところであります。
○井上哲士君 再エネ活用するのは当然ですよ。しかし、真摯な反省と言いながらなぜ依存度の低下を目指さないのか、これ結局新たな安全神話に結び付くと思いますよ。
 総理に聞きますが、福島第一原発の事故は、いまだに収束の見通しさえ立たずに、数万人が避難を強いられて、ふるさとを追われたままです。八百八十トンある燃料デブリを試験的に取り出せたのは、僅か〇・七グラムですよ。その下で、被災者からは、今回の新しい計画に、原発事故を終わったものにするのかと、こういう声上がっています。原発事故への真摯な反省と依存度低下を目指すことを削るというのは矛盾するんじゃないですか。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) これまでのエネルギー基本計画におきましては、可能な限り原発依存度を低減する、また、必要な規模を持続的に活用すると記載をされておりました。これは、原発依存度が震災前の約三割から下がり、一方において必要な原発は活用していくという趣旨でございます。この考え方につきましては、第七次エネルギー基本計画におきましても変わるものではございません。
 私どもとして、それは、私どもあのときは御党と一緒に野党をやっておりました。で、いろんなことを共産党さんともお話をした、私政調会長でございましたが、お話しした覚えがございます。
 やっぱり、三・一一の教訓というのを片時たりとも忘れない、それはもう原発の依存度は下げるということ、そしてまた、原発の安全度というものを最大限に上げていくということ、しかしながら、我が国の自給率がこれだけ低いということを考えましたときに、極力というか、最大限安全を確保した原発の稼働というものは行っていく、同時に、再生エネルギーの活用というものも進めていくという、これが私どものエネルギー政策というものでございまして、原発の安全性を高めるということを忘れたことは片時たりともございません。
○井上哲士君 安全性を高める、こう言われました。しかし、福島原発事故以後、むしろ、地震列島日本では、安全な原発、そんな立地場所はないということが一層明らかになっているんですよ。
 今、地震の研究者は、九〇年代から日本は大地動乱の時代に入っているとしております。大きな地震が連続しているのは御承知のとおりです。特に、日本海の海底の活断層の実態は明らかになっておりません。能登半島地震では、北陸電力が志賀原発の再稼働の申請で想定していた活断層の連動は九十六キロでしたけれども、百五十キロ動いて大震災になったわけですね。
 文科省来ていただいていますが、この地震調査研究委員会が昨年八月に発表した日本海側の活断層の調査結果、御報告ください。
○政府参考人(堀内義規君) お答えいたします。
 地震調査委員会では、昨年八月に、兵庫県北方沖から新潟県上越地方沖に分布する長さ二十キロメートル以上でマグニチュード七程度以上の地震を起こし得る二十五の海域活断層を対象とし、これらの活断層の位置、長さ、形状、発生する地震の規模などについて公表をしたところです。
○井上哲士君 このうち、新たに活断として評価したのは幾つですか。
○政府参考人(堀内義規君) お答えいたします。
 今申し上げました二十五の海域活断層のうち、京都府沖から福井県沖の三つの断層が新たに活断層として評価されております。
○井上哲士君 何で初めから答弁しないんですかね。
 つまり、これだけあって、そして今また三つ見付かっているんですよ。これ以上ないと言えますか。
○委員長(鶴保庸介君) 簡単に。
○政府参考人(堀内義規君) 三か所が新たに、沖ノ礁北方断層......(発言する者あり)はい、済みません。
 お答えいたします。
 地震調査委員会では様々な調査研究の成果を基に活断層等の評価を行っており、今後、新たなデータなどが得られた場合には、新たに活断層と評価される断層が見付かる可能性がございます。
○井上哲士君 熊本地震のときも、未知の活断層が動いて大きな地震になったんです。これが日本なんですよ。ここに、地震列島日本で私は最大限活用などあり得ないと思いますし、さらに、事故が起きたときの避難計画の問題です。
 能登半島地震で、原発事故と地震などの複合災害のときには避難計画が全く実態に合っていないことが明らかになりました。政府は、原発から半径五から三十キロ圏の避難準備区域、UPZの住民は、原発事故のときは自宅などへの屋内退避が原則としております。しかし、原子力規制委員長も、今年二月の記者会見で、もし志賀原発で事故が起きていたら屋内退避できる状況ではなかったと述べました、会見で。
 経産大臣も同じ認識ですか。
○国務大臣(武藤容治君) 避難計画の件でお尋ねをいただいたというふうに承知をしております。
 本件の所管は内閣府でありますけれども、地域の避難計画を含む緊急時対応では、避難道が寸断されるような大規模な自然災害と原子力災害との複合災害も想定した上で策定されるものと承知をしているところです。例えば、必要な代替道路を、経路を設けることや、海路や空路による避難、また、屋内避難の実施、実動組織による住民避難の支援といった対応が盛り込まれると承知をしているところであります。
 そうした緊急時の対応ですけれども、関係省庁や関係自治体が参加する地域原子力防災協議会において、原子力規制委員会が策定する原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的であることを厳密に確認しながら取りまとめられることとなっております。
 あえて、先ほど委員からおっしゃられた能登の関係でありますけれども、能登半島地震で得られた教訓を、これをしっかりと踏まえながら、緊急時対応の不断の改善努力、改善充実を進めることで原子力災害対応の実効性の向上が図られていくものと承知をしているところであります。
○井上哲士君 これ、今年の三・一一の後に報道された東京新聞による全国十五の原発三十キロ圏の市町村のアンケートであります。避難計画が複合災害で破綻と、こういう見出しですよね。アンケートを取っていますけれども、例えば石川県能登の穴水町、避難先が被災し受入れはほぼ不可能、道路が寸断し車での移動も難しかった、避難は現実的でなかった。柏崎刈羽原発周辺の豪雪地帯、新潟県の小千谷市、冬に安全、円滑に避難できる環境整備が不可欠、これらなくして避難生活の実効性を確保できない。伊方原発のある愛媛県の伊方町、複合災害時に避難経路の寸断などで孤立のリスクが高まるが、地理的要因で対策が困難と、こう言っているわけですね。
 政府が再稼働を狙う柏崎刈羽原発のある新潟県では、再稼働の是非への住民投票を求める直接請求署名が法定数を大きく超えて集まっております。
 総理、避難計画は複合災害で破綻と、こう指摘されている中で、実効ある避難計画もないまま、また立地自治体だけではなくて周辺住民の合意なしの原発稼働などあり得ないと思いますけれども、いかがですか。
○内閣総理大臣(石破茂君) 原子力災害時の避難につきましては、地域ごとの実情をきめ細かく知っているのは自治体でございますので、災害対策基本法に基づきまして、自治体が地域防災計画、避難計画を策定するということになっておるわけでございます。
 地域の避難計画を含みます緊急時対応が、原子力規制委員会が策定する原子力災害対策指針などに照らしまして、具体的かつ合理的なものであることを地域原子力防災協議会で厳密に確認をし、私が議長を務め原子力規制委員長も参画する原子力防災会議において了承すると、こういうことになっておるわけでございます。
 このような原子力防災会議に至るプロセスで了承されました地域の避難計画を含みます緊急時対応がない中で原発の再稼働が進むということは実態としてあり得ないと考えておるところでございます。再稼働に際しましては、立地自治体の御理解ということがなくてできるとは思っておりません、御理解が大前提でございますので。これは、国の政策でございます以上、国が前面に立って御理解をいただくべく説明に最善を尽くしていくというのは当然のことでございます。
○井上哲士君 これまでもそういう説明されてきましたけれども、能登地震で一番現場知っている自治体が実効性ある計画作れないと言っているんですよ。だから、にもかかわらず最大限活用はあり得ないということを申し上げております。
 今、世論調査でも、原発を段階的に減らして将来的にはゼロにするが五八%は多数の声なのに、何で逆の方向に行くのか。私は、結局、政府と財界が企業献金で結ばれて、国民の声に背いて二人三脚でやっているということだと思うんですね。
 政府の経済政策の司令塔であって、首相を座長とする経済財政諮問会議は、二〇〇一年に発足して、二〇〇九年に民主党政権が事実上廃止した後に、一三年に第二次安倍政権が復活させました。二〇一四年には、諮問会議の四人の民間議員の一人に榊原経団連会長を充てたんですね。この同じ二〇一四年に、経団連は中止していた企業献金のあっせんを再開します。そして、主要政党の政策評価と題する政党通信簿を発表するようになりました。まさに、金も出すけれども口も出すということで、露骨な財界による政策買収に乗り出したことを私は示していると思うんですね。
 この政策評価見ますと、二〇一三年度から、経団連、原発の再稼働プロセスの加速を求め、二〇一九年度には原発のリプレース、新増設を求めております。そして、二三年度の経団連の自民党評価の提言部分には原発の最大限活用が書き込まれ、それが二四年度には主な課題になって、そして二四年度末のこの新しいエネルギー計画にこの同じ言葉、最大限活用が書き込まれました。まさに二人三脚じゃありませんか。
 そして、その間、経団連は、自民党の政策評価では、こうした法人税減税や原発再稼働の推進を評価して献金を呼びかけています。企業献金の九五%は自民党ですよ。そして、原子力関連企業などでつくる日本原子力産業協会から自民党の政治資金団体、国民政治協会への献金額、この十一年間で何と七十六億円に上るんですよ。
 まさに、企業献金の下で国民の声に反する原発推進へとかじを切ったと。企業献金が政治ゆがめている、明らかじゃないですか、総理。
○内閣総理大臣(石破茂君) 委員はあのとき国会議員でいらっしゃったかどうかはちょっと私記憶が定かではないのでございますが、あの原発事故の衝撃というのは物すごかったです。こんなことが再び起こったら日本は滅びるとみんな思いました。これ、与野党問わないあのときの体験だったと思っております。
 このことについて、喉元過ぎればなぞと考えている者は私はいないと思っています。あのときのことを覚えておる者はまだたくさんおりますから、あのときのことを忘れるはずはないし、風化というものも防いでいかねばならない。ですから、国民の安全、安心をないがしろにして原発政策を進めるみたいなそういうことは絶対にございません。あの事故を経験した者たちがこの議会にいる以上、そのようなことはあり得ないし、それは次の世代にも伝承していくことが私ども世代の責任だと思っておるところでございます。
 委員御指摘のように、それじゃ、企業献金の多寡によって、国民の生命、財産、そんなようなものをないがしろにしていいなぞと自由民主党は全く考えたことはございません。
○井上哲士君 いや、忘れていないというなら、じゃ、何で、依存度の低下を目指す、これ削ったのは、何で削ったんですか。全く矛盾していますよ。
 そして、経団連が献金を再開したわけでありますけれども、その理屈というのは、この企業の政治寄附は企業の社会貢献の一環として重要性を要すると、こういうふうに言っているんですね。ところが、先ほどの原発関連企業の献金を見ますと、政権に復帰しますと自民党への献金は倍に増えているんですよ。社会貢献というんなら、いいながらですよ、自分たちの原発推進の利益実現のために献金していること明らかじゃないですか。
 過去、財界幹部は露骨に企業献金の意味を語っておりました。当時の石原、一九八九年ですが、経済同友会代表幹事、企業が議員に何のために金を出すのか、投資に対するリターン、株主に対する収益を確保するのが企業だから、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する。亀井正夫住友電工会長当時、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っている。
 それからいろんな規制が行われましたけれども、しかし結局抜け道をつくって、それを使いながら、そして同時に、経団連が全体として企業献金あっせんをして、丸ごと政策買収ということが行われているというのが私はこの原発の分野だと思いますよ。
 こういう問題を解決するのには企業・団体献金の禁止以外ありません。我々は参議院にそのための法案を出しておりますし、衆議院でも法案を出している各党と、今、一致点で積極的な、柔軟に協議をしております。各党にも、国民に応えて、声に応えて企業・団体献金禁止踏み出すように強く求めまして、質問終わります。

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